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サムティ Research Memo(4):2023年11月期上期は大幅な増収及び営業増益を実現(1)


■業績動向

1. 2023年11月期上期の業績概要
サムティ<3244>の2023年11月期上期の業績は、売上高が前年同期比80.2%増の65,282百万円、営業利益が同139.9%増の6,604百万円、経常利益が同64.4%増の3,278百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同21.3%減の1,311百万円と大幅な増収及び営業増益となった。

売上高は、積極的な物件販売により「不動産開発事業」が大きく伸びたほか、「海外事業」の本格化、及び「ホテル賃貸・運営事業」の好転などが増収に寄与した。また、重視する「インカムゲイン」(売上高ベース)についても、「資産保有型」ビジネスへの転換に伴うグループ資産の拡大等により、前年同期比65.1%増の13,168百万円に伸ばすことができた。

利益面でも、「不動産開発事業」の伸びや「海外事業」による貢献などにより大幅な営業増益となった。また、ここ数年コロナ禍の影響を受けてきた「ホテル賃貸・運営事業」についても、稼働率や客室単価の上昇などにより損益改善が進んできた。ただ、親会社株主に帰属する四半期純利益が減益となったのは、前述した不適切な会計処理(連結対象範囲の判断)に係る疑義事案に対して特別調査費用(約9億円)を特別損失に計上したことが理由であり、一過性の要因と言える。

また、今後の成長につながる仕入れについては、開発用地66物件(取得金額約277億円)、収益不動産45物件(取得金額約279億円)を取得しており、通期計画に対しても順調に進捗している※。

※開発用地の取得は、通期計画720億円に対して38.5%の進捗率であるが、決済予定を含めると51.7%の進捗率となっている。同様に、収益不動産の取得についても通期計画500億円に対して55.8%、決済予定を含めると63.5%の進捗率となっている。


財政状態については、開発用地や収益不動産を積極的に取得したことから、資産合計は前期末比7.7%増の445,455百万円に拡大した。一方、自己資本は前期末比1.9%増の100,611百万円となったことから、自己資本比率は22.6%(前期末は23.9%)に若干低下した。また、有利子負債(リース債務を除く)も前期末比13.5%増の317,606百万円に拡大※したが、そのうち長期有利子負債の割合は約70%を占め、流動比率も324.0%を確保していることから、資産拡大を図りながらも財務の安定性は維持されていると言える。

※2023年1月及び2023年3月に実施したグリーンファイナンスによる資金調達を含む(詳細は後述)


各事業の業績は以下のとおりである。

(1) 不動産開発事業
売上高は前年同期比122.1%増の31,551百万円、セグメント利益は同146.1%増の5,781百万円と大きく拡大した。レジデンス26物件※1(前年同期は14物件)の販売が業績の伸びに寄与した。また、開発物件におけるBELS認証取得※2にも積極的に取り組んでいる(詳細は後述)。

※1 そのうちSRRへは1物件を供給。
※2 2013年10月に国土交通省により制定された「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン(2013)」に基づき、第三者機関が非住宅建築物の省エネルギー性能の評価及び表示を適確に実施することを目的とした建築物省エネルギー性能表示制度。


(2) 不動産ソリューション事業
売上高は前年同期比34.1%減の9,643百万円、セグメント利益は同40.1%減の1,536百万円と減収減益となった。収益不動産17物件(前年同期は16物件)を売却し、前年同期比で減収減益とはなったものの、想定どおりの進捗である。

(3) 海外事業
売上高は12,199百万円(前年同期は売上計上なし)、セグメント利益は1,699百万円(前年同期は174百万円の損失)と業績に大きく貢献した。ベトナムでの分譲住宅事業「THE SAKURA プロジェクト」(4棟)の販売状況※1は順調であり、物件の引き渡しとともに売上計上が進んできた。本プロジェクト全体での完売時における売上高は約407億円、プロジェクト利益は約57億円を想定※2しており、引き続き海外で取り組む初めての分譲住宅事業の完遂に向けて事業を推進するとともに、次のプロジェクトへの参画に向けても、VHSとの連携により動いているようだ。

※1 V8棟(総戸数718戸)についてはすでに完売(引き渡しも完了間近)。V9棟(総戸数1,126戸)の販売状況は約98%(引き渡しは約80%)。V10棟(総戸数1,133戸)の販売状況は約37%(引き渡しは2024年秋予定)。V7棟(総戸数は未確定)は販売開始前(引き渡しは2025年夏予定)となっている。
※2 そのうち90%が当社グループの業績に寄与する予定。


(4) 不動産賃貸事業
売上高は前年同期比2.7%減の4,234百万円、セグメント利益は同21.9%減の1,656百万円と、前期第4四半期及び上期における物件販売による影響を受け、前年同期比で減収減益となった。ただ、2023年5月末時点でのレジデンスを中心とする保有資産は196物件(前期末は160物件)に拡大するとともに、レジデンスの稼働率は95%前後の水準を維持している。また、昨今のインフレに対応すべく、保有する賃貸マンションの賃料・共益費の増額施策を進めている※。

※賃料については、入居者の入れ替え時に賃料を増額し、対象戸数の約56%の増額を実現した(平均約6%の増額)。また、共益費についても、関西・中部エリアで保有する賃貸マンションにて共益費の改定を実施し、対象戸数の約56%の増額を実現した。


(5) ホテル賃貸・運営事業
売上高は前年同期比332.6%増の5,797百万円、セグメント損失は862百万円(前年同期は1,562百万円の損失)と大幅な増収により損失幅が縮小した。全国旅行支援やインバウンドの回復に加え、経済活動の活性化に伴うビジネス利用の伸びもあり稼働率及び客室単価が上昇した。平均稼働率については70%前後の水準に回復するとともに、客室単価についてはコロナ禍前の水準を超えるホテルも出てきているようだ。なお、当社が参画(保有あるいは運営)するホテルは、新たに追加された「メルキュール飛騨高山」(当社開発案件)等を含め、20ホテルとなっている。

(6) 不動産管理事業
売上高は前年同期比37.3%増の3,137百万円、セグメント利益は同25.1%減の292百万円と増収減益となった。SRRの資産拡大やホテルREIT組成に伴うAUMの拡大、PMによる管理受託戸数の拡大が増収に寄与した。AUMは3,827億円(2023年1月末時点)、管理受託戸数は28,618戸(2023年5月末時点)の規模となっている。一方、利益面では経費増に伴って減益となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《AS》

 提供:フィスコ

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