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7723 愛知時計電機

東証P
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最恐酷暑で干上がる世界、沸点近づく「水ビジネス関連」極撰6銘柄 <株探トップ特集>


―実体経済に負の影響も、水資源確保へ財政支出機運高まり水処理などインフラ整備に追い風―

 世界各地で記録的な 猛暑となり、干ばつによる水不足の問題が深刻化している。農畜産物への被害や海上輸送の混乱などが実体経済にマイナスの影響をもたらしつつあるなか、水資源の問題を投資機会として捉える市場参加者も増えているようだ。具体的にどのような銘柄が有力な投資対象となるのか、リストアップしていく。

●パナマ運河とライン川の水位低下で混乱

 米航空宇宙局(NASA)は9月14日、2023年6~8月の世界の平均気温が、夏季として記録が残る1880年以降で最高となったと発表した。南米のペルー沖の海面温度が高くなる「エルニーニョ現象」の発生が主因と考えられているが、長年にわたり温室効果ガスの排出が続いたことも、気温上昇を促す要因となったとみられている。

 猛暑と干ばつの影響は思わぬところに及んでいる。パナマ運河では降雨量の減少を背景に水位が低下し、通行できる船舶数に制限が掛かった。同運河を通過する船舶の輸送力低下は、穀物などを運ぶ中型ばら積み船や、液化石油ガス(LPG)を運ぶ船の運賃の上昇につながったという。直近の海運市況は、船舶用燃料価格に影響をもたらす原油相場の上昇に連動する形で回復基調が鮮明となっているが、これに先立つ格好で、パナマ運河の水位低下は海運業界に異変をもたらす要因となった。また、欧州ではライン川の水位低下がドイツの内陸輸送網を混乱させ、化学品や自動車部品などの生産活動に悪影響を及ぼしている。

 米国も深刻な干ばつに見舞われ、農産物の被害が相次いで報じられた。このうち、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が半導体工場を構える予定のアリゾナ州では今年に入り一部自治体で水の供給が停止したとあって、同州選出の上院議員が3月、連邦政府に水インフラ関連のプロジェクトに向け2億5000万ドルの資金の拠出を要請している。

 気候変動の影響は日本も無縁ではない。気象庁は9月19日、来年2月までの天候の見通しを発表し、暖冬になる可能性が高いとする予想を示した。すでに猛暑と水不足に伴い、農畜産物の被害が出た地域もあるが、冬場に北日本で降雪量が減少した場合、春先の農業用水の供給に問題が生じる恐れがある。

●水資源確保へ高まる日本企業の存在感

 世界的な水資源の危機的状況は従来から指摘され続けてきたものの、実体経済へのダメージが次々と具現化するなかにあって、今後、水不足への早急な対策を求める世論が世界各地で一段と強まることが予想される。アリゾナ州のように、水資源の確保に向けた財政支出を求める声も広がりそうだ。

 有効な打ち手として考えられているのが、海水淡水化プラントや再生水の利用拡大を促す施設の整備だ。途上国の場合、貯水設備や安全な水の供給に向けた水道インフラの整備が一段と加速することも十分想定できる。

 良質な 水道インフラを誇る日本は、水関連での高い技術力を持つ企業が数多く存在する。日立製作所 <6501> [東証P]や東芝 <6502> [東証P]といった総合電機メーカーのほか、重電メーカーの明電舎 <6508> [東証P]なども上下水道の発展に携わってきた。農業機械が主力のクボタ <6326> [東証P]も、ダクタイル鉄管で水道インフラを支えている。

 海水淡水化に用いる水処理膜では、東レ <3402> [東証P]や東洋紡 <3101> [東証P]など繊維大手とともに、化学大手の旭化成 <3407> [東証P]や三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]、電子部品メーカーの日東電工 <6988> [東証P]がしのぎを削る。上下水処理設備大手のメタウォーター <9551> [東証P]は海外事業の拡大路線を鮮明にしている。

 もちろん、水ビジネスの拡大の恩恵を受けるのはこれらの企業だけではない。今回の株探トップ特集では、水不足という世界的な課題の解決に貢献し、中期的な観点で投資妙味のある6銘柄を厳選する。

●水ビジネスで飛躍期待の6銘柄

◎月島ホールディングス <6332> [東証P]

 浄水場や下水処理場のプラント建設などを展開し、メタウォーターの競合企業でもある。今年10月にJFEホールディングス <5411> [東証P]傘下のJFEエンジニアリングと国内上下水道事業の統合を予定。月島HDが統合会社の60%を出資する。国内ではPPP(官民連携)案件の積極的な受注獲得により事業拡大を目指す方針だ。海外ではこれまで中国・上海市などに下水汚泥乾燥機を納入し、コンソーシアムの代表企業として全体設計を担った実績を持つ。24年3月期受注高を前期比340億円増の1400億円と計画。配当利回りは3%台にありながら、PBR(株価純資産倍率)は0.7倍台にとどまっており、資本効率の向上に向けた一手も注視される。25日移動平均線近辺に調整した局面は押し目買いの好機となりそうだ。

◎飛島建設 <1805> [東証P]

 中堅ゼネコンで、トンネルとともにダムや河川・上下水道工事で多数の実績を積み上げ、海外ではパキスタンやミャンマーで上下水道整備計画に携わった。なかでもパキスタンは人口が2億3000万人を超える巨大市場で、水道インフラなど水ビジネスの拡大が期待される。24年3月期の最終利益は前期比11.1%減の27億円と減益を計画するものの、単体の受注高予想は同6.3%増の1110億円と堅調。PBRは0.60倍と資本効率性の向上策が期待される水準で、配当利回りは4%台に上る。バリュエーション面での割安感や配当妙味を意識した買いを集めて株価水準を切り上げる展開に期待が膨らむ。

◎愛知時計電機 <7723> [東証P]

 水道・ガスメーター大手。24年3月期は原材料や部品価格の上昇が重荷となり、最終利益予想は前期比16.2%減の29億円。前期の過去最高益からみて物足りない印象もあるが、中期経営計画で掲げた目標は達成する見通しだ。海外ではアジア向けのガス・水道メーターの輸出が増加しており、23年4~6月期の海外事業は2ケタの増収となった。名古屋市上下水道局に試験導入したスマート水道メーターは検針業務の効率化にとどまらず、漏水情報の収集など水資源の有効活用にも寄与するとみられており、今後の展開に注目したい。株価は22年3月以来の高値圏で推移するものの、PBRは0.69倍にとどまっている。今年7月に立会外分売を実施し、株式流動性の課題に手を打った。PBR1倍超への是正を見込む投資主体の資金を集める余地もある。

◎阿波製紙 <3896> [東証S]

 特殊紙メーカーで、自動車のエンジン用フィルターとともに、水環境関連の部材も手掛け、海水淡水化に用いる逆浸透膜(RO膜)用支持体でトップシェアを誇る。今年1月にはRO膜向け部材の生産増強に向け、日本製紙 <3863> [東証P]の工場跡地での新工場の建設を発表した。24年3月期第1四半期(4~6月)の決算は、自動車向けとともに水処理関連が好調に推移し、経常利益は前年同期比61.6%増の1億800万円と中間期の計画を超過している。時価総額は100億円に満たず、売買主体は個人投資家が中心。将来的に機関投資家のファンド組み入れ基準を満たす時価総額となれば、一段と株高圧力が強まりそうだ。

◎有沢製作所 <5208> [東証P]

 プリント基板向けの電子材料を主力とし、水処理用の圧力容器も展開。中期経営計画のなかでは、水処理分野で高性能製品の開発などを通じ、収益拡大につなげる方針を示している。24年3月期の最終利益は前期比37.0%減の18億円を計画。全体相場に対し株価は大きく出遅れたが、PBRは0.80倍で配当利回りは4%超と、バリュー・高利回り銘柄としてマークしておきたい。水処理関連のFRP(繊維強化プラスチック)製圧力容器の23年4~6月期売上高は前年同期比39.2%増と大幅な増収となっており、利益面での押し上げ効果の発揮に期待が膨らむ。

◎酉島製作所 <6363> [東証P]

 ポンプ製造大手で、24年3月期の最終利益は前期比4.4%増の46億円と前期に続き過去最高益を計画する。世界トップ20の海水淡水化プラントのほぼ全てにポンプを納入。中東諸国にとどまらず、アフリカや中南米地域など世界各地のプラントで採用実績を構築した強みを持つ。途上国での水不足問題の解決に向け、同社のポンプは今後も需要が拡大する公算が大きい。グローバルニッチトップ銘柄との位置づけもあって、株価は昨年以降、強い上昇圧力が掛かっており、足もとでは10年以来の高値圏で推移しているが、当時の利益と配当の水準を今期の予想は大きく上回っており、株価の水準修正の展開が引き続き期待できそうだ。

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