貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9434 ソフトバンク

東証P
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22:16 11/21
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.9 3.63 4.46 20.83
時価総額 91,985億円
比較される銘柄
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SBG, 
NTT

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高配当の海運や鉄鋼、そしてバフェットで注目の商社は~24年の日本株戦略

~株探プレミアム・リポート~
山田栄一・三井住友トラスト・アセットマネジメント
シニアファンドマネジャーに聞く【最終回】


第1回記事「配当狙いはセクター選び、では次の注目は~24年の日本株戦略」を読む

三井住友トラスト・アセットマネジメントの山田栄一・シニアファンドマネジャーは、市場平均より高い配当利回りの中から有望銘柄を選ぶ際に、どのセクターに所属しているのかを意識する。

最終回は、足元で配当利回りが高水準の「海運」や「鉄鋼」セクターの見方や、そしてウォーレン・バフェット氏の投資で注目を浴びた商社セクターの見方などを聞いた。

(聞き手は真弓重孝、高山英聖/株探編集部)

山田栄一さん山田栄一さんのプロフィール:
三井住友トラスト・アセットマネジメント
アクティブ運用部 株式・リート運用ユニット ボトムアップ運用チーム
シニアファンドマネジャー
1995年4月、国内証券会社入社。97年11月から日本株アナリストを経て、2003年5月、米ニューヨーク事務所にて米国株アナリストとなる。06年7月、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)入行し、株式運用部日本株ファンドマネジャーを経て、現在に至る。

――配当狙いでは、セクターを選ぶことに注力を置いていることを前回の記事で伺いました。では、セクターを選んだ後、銘柄を選ぶ際には、どのような点に注目するのですか。

山田栄一さん(以下、山田): 前回の繰り返しになりますが、TOPIX(東証株価指数)などの市場平均より高い配当利回りであるかを条件にします。

比較するのは、あくまでも市場平均です。対象セクター別に平均値と比較する考え方もありますが、私が担当するファンドはポートフォリオ全体の利回りが市場平均より高くなることを目指しています。

それもあり、セクター別での利回りと比較して、「高い」「低い」をチェックすることはしていません。

――平均回帰性の観点から言うと、平均より高利回りの銘柄は、将来的に「利回りの低下」≒「株価の上昇」が起こり、配当収益と値上がり益を合わせたトータルリターンの向上が期待できることになります。

山田: いくら市場平均より高い配当利回りの銘柄でポートフォリオを組んでも、株価が下落してしまえば、トータルのリターンは悪化してしまいます。その点で、保有後に株価が下落しにくい銘柄を選ぶことが重要です。

高配当銘柄に注目するのは、平均回帰で株価の上昇を期待できる面はありますが、一方で、今後、株価がどのように推移していくのかを、正確に予測することはできません。

その点で、株価の先行きではなく、安定した株主還元が実施される可能性が高いのか、そして拡充していく可能性があるのかの方に注意を払います。

■山田さんが運用に関わる主な投信の組み入れ銘柄トップ10
ニュー配当利回り株オープン(配当物語)日本株配当オープン(四季の実り)
銘柄名
<コード>
業種構成比順位銘柄名
<コード>
業種構成比
三菱UFJ<8306>銀行業5.8%1トヨタ<7203>輸送用機器5.0%
三井住友FG<8316>銀行業4.9%2三菱UFJ<8306>銀行業3.9%
三菱商事<8058>卸売業4.6%3三菱商事<8058>卸売業3.2%
トヨタ<7203>輸送用機器4.5%4三井物<8031>卸売業3.2%
NTT<9432>情報・通信業4.2%5NTT<9432>情報・通信業2.9%
東京海上<8766>保険業3.5%6三井住友FG<8316>銀行業2.8%
日立<6501>電気機器3.3%7伊藤忠<8001>卸売業2.8%
SB<9434>情報・通信業3.3%8みずほFG<8411>銀行業2.6%
三井物<8031>卸売業3.2%9日立<6501>電気機器2.4%
キヤノン<7751>電気機器2.6%10東エレク<8035>電気機器2.4%
出所:各投信の「月次リポート」(23年10月)。注:銘柄名は略称

――セクターを重視するのは、配当の安定性を注視するからなのですね。ところで、2023年は、バリュー株の株価が上昇した影響で、ポートフォリオの含み益は膨らむ一方で、これから選んでいく銘柄の配当利回りは、株価上昇によって低下しやすい状況でした。こうした局面では、どのようことを意識しているのでしょうか。

山田: 運用の基本方針として、市場平均とのスプレッド(利回り差)が+1%以上になることを目指しています。たとえば、市場平均の配当利回りが2.5%なら、ポートフォリオでは3.5%以上となっていれば、目標達成はされているとの判断になります。

