ベルシス24 Research Memo(3):CRM事業を中心に事業を展開、経営資源を集中する体制を整える
■事業概要
1. セグメント
同社グループは、持株会社であるベルシステム24ホールディングス<6183>と、(株)ベルシステム24、CTCファーストコンタクト(株)(以下、CTCFC)、(株)ベル・ソレイユ、Horizon One(株)、BELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.、(株)シンカーの子会社6社で構成される。コンタクトセンター業務を中心とするCRM事業を主たる事業として、日本全国及びベトナム・タイ・台湾で事業を展開している。同社グループの報告セグメントは、CRM事業とその他の2つである。
(1) CRM事業
ベルシステム24(同社100%子会社)によるCRM事業には、クライアント企業の商品やサービスに関する質問などに対応するカスタマーサポート業務、クライアント企業の商品・サービスなどの販売促進をサポートするセールスサポート業務、クライアント企業のIT製品などの操作方法などに関する質問に対応するテクニカルサポート業務、クライアント企業のデータ入力やWeb制作などを請け負うBPOなどがある。いずれも電話での対応を軸に、Webやメールのほか、近年は成長が著しいソーシャルメディアやチャットにも対応している。2020年10月には、TOPPANホールディングスが51%、同社が49%出資した(株)TBネクストコミュニケーションズが、コンタクトセンター業務を中心とするアウトソーシングサービス、コンサルティングサービス業務を開始した。さらに2023年9月には、データマーケティング事業やAIソリューション開発を手掛けるシンカーの株式70%を取得した。
海外にも事業展開をしており、2017年7月にはベトナムのコンタクトセンター最大手であるHoa Sao Group Joint Stock Companyへ出資し(持分比率49.0%)、2023年3月には持分比率を80.0%に引き上げて連結子会社化し、社名をBELLSYSTEM24 VIETNAM Inc. に変更した。同子会社は、ベトナム国内8拠点でコンタクトセンター事業を展開している。さらに、2020年1月にはタイのコンタクトセンター事業者大手のTrue Touch Co., Ltd.に出資し(49.9%保有)、同年2月には台湾最大手の総合通信会社である中華電信股フン有限公司の子会社と業務提携契約を締結するなど、CRM事業の海外展開を活発化している。
(2) その他事業
その他事業は、CTCFC、ベル・ソレイユ、Horizon Oneの3子会社の事業である。CTCFCは、サービスデスクやコンタクトセンターなどのBPOを展開する子会社で、BPO分野でのビジネス拡大を目的に同社が株式の51%、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>が49%を保有している。テクニカルヘルプデスク等、ITをベースとしたBPOサービスをはじめ、マニュアル作成サービス/教育・研修サービスなども行っている。ベル・ソレイユは、同社の100%子会社で、「障がい者の雇用の促進等に関する法律」による特例子会社の認定を受け、オフィスカフェ運営、チョコレート製造、野菜・胡蝶蘭栽培、事務・清掃作業を展開する。Horizon One は、同社が51%、経営コンサルティング事業の(株)レイヤーズ・コンサルティングが49%保有する。人事・経理分野におけるBPOを提供している。
CRM事業が売上及び利益の大部分を占める
2. 収益構造
(1) 売上収益の内訳
これまでの事業再編によるCRM事業への経営資源集中の結果、全社売上収益に占めるCRM事業の比率は2016年2月期の92.7%から年々拡大を続け、2024年2月期第2四半期累計では99.5%を占めている。その他事業の比率は、同期間に7.3%から0.5%に大きく縮小した。
CRM事業の内訳を見ると、2024年2月期第2四半期累計では基礎業務が全社売上収益の91.7%、コロナ等国策関連業務が同7.8%を占めている。前年同期は政府によるコロナ禍対策の一環であるワクチン接種や給付金など、各種支援に関する案内対応業務の増加に伴ってコロナ等国策関連業務が大幅増収となり、同社の好業績に貢献したが、2024年2月期第2四半期にはワクチン関連業務の減少に伴い大幅減収となった。一方、基礎業務は新規・既存業務が拡大するなか、BELLSYSTEM24 VIETNAMの売上収益も加わり着実な増収を続けた。
税引前利益では、CRM事業が一貫して大幅利益を計上しているのに対し、その他事業は小幅利益にとどまっている。2022年3月に占い事業を展開していた(株)ポッケをベルシステム24が吸収合併するなど事業再編を進めたことで、2024年2月期第2四半期累計のCRM事業の全社利益に占める比率は98.3%に拡大し、その他事業は1.7%にとどまる。このように同社グループのコア事業であるCRM事業に集中する体制を整えていることが、売上収益・税引前利益の内訳からも確認できる。
(2) CRM事業の業種別売上収益
CRM事業における2024年2月期第2四半期累計の売上収益上位300社の業種別構成比を見ると、サービス業が30.1%、運輸・通信業が23.7%、金融・保険業が17.5%、卸売・小売業が13.1%、製造業が9.9%、電気・ガス・水道等が3.0%、その他が2.8%となっている。サービス業は、人材採用系の拡大により前年同期比3.2%増であった。前年同期に大きく増加した製造業は、コロナ等国策関連業務の減少に伴い同34.1%減であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
《SO》
提供:フィスコ