ネクスグループ Research Memo(1):前年同期比では減収減益となるも各セグメントの収益性は大きく改善
■要約
ネクスグループ<6634>は、ファブレス型の通信機器メーカーである(株)ネクス、電子書籍事業を手掛ける(株)実業之日本デジタル、メタバースに関連するコンテンツとコンピュータ・ソフトウェアの制作・開発及び販売を展開する(株)ワイルドマンを擁するホールディングカンパニーである。2023年11月期より「メタバース・デジタルコンテンツ事業」「IoT関連事業」「暗号資産・ブロックチェーン事業」の3セグメントで事業を展開している。
1. 2023年11月期第2四半期の業績概要
2023年11月期第2四半期の連結業績は、売上高が396百万円(前年同期比81.6%減)、営業利益が87百万円の損失(前年同期は474百万円)、経常利益が48百万円の損失(前年同期は545百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益が87百万円(前年同期比72.9%減)となった。前期に実施した事業構造改革における不採算事業からの撤退により、前年同期比で売上高は大きく減少している。一方、慢性的な営業赤字の解消と財務基盤の強化が図られたことにより、各段階利益の金額は減少したものの収益性は大きく改善した。2023年4月には、IoT関連事業で提供する5Gデータ端末「UNX-05G」が、富士通<6702>のローカル5G「接続検証プログラム」を通過し、接続検証済製品として認定された。また、暗号資産・ブロックチェーン事業では、2023年5月に同社が発行するブロックチェーン技術を活用した暗号資産「ネクスコイン(以下、NCXC)」のライトペーパーを公開した。
2. 2023年11月期の業績見通し
2023年11月期の連結業績については、売上高が1,467百万円(前期比46.8%減)、営業利益が146百万円(同65.7%減)、経常利益が165百万円(同68.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が142百万円(同82.3%減)を見込んでいる。インターネット旅行事業及びブランドリテールプラットフォーム事業から撤退したことで、売上高は大幅に減少するものの、黒字を維持しながら、IoT関連事業の収益拡大と、新たな収益の柱となる新事業の拡大に注力する方針だ。売上計画に対する進捗は概ね計画どおりであり、売上計画が下期に偏重していることから、第3四半期以降の売上高・営業利益の積み上げが期待される。
3. 中期経営計画
同社は、2022年11月期に事業構造改革を完了し、営業利益の黒字化を達成したことから、中期経営計画(2023年11月期~2025年11月期)を策定した。IoT関連事業が主体の現在の事業モデルから成長分野へ事業展開する。具体的には、「ブロックチェーン」「トークン」「メタバース」を掛け合わせたWeb3.0領域へ事業展開する。「GameFi※」分野でNCXCを活用することで、NCXC経済圏の拡大を目指すほか、メタバース市場及びデジタルコンテンツ市場へ参入し、事業の拡大を目指す。さらに、ネクスの持つIoTの戦略資産にメタバースなどの新たな強みを加え、デジタルツイン市場での展開を目指す。これらを推進することで、2023年11月期に黒字の定着化、2024年11月期に売上高と黒字幅の増加を実現し、最終年度となる2025年11月期に売上高25億円以上、営業利益率15%以上、時価総額130億円以上を目指す。
※Game(ゲーム)とFinance(金融)を融合させた造語。ゲームをプレイすることでプレイヤーがトークンなどの経済的インセンティブを獲得できる「Play to Earn」のブロックチェーンゲームを指す。
■Key Points
・2023年11月期第2四半期は不採算事業からの撤退により前年同期比で減収減益
・事業構造改革により各セグメントの収益性は大きく改善している
・売上計画は下期偏重であり、通期計画の達成に向けて売上高・営業利益を積み上げる
・事業構造改革を踏まえた中期経営計画を策定。新技術と既存事業のシナジー創出により成長分野へ大きく転換することで飛躍的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
《SI》
提供:フィスコ