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インドに次ぐ有望市場が開花へ、「東南アジア」躍動の銘柄群を徹底追跡 <株探トップ特集>


―日ASEAN友好50周年、ニトリHDなど投資の動きも―

 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力が今年で50周年を迎えた。経済成長が続く東南アジアにはこれまで数多くの日本企業が投資を行っており、足もとでもこの動きは活発となっている。株式市場では今年話題となった新興・途上国の経済圏「グローバルサウス」の盟主 インドへの関心が高く、投資テーマとして継続的に注目されているが、東南アジアはそのインドとともに同経済圏を成す主要な地域の一つだ。東南アジアで事業展開する日本企業には大きなビジネスチャンスが広がっており、関連銘柄からは今後も目が離せない。

●東南アジア24年成長率は増加へ、ベトナム・フィリピン6%台

 今月16~18日の日程で「日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議」が東京で開催される。日本とASEANは1973年の合成ゴムに関する閣僚級会合以来、政治・経済などあらゆる面で協力関係を築いてきた。今回の特別首脳会議では、将来のための新たなビジョンを示す共同声明と幅広い具体的協力を示す実施計画を成果文書として採択する見通しだ。同会議とあわせ、日本が主導するアジアの脱炭素推進に向けた枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体」首脳会合も開く。

 東南アジアは「グローバルサウス」の一角を占める有望なマーケットであり、今後も高い成長を続ける公算が大きい。同地域で商機を捉えようと日本企業の動きはますます活発化している。主な企業では、ニトリホールディングス <9843> [東証P]による ベトナム1号店の今冬オープンと今後のフィリピン、インドネシア への初出店計画をはじめ、トヨタ自動車 <7203> [東証P]など国内自動車メーカーが参画する合弁会社の タイ新会社設立、双日 <2768> [東証P]によるベトナム食品卸大手の買収などがここ明らかとなっている。

 アジア開発銀行(ADB)の経済成長率予測によると、東南アジアは24年に4.8%と23年(4.6%)から増加する見通しだ。国別ではベトナムやフィリピンが6%台と高い。これは成長著しいインド(6.7%)に次ぐ水準となる。東南アジア主要国ではこのほかインドネシアが5.0%、 マレーシアが4.9%、タイが3.7%と続く。同地域の成長取り込みが期待される関連銘柄は大企業を中心に数多いが、今回は個人投資家好みの中小型株に絞ってピックアップしてみた。

●東南アジア比率4割のフマキラ、エニマインドに注目

 国別に関連銘柄をみていく前に、まずは東南アジア全体で広く事業を手掛ける企業をマークしておこう。注目はフマキラー <4998> [東証S]とAnyMind Group <5027> [東証G]だ。フマキラは言わずと知れた殺虫剤メーカー大手。1976年のマレーシア子会社設立を皮切りにインドネシア、ミャンマーと現地法人を設け、東南アジア市場で大きな存在感を示している。全体の売上高のうち、東南アジア向けの比率は約4割(23年3月期)と高い。

 エニマインドは今年3月に新規上場したニューフェース。EC支援を手掛け、アジアや中東を中心に幅広い地域で展開している。直近決算の1-9月期は2ケタ増収・営業黒字転換と好調。同社も東南アジア向け売上高が全体の約4割を占めている。

 このほか、東南アジアをはじめ世界各国で装着型ロボット「HAL(ハル)」の普及を進めるCYBERDYNE <7779> [東証G]、タイやベトナム、カンボジアに子会社を有する亀田製菓 <2220> [東証P]にも目を配っておきたい。

●インドネシア関連でマンダムとJトラスト、タイ関連でアップルなど

 国別では、東南アジアのなかで経済規模、人口とも断トツのインドネシアに絡む銘柄からみていこう。男性用化粧品大手のマンダム <4917> [東証P]はインドネシア事業の売上高が全体の約2割(23年3月期)を占める。同事業についてはコロナ禍からの回復に向け、目下取り組みを推進中だ。アジアで金融サービスを手掛けるJトラスト <8508> [東証S]は東南アジア事業の損益改善が寄与し、前22年12月期は営業利益で過去最高益を達成。今期は当初大幅な減益を見込んでいたが、8月に上方修正し減益幅を縮小させている。

 また、大阪製鐵 <5449> [東証S]や酒井重工業 <6358> [東証P]、メタルアート <5644> [東証S]に加え、インドネシア通勤鉄道向け部品の大型案件を獲得した東洋電機製造 <6505> [東証S]、M&Aでインドネシア市場に進出したtripla <5136> [東証G]も関連銘柄に位置づけられる。

 タイ関連に位置づけられる銘柄では、中古車販売のアップルインターナショナル <2788> [東証S]に注目。同社は国内での中古車買い取り専門店の運営と、海外への中古車輸出を手掛ける。売上高の構成比率(22年12月期)をみると、タイ向けは全体の4割超。マレーシア向けも3割弱ある。タイ、マレーシア向けが大きく伸び、前22年12月期は営業最高益を更新した。タイ向けで一定の売り上げがあるプリント基板大手の日本CMK <6958> [東証P]、軸受け大手の大同メタル工業 <7245> [東証P]も押さえておきたい。

●ベトナム関連はAバランスと松屋R&D、フィリピン展開のアイピーエスも

 ベトナム関連もチェックしていこう。再生可能エネルギー事業のAbalance <3856> [東証S]はベトナム子会社において手掛ける太陽光パネル製造が急拡大、株価も昨年から今年半ばにかけて急上昇し脚光を浴びた経緯がある。自動縫製機メーカーの松屋アールアンドディ <7317> [東証G]はベトナムでの取引拡大を図っており、売上高全体に占めるベトナム向けの比率は4割強(23年3月期)に及ぶ。共英製鋼 <5440> [東証P]やITbookホールディングス <1447> [東証G]、アジアパイルホールディングス <5288> [東証P]のほか、日本とベトナムに拠点を持つソフト開発会社ハイブリッドテクノロジーズ <4260> [東証G]も関連銘柄として見逃せない。

 マレーシア関連では現地子会社を通じて販売を進める井村屋グループ <2209> [東証P]をはじめ、製造派遣・請負中堅のnms ホールディングス <2162> [東証S]、廃棄物リサイクル大手アミタホールディングス <2195> [東証G]など。

 このほか、フィリピンで国際通信回線の提供やクリニック運営を行うアイ・ピー・エス <4390> [東証P]、フィリピンに拠点を持つUbicomホールディングス <3937> [東証P]、カンボジアから日本への人材送り出し事業を手掛けるリネットジャパングループ <3556> [東証G]もマークしておきたい。

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