サムティ Research Memo(6):2023年11月期の業績は期初予想を据え置き、通期は増収及び営業増益を見込む
■業績見通し
1. 2023年11月期の業績予想
2023年11月期の業績予想についてサムティ<3244>は、期初予想を据え置き、売上高を前期比28.4%増の165,000百万円、営業利益を同27.8%増の18,000百万円、経常利益を同23.8%減の11,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同44.8%減の6,000百万円と、通期でも増収及び営業増益となり、実現すれば過去最高売上高、営業利益を更新する見通しである。
売上高は、引き続き「不動産開発事業」及び「海外事業」の拡大に加え、インバウンド需要の回復等に伴う「ホテル賃貸・運営事業」の好転継続が増収に大きく寄与する見通しである。重視する「インカムゲイン」(売上高ベース)も「ホテル賃貸・運営事業」と「不動産管理事業」の伸びにより前期比49.6%増の30,200百万円を見込んでいる。
利益面でも、「海外事業」の本格的な貢献や「ホテル賃貸・運営事業」の損益改善(黒字化)などにより営業増益を実現する。なお、経常利益が減益となるのは、「海外事業」において為替差損(約20億円)を見込んでいることが理由である。
活動面でも、引き続き開発用地や収益不動産の取得に注力するとともに、ホテルREITの上場準備にも取り組む方針である。
2. 弊社の見方
弊社でも、上期実績や戦略的な進捗、堅調な市場環境等を勘案し、同社の業績予想の達成は十分に可能であると見ている。もちろん、日銀による金融政策の見直し(及びそれに伴う投資家の要求利回りの上昇)などによる不動産価格への影響やインフレ進行による保有物件の収益性の低下等には注意する必要があるが、キャッシュ・フローの安定したレジデンスへの投資意欲は根強く、外資系ファンド等の資金流入により実勢価格は堅調に推移しているうえ、昨今のインフレに対応した賃料及び共益費の増額施策も進めていることから、現時点で大きな下振れ要因としては捉えていない。一方、開発用地や収益不動産の取得については、とりわけ高止まりの続く収益不動産の取得やその判断が難しい状況となっているが、今後は採算性を見極めながらの慎重なスタンスをとりつつ、開発用地の取得のほうにやや軸足を移した仕入れを行っていく方針のようだ。また、稼働率や客室単価がコロナ禍前の水準に戻ってきたホテル賃貸・運営事業については、ホテルREITの上場に向けた動きに注目していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《AS》
提供:フィスコ