恵和 Research Memo(5):2023年12月期第2四半期は減収減益。地球の絆創膏事業等の売上は好調に推移
■業績動向
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
恵和<4251>の2023年12月期第2四半期の連結業績は、売上高7,394百万円(前年同期比27.6%減)、営業利益592百万円(同76.0%減)、経常利益928百万円(同71.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益625百万円(同75.9%減)と減収、減益となった。ノートパソコンやタブレットなどデバイスの世界的な在庫調整により、それらの製品向けの光学シートの販売が大幅に減少した。
2023年5月には期初の第2四半期累計期間予想及び通期予想を下方修正した。期初に想定していたよりも在庫調整が長期化し、光学シート需要の回復が遅れることが予想されたためだ。当初、通期予想では前期を上回る売上高、営業利益を想定していたが、売上高、営業利益とも前期を下回る予想に下方修正(売上高は前期比11.5%減、営業利益は同50.8%減)した。第2四半期累計期間予想も、期初の予想に対して売上高は24.5%減、営業利益は67.3%減と下方修正したが、従来型の液晶ディスプレイ向けの光拡散フィルム「オパルスR」、高性能な直下型ミニLED 液晶ディスプレイ向け複合拡散板「オパスキR」など、前年同期において売上の8割超を占めていた光学シート事業の売上高が、前年同期比36.5%減と予想以上に大きく落ち込み、全体の売上高は修正予想を2.4%下回った。高付加価値製品である「オパスキR」の売上減少などにより売上総利益率は38.0%と前年同期比で6.0ポイント低下している。販管費も共用システムの減価償却費の増加により前期比9.7%増となり、営業利益は修正予想を11.0%下回った。しかし、経常利益は円安により為替差益が312百万円発生したため、修正予想を41.7%上回った。
ただし、第2四半期は、「オパルスR」「オパスキR」とも出荷が回復したほか主に自動車向けの視野角制御フィルムの販売が好調であったことなどから、光学シート事業の売上高は第1四半期比41.5%増、そのうちノートパソコン・タブレット向けの売上高は同57.8%増と回復が見えてきた。利益面でも、利益率の高い光学シート事業の売上が積み上がったこともあり、第2四半期の光学シート事業のセグメント利益は第1四半期の約1.5倍となり、営業利益も約2.5倍と伸びてきている。
2. セグメント別の業績
(1) 光学シート事業
2023年12月期第2四半期の光学シート事業の売上高は5,396百万円(前年同期比36.5%減)、セグメント利益は2,016百万円(同47.7%減)となった。ノートパソコン・タブレット、スマートフォンなどのデバイスは、世界的な在庫調整の影響を受け、直下型ミニLD液晶ディスプレイ向けの「オパスキR」、従来型液晶ディスプレイ向けの「オパルスR」ともに売上が減少した。ただし、ノートパソコン・タブレット向けの第2四半期の売上高は、第1四半期比で57.8%増加しており、市場が回復基調にあることがうかがえる。一方、スマートフォン向けの第2四半期の売上高は第1四半期比で30.8%減少し、回復傾向は未だ見られていない。モニター・他/高機能フィルムでは車載用、ゴーグル型VRデバイス向け光学フィルムの売上が伸長し、売上高は前年同期比7.2%増加している。セグメント利益は、2020年販売開始以来順調に売上シェアを伸ばしてきた付加価値の高い「オパスキR」の売上が特に落ち込んだため大幅な減益となったが、第2四半期は「オパスキR」の売上が回復してきており、第1四半期比で49.5%増と回復基調にある。
(2) 生活・環境イノベーション事業
2023年12月期第2四半期の生活・環境イノベーション事業の売上高は1,948百万円(前年同期比14.1%増)、セグメント利益は179百万円(前年同期は96百万円の損失)と黒字転換した。クリーンエネルギー車向けの特殊フィルム製品など、付加価値が高く成長が見込まれるクリーンエネルギー資材が前年同期比で約2.4倍と伸長した。製品構成に占める高付加価値製品の比率が高まったこと、また前期までに実施したSATC K-Site(旧九州工場)及びSATC T-Site(旧東京工場)の滋賀ATセンターへの機能集約などの事業再編により効率化が進み、製造原価及び販売費が減少したことから、セグメント利益は黒字に転換した。
(3) 地球の絆創膏事業
2023年12月期第2四半期の地球の絆創膏事業の売上高は50百万円(前年同期比1014.7%増)、セグメント損失は165百万円(前年同期は29百万円の損失)となった。屋根用保護シート「KYOZIN Re-RoofR」の各種展示会への出展やセミナーの開催など積極的なプロモーション活動を展開するとともに、確かな施工技術と販路を持つパートナー企業の開拓を進めることで、企業向け、一般住宅ともにネットワークが拡充し、売上高は伸長した。一方、前期に完成した地球の絆創膏本部「淡路ベース」において、生産能力及び製品価値向上に向けた投資、販売マーケティング投資など先行投資を進めた結果、セグメント損失は拡大している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《AS》
提供:フィスコ