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4718 早稲田アカデミー

東証P
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早稲アカ Research Memo(2):ICT活用による業務効率の向上で利益率上昇、業績は半期ベースで過去最高を更新


■業績動向

1. 2024年3月期第2四半期累計業績の概要
早稲田アカデミー<4718>の2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比7.8%増の15,981百万円、営業利益で同25.3%増の1,373百万円、経常利益で同26.8%増の1,406百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同45.3%増の1,003百万円と増収増益となり半期ベースで過去最高を更新した。期中平均塾生数は同1.3%増と伸び悩んだものの、物価上昇や従業員・非常勤講師の処遇改善に対応した授業料の値上げを実施したことが主な増収要因となった。利益面では増収効果に加えて、ICT活用による業務効率の向上により労務費を中心にコスト抑制が図れたことが増益要因となった。期初計画比では、第2四半期に塾生数が伸び悩んだことで売上高は若干未達となったものの、ICT活用により想定以上に労務費を抑制できたこと並びに広告宣伝費の一部消化を下期に先送りしたこと等もあり、営業利益、経常利益で20%以上超、親会社株主に帰属する四半期純利益で、40%超の上振れとなった。

(1) 部門別売上高と塾生数の動向
部門別売上高について見ると、小学部が前年同期比9.9%増の9,478百万円、中学部が同4.8%増の5,644百万円、高校部が同3.4%増の786百万円となり、小学部・中学部が過去最高を更新、高校部も4期ぶりに増収に転じた。また、期中平均塾生数は、前年同期比1.3%増の46,599人と伸び率は鈍化したものの、業界全体では3%超の減少※だったことから、競争力は引き続き維持されているものと評価される。塾生数の内訳を見ると、小学部が同2.3%増の27,216人、中学部が同0.0%減の16,901人、高校部が同0.1%減の2,482人であった。傾向としてはいずれも非受験学年の入塾が低調だったようで、少子化の進展に伴う受験競争の緩和や、昨今の物価上昇に伴う節約志向の高まりが影響したものと考えられ、特に中学生でこうした傾向が顕著となっている。四半期別の塾生数伸び率では、第1四半期が2.0%増とほぼ計画どおりだったが、第2四半期は0.6%増と計画を2ポイント程度下回った。

※経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、2023年4~9月の学習塾受講生徒数は前年同期比3.5%減であった。


なお、夏期講習会参加者数は前年同期比1.5%減の3.9万人強と3年ぶりに減少した。新型コロナウイルス感染症の法定上の位置付けが2023年5月より第2類相当から第5類に引き下げられたことで、夏休みに帰省や旅行に出かける塾生が増加したことが影響した。一方で夏期集中特訓・夏期合宿参加者数は1.4万人超と3年連続で増加した。2023年は4年ぶりに夏期合宿を再開(小学4年生、中学1年生に限定)しており、併せて2,830人が参加するなど好評であった。2024年以降は対象学年をさらに広げて実施していくものと予想される。

(2) 新規校舎の開設状況
新規校舎としては、集学舎において2023年7月に「クオード 茂原校」を開校し、グループ全体の直営校舎数は185校となった。また、塾生の学習環境改善を図るため、同年5月に「早稲田アカデミー 渋谷校※」「個別進学館 練馬校」の移転リニューアルを実施した。そのほか「個別進学館」ではFC校として学芸大学校を開校しており、校舎数はFC校を含めて67校と、2027年3月期目標の100校体制の確立に向け、順調に進んでいる。

※分散していた3つのブランド(ExiV、大学受験部、個別進学館)を1ヶ所に集約した。


(3) 営業利益率の上昇要因
2024年3月期第2四半期累計の営業利益率は前年同期比1.2ポイント上昇の8.6%となった。販管費率が同0.3ポイント上昇した一方で、売上原価率が同1.5ポイント低下したことによる。売上原価の内訳を見ると、原材料費率が0.5ポイント、労務費率が0.8ポイントそれぞれ低下した。原材料費については教材・模試仕入費用等が増加したものの、授業料の値上げ効果で吸収した。また、労務費についても2023年春に全従業員の給与水準引き上げを実施したことで、前年同期比では5.5%増加したが、ICT活用によって業務効率が向上し、事務職員の費用を削減できたことが売上比率の低下につながった※。販管費の中では広告宣伝費が前年同期比15.2%増となったが、主には営業支援のマーケティング活動費や人材採用のための広告宣伝費が増加した。

※例えば、同社が提供する生徒・保護者向けのポータルサイト「早稲田アカデミーOnline」で生徒の欠席報告が可能となったことで、今まで電話で対応していたスタッフの数を削減できたほか、校舎と本社間の業務連絡などもICTを活用することで業務負担が大幅に軽減された。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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