ティア Research Memo(7):葬祭事業は5期ぶりに過去最高益を更新
■ティア<2485>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) 葬祭事業
葬祭事業の売上高は前期比5.4%増の13,554百万円、営業利益は同12.8%増の2,331百万円と3期連続の増収増益となり、売上高は2期連続で過去最高を更新、営業利益は5期ぶりの更新となった。前述の通り葬儀件数の伸び悩みで、既存店の売上高は同2.3%増と伸び悩んだものの新規出店効果による増収、並びに業務の内製化や料金プランの見直しによる原価率の改善が増収増益要因となった。
地域別の葬儀件数の伸びを見ると、名古屋市内が横ばい、愛知県(名古屋市除く)が4.4%増、関西が10.6%増、関東が2.5%減となった。名古屋市内は前期に伸長した反動や新規出店がなかったことも伸び悩む要因となった。関西については新規出店効果もあり好調に推移した。一方、関東についても前期に22.6%増と大きく伸長した反動により減少した。主力の埼玉県下の店舗で減少したようで、東京都内のサロンについては同5.6%増と堅調だった。
直営店の葬儀単価は前期比2.3%上昇の832千円となった。増減要因を見ると、低価格の「祭壇無し」プランの件数構成比が前期の24.1%から24.4%と0.3ポイント上昇した影響で、0.3ポイントの単価押し下げ要因となったものの、「祭壇有り」の単価が前期の995千円から1,024千円に上昇したことにより2.6ポイントの押し上げ要因となった。主に500千円以下のプランと700千円以上のプランで単価が上昇した。また、葬儀単価の内訳では、祭壇が0.3%増、葬儀付帯品が2.3%増、供花・供物が0.3%減となった。
TLD事業の売上高は362百万円となったが、このうち2022年11月から開始した「ティアの会」会員向け生活支援サービスや会館の営繕業務で21百万円、新たに開始した樹木想事業で36百万円(名古屋市内の寺院で同社が開発した樹木想霊園104区画を完売)、葬儀後の相続・不動産に関連したニーズに対して専門事業者を紹介するサービス(手数料売上)で前期比1.5倍の88百万円、葬儀の際の宗教者紹介サービスで170百万円となっており、そのほかエンバーミング※・特殊処置(防臭等)サービス等の売上が含まれる。同社は中長期的に「ティアの会」会員に向けた生活周辺サービスの拡充を計画しており、不動産取引に関しては紹介サービスだけではなく自社でも不動産売買が行えるよう準備を進めている。
※エンバーミングとは、遺体の消毒・殺菌処置や保存処理、また必要に応じて修復することで10日間から2週間程度、腐敗させることなく保存を可能にする技法のこと。ウイルス感染で亡くなっても、殺菌処置を行っているため感染リスクがない。エンバーミングは専用施設で資格を持ったエンバーマーによって処置が施される。大学など専門機関で処置する場合、エンバーミング費用として40~50万円掛かるが、同社は18~22万円と半分以下の料金で行っている。エンバーマーは現在、4~5人体制で対応している。
(2) FC事業
FC事業の売上高は前期比20.6%増の513百万円、営業利益は同1.0%増の67百万円となった。FC店舗が前期比7店舗増加したことにより、ロイヤリティ売上や物品販売が増加し、売上高は3期連続で過去最高を更新した。一方、営業利益はFC本部の強化を図るべく人員体制を強化したため、若干の増益にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SI》
提供:フィスコ