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【特集】大谷正之氏【米株高も上値重い日本株、日銀会合後の動きは?】 <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―NYダウ最高値圏快走の一方、冴えない値動きの日経平均―

 週明け18日の東京株式市場では主力株が総じて軟調な値動きとなり、日経平均株価は一時400円を超える大幅安に見舞われる場面があった。前週末の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに7日続伸しダウは史上最高値を連日更新しているが、東京市場はこれに追随できていない状況にある。あすに日銀金融政策決定会合の結果発表を控えていることでリスク回避ムードが強い。この流れは変わるのか。年末年始の東京市場の動向と物色の方向性について、証券ジャパンの大谷正之調査情報部長に話を聞いた。

●「日銀決定会合後はアク抜け感から株価上昇へ」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 東京市場はあすの日銀金融政策決定会合の結果発表を控え、足もと買い手控えムードの強い地合いとなっているが、このビッグイベントを通過すればアク抜け感が出るとみている。今回の会合でマイナス金利解除は行われない可能性が高いとみているが、仮に現状維持としても来年開催される次回会合での解除の可能性が拭えない状況となってきた。しかし株式市場では、そこまでのシナリオを現時点である程度織り込んでいると考えている。

 また、マイナス金利が解除されたからといって、企業業績に影響を及ぼすような金利上昇局面に移行することとは意味が異なる。金利がすぐに上昇しなければ外国為替市場での円高にも歯止めがかかることが予想され、過度な不安心理は修正される可能性が高い。あすの日銀会合の結果で相場の明暗を分けるというのではなく、この会合を通過することによって相場の重しが解消され、日経平均は再び上値を指向する公算が大きいとみている。

 向こう1ヵ月程度でみた日経平均のレンジとしては、ここからの下値は限定的で3万2000円ラインを下限とみる。一方、上値については3万4000円大台ラインを通過点に3万4500円近辺まで上値を伸ばすケースが考えられる。今は気迷いムードでも、いったん動き出せば速そうだ。

 個別の物色対象としては半導体関連を引き続き注目。半導体セクターでも製造装置メーカーだけでなく半導体材料を手掛ける銘柄群にも目を向けたい。信越化学工業 <4063> [東証P]や住友ベークライト <4203> [東証P]、日本酸素ホールディングス <4091> [東証P]などがマークされる。また、半導体はメモリー系だけでなくパワーデバイスを製造する富士電機 <6504> [東証P]やローム <6963> [東証P]といった銘柄にも見直し余地が広がりそうだ。このほか、設備投資関連としてCKD <6407> [東証P]、DMG森精機 <6141> [東証P]、アマダ <6113> [東証P]などにも着目したい。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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