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【特集】第1四半期にロケットスタート! 見直し機運に乗る「中小型バリュー株」6銘柄精選 <株探トップ特集>

上場企業の4-6月期業績は、脱コロナが追い風となった内需企業が牽引する形で増益基調を維持した。ここでは第1四半期に好業績を残した企業から株価の見直し余地が大きい割安有望株を選んだ。

―4-6月期決算出そろう、1Qに好調な滑り出しをみせた低PBR株をピックアップ―

 上場企業の業績回復が進んでいる。今月中旬までに一巡した3月期決算企業の23年4-6月期決算は、経常利益段階で前年同期比3割を超える大幅増益を達成した。新型コロナウイルス感染症の第5類への移行による経済効果や値上げの浸透などを背景に内需企業の業績が大きく伸びたほか、為替市場で円安が加速したことが海外売上高比率の高い製造業に追い風となった。一方、中国をはじめとする世界景気の減速懸念など先行き警戒感も強く、第1四半期の業績が好調でも通期見通しを上方修正する動きは限定的だった。こうしたなか、今回は4-6月期に絶好のスタートを切った企業群のなかから、株価指標に割安感が強く、水準訂正余地が大きいとみられる中小型株を探った。

●全体としては回復局面も二極化傾向

 25日までに4-6月期(第1四半期)決算を発表した3月期決算企業2277社を集計したところ、経常利益(米国会計基準と国際会計基準は税引き前利益)の合計額は前年同期比で32%増加し、直前の1-3月期に続いて2四半期連続で前年実績を上回った。ただ、ビジョン・ファンド事業の黒字転換で赤字幅が約3兆1000億円改善したソフトバンクグループ <9984> [東証P]の影響が大きく、同社を除くと増益率は9%に縮小する。

 業種別にみると、新型コロナ感染対策の行動制限がなくなったことで人の移動が活発化し、利用客が戻った鉄道や空運が収益を大きく伸ばしたほか、料金引き上げや燃料調達価格の期ずれ