その後、全体相場の上昇でポートフォリオの利回りが3%に低下したとしても、市場平均の利回りが2%なら、スプレッドは1%を維持しているので、利回りの低下は問題とはしません。

ただし、ポートフォリオの利回りが2.9%で、スプレッドが0.9%に縮んでしまった場合は、改善に取り組みます。

――バリュー株優位で進んできた23年に対して、24年は米国の金融引き締めの打ち止めで、グロース株優位の展開となる可能性があります。この点は、どう捉えていますか。

山田: グロース優位の展開という点では、向かい風なのかもしれませんが、米国の金融政策が緩和方向に変わることが、市場全体の株価水準を上げる方向に向かえば、バリュー株にも追い風です。

ただ、グロースファンドより高いパフォーマンスを期待されるのではあれば、そのハードルは高いというのが率直な見解です。

――セクター重視の運用から話題が逸れますが、株価上昇をもたらすカタリスト(株価変動のきっかけ)として、無配銘柄の新規の配当実施や復配があります。無配から有配になる可能性が高いと思われる銘柄を、先回り投資することはあるのですか。

山田: ありません。これまで申し上げている通り、ファンドの運用では市場平均より高い配当利回りを上げることを方針としています。

いくら今後、配当を実施する可能性が高くても、現時点で配当利回りが0%の銘柄をポートフォリオに加えることは、運用方針と一致しません。

――もう1点、個別銘柄の事情について伺います。ESG(環境・社会・企業統治)投資が広がっている中で、保有銘柄の中に、ESGの観点で疑義が生じる事態が発生した場合は、どのような対応を基本方針としているのでしょうか。機関投資家に対しては「問題発生、即売却する」というイメージを抱きがちです。

山田: 問題の発生そのものだけで、売却判断に至ることはありません。また起きた問題の軽重も、考慮の対象にしません。軽重の判断は、極めて主観的になるからです。

では、何を基準にするのかといえば、その問題が「減配」をもたらすことになるのか。問題を起こしたことによって、当該企業の収益環境が悪化し、減配に至る可能性が強いと判断すれば、売却します。

――セクターの話に戻します。2023年の高配当利回りのセクターには、「海運」「鉄鋼」「鉱業」「石油」「非鉄金属」などが挙がります。運用に関わっている「ニュー配当利回り株オープン」の最新の運用報告書を見ると、これらのセクターは存在感が薄いように見えます。

山田: 今、例に挙がったセクターには、ある共通点があります。

■東証プライム市場のセクター別平均利回りの四半期推移(上位10業種)
2023/4Q23/3Q23/2Q23/1Q22/4Q
業種利回り業種利回り業種利回り業種利回り業種利回り
1位海運11.9%海運11.8%海運14.9%海運12.1%海運12.3%
2位鉄鋼4.3%鉄鋼4.1%鉄鋼4.8%鉄鋼5.0%鉄鋼6.3%
3位鉱業3.7%石油3.5%鉱業4.4%石油4.7%証券4.9%
4位石油3.3%非鉄金属3.3%石油4.2%証券4.7%石油4.9%
5位非鉄金属3.3%窯業3.2%銀行3.5%鉱業4.0%コ゛ム3.7%
6位窯業3.3%鉱業3.2%保険3.4%その他金融3.7%その他金融3.7%
7位建設3.2%保険3.1%その他金融3.4%保険3.7%建設3.7%
8位その他金融3.1%建設3.1%建設3.3%建設3.7%非鉄金属3.6%
9位保険3.0%その他金融3.1%証券3.3%銀行3.6%銀行3.5%
10位銀行2.9%倉庫3.0%窯業3.3%非鉄金属3.5%窯業3.5%
出所:QUICK・ファクトセット。業種は「日経業種分類」(36分類)

■「ニュー配当利回り株オープン」のセクター構成比
国内株式の時価総額に占める割合

セクター構成比銘柄数
電気機器14.8%6
卸売業13.5%5
情報・通信業11.7%8
銀行業11.2%3
輸送用機器8.4%4
保険業7.4%4
化学4.5%4
サービス業3.8%3
医薬品3.2%3
小売業3.0%5
非鉄金属2.6%2
精密機器2.6%2
ガラス・土石製品2.5%2
建設業2.0%4
機械1.7%5
その他製品1.6%1
不動産業1.5%1
鉄鋼1.0%1
証券、商品先物取引業0.9%1
石油・石炭製品0.8%1
電気・ガス業0.7%1
陸運業0.6%1
出所:同投信・運用報告書(第36期)。
注:数字はマザーファンド。


※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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