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日本株強し、独歩高の持続性はいかに/後場の投資戦略


日経平均 : 33262.48 (+225.72)
TOPIX  : 2393.34 (+15.49)


[後場の投資戦略]

 東京市場は引き続き強い展開となっている。前日は短期的な過熱感を警戒した利益確定売りで前場は軟調に推移していたが、後場はじわじわと水準を切り上げ、結局、日経平均と東証株価指数(TOPIX)はともに7日続伸。TOPIXは連日でバブル崩壊後の高値を更新し、日経平均は高値引けだった。

 前日は週明けに強い動きを見せた景気敏感株・バリュー(割安株)も反動売りをこなして全般底堅い動きが見られていた。公募増資の観測報道で大きく下落したJFE<5411>が水を差すかと思われたが、鉄鋼セクターの下落は同社を除けば軽微だった。そして、本日は再び景気敏感・バリューが全面的に強い状況となっている。

 前日の欧米株式市場で主要株価指数が揃って下落しているなかでの、足元の日本株のこうした強さには目を見張るものがある。むろん、為替の円安が一段と進行していることが大きく寄与している部分は否めないが、為替要因を差し引いても強い印象を抱く。海外投資家が再び日本株の買いを強めているという多方面で聞かれる指摘は妥当なようだ。

 一方、その為替のほか世界経済の先行きを巡っては不透明感が強く、世界の景気敏感株と称される日本株がいつまで独歩高を続けることができるのかは心もとない。サウジアラビアが原油の自主減産をさらに3カ月延長することを発表し、ロシアも原油輸出の削減を年内は継続する方針を示した。

 これを受けて、原油市況が大きく上昇しており、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、期近物)は5日、一時1バレル=88.07ドルと昨年11月中旬以来の高値を記録した。また、米雇用統計の発表後に上昇していた米長期金利の上昇は祝日明けも続いており、米10年債利回りは5日、4.26%(先週末4.18%)まで上昇した。

 足元の日本株は米金利上昇を背景とした為替の円安のプラス効果をより強く意識しているようだが、前日に総務省が発表した家計調査における実質家計支出の大幅な下振れをみても、国内の景気動向は安泰とはいえない。

 また、株式市場はインフレ収束と米経済のソフトランディング(軟着陸)に対する期待を根強く維持しているようだが、これまでのディスインフレの主因は原油などのコモディティ価格の下落だ。そのコモディティ価格の筆頭格でもある原油市況が上昇に転じていることを踏まえれば、今後インフレは米連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2%を大きく上回る水準で下げ止まる、もしくは再び上昇していく可能性もあると考えられる。

 そのようなシナリオが実現すれば、追加利上げ観測が再び台頭し、利上げサイクル終了期待やソフトランディング期待も後退しかねない。来週は米国で消費者物価指数(CPI)などの物価指標の発表があり、その後は日米の金融政策決定会合が開催される。CPIの結果次第では、相場は一気に警戒モードに転換する可能性がある。東京市場も、今週末の9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)以降も、足元の強い基調が維持されるかについては注意深く見極める必要があろう。(仲村幸浩)
《AK》

 提供:フィスコ

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