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専門スキルで攻めの経営バックアップ、「プロ人材」躍動する精鋭株 <株探トップ特集>


―大企業の3割が活用、経営計画策定や人事制度改革など組織中枢で活躍―

 企業が求める専門的なスキルや知識、経験などを有する「プロフェッショナル人材(プロ人材)」を活用する企業が増えている。プロ人材のマッチングサービスを展開するみらいワークス <6563> [東証G]が今年2月に発表した大企業への「フリーランス・プロ人材活用実態調査」によると、フリーランスのプロ人材を活用したことがある大企業は30.7%で、前年より14.0ポイント増加した。経営計画の策定や新規事業の立ち上げ、人事制度の改革など幅広い分野でプロ人材が活用されるようになっており、今後もその裾野は拡大が見込まれている。関連企業のビジネスチャンスも更に広がりそうだ。

●フリーランス人口に比例しプロ人材も増加

 フリーランスのマッチングプラットフォーム「Lancers」を運営するランサーズ <4484> [東証G]が2021年11月に発表した「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」によると、日本のフリーランス人口は国内労働人口の約5分の1にあたる1577万人を数え、経済規模は23兆8000億円に上る。調査を開始した15年と比較するとフリーランス人口は68.3%増加し、経済規模は62.7%増に膨らんだ。

 増加するフリーランス人口に比例して、プロ人材の人口も増加している。前述のみらいWKSのプロフェッショナル人材登録人数(累積登録人数)は、23年9月末時点で7万2000人となり、5年前の18年9月末時点に比べて約9倍になっている。

●プロシェアリングの活用増える

 プロ人材の活用は、以前は社内システムの構築など社内では足りない知識を補う業務が中心だった。しかし最近では、M&A やPMI(M&A成立後の経営統合プロセス)、DX推進、人事・組織設計など組織の中枢の領域の業務も多く、これがプロ人材活用の裾野拡大につながっている。

 プロ人材を活用するのは、社内に専門的なスキルや知見を持った人材が不足しているためであることが多い。日本は大卒を中心に総合職での採用が多いため、専門的なスキルを持った働き手が少ない。また、中途採用でも、年々必要な人材を確保するのが難しくなっているのが現状だ。

 そこで近年では人材を社員として囲い込むのではなく、外部の人材をシェアする「プロシェアリング」の活用が増えている。シェアされるプロ人材はフリーランスのほか、会社に勤めながら副業として他社の業務を行う人も多い。これらの人材と企業とを結ぶマッチングサービスなどの利用も増加している。

●国もプロ人材活用を後押し

 国もプロ人材の活用を推進している。16年1月からは、地方創生の一環として大都市圏、大企業の優秀な人材を地方の中小企業に橋渡しする「プロフェッショナル人材事業」をスタートした。地域外から副業・兼業人材を受け入れる企業に対し、企業がその人材に支給する移動費に対して支援を実施している。

 同事業では、各道府県に拠点を設置し、地域企業の「攻めの経営」への転身を後押しするプロ人材を、民間人材ビジネス事業者を介してマッチングする。今年9月までの同事業を通じた相談件数は9万5612件で、成約件数も2万3475件に上る。ここからも見て取れるように、プロ人材に対するニーズは着実に増えており、ビジネスチャンスも広がろう。

●プロ人材に特化した企業

 関連銘柄として注目したいのは、プロ人材に特化した企業だ。

 前述のみらいWKSは、プロ人材に特化した転職支援サービスや都市部の人材と地域企業を結び付けるサービスなどさまざまなマッチングサービスを展開しており、23年9月期連結営業利益は2億3500万円と実質前の期比2.1倍となった。24年9月期は引き続きプロ人材の派遣事業の伸長を見込み同3億5000万円(前期比48.8%増)と大幅増益を予想。地域金融機関や地方自治体との連携を推進しているほか、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が新設したデジタル専門人材派遣制度「人材紹介型」の協力企業に登録し、プロ人材のマッチングによる自治体DXプロジェクトを推進するなどとしており、地方展開の強化を進めている点も注目だ。

 サーキュレーション <7379> [東証G]は、プロ人材の経験や知見を活用して企業の経営課題の解決を支援する「プロシェアリング」サービスを提供している。23年7月末時点で累積登録プロ人材は2万2594人(前年同期比10.6%増)、累積稼働プロジェクト数1万5446件(同31.2%増)と創業以来順調に成長しており、23年7月期単独営業利益は5億6900万円(前の期比7.4%増)となった。24年7月期は1稼働プロジェクトあたり平均請求金額の増加などで同6億3000万円(前期比10.7%増)と増益基調継続を見込む。

 ブリッジコンサルティンググループ <9225> [東証G]もサーキュ同様にプロシェアリング事業を展開しており、運営する「会計士.job」のデータベースを活用しているのが特徴。「会計士.job」の登録者は23年9月末時点で4115人に上り、中長期目標として1万人への拡大を目指している。23年9月期単独営業利益は1億5500万円(前の期比61.7%増)と大幅増益で着地。24年9月期は同1億8800万円(前期比21.1%増)を見込む。

●ハイクラス人材に強みを持つ人材サービス会社にも注目

 ジェイエイシーリクルートメント <2124> [東証P]は、管理職クラス、外資系企業、海外進出企業などハイクラスの転職支援に強みを持つ人材紹介会社。11月13日には、23年12月期連結業績予想を営業利益で77億7000万円から80億5000万円(前期比14.3%増)へ上方修正しており、業務効率化の推進やコストコントロールが奏功したという。

 ビジョナル <4194> [東証G]は、即戦力人材と企業をつなぐハイクラス転職サイト「ビズリーチ」を運営。企業が求める人材へ直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」と呼ばれる採用方法に強みがある。23年7月期は連結営業利益132億2500万円(前の期比59.7%増)で着地。24年7月期は同160億円(前期比21.0%増)を見込む。

 このほか、グループ企業のリクルートマネジメントソリューションズが人材採用や人材開発、組織開発、制度構築などを展開するリクルートホールディングス <6098> [東証P]、独自のマネジメント理論「識学」を活用した経営や組織コンサルティングを手掛ける識学 <7049> [東証G]、ビジネスコーチングを手掛けるコーチ・エィ <9339> [東証S]やビジネスコーチ <9562> [東証G]なども注目したい。

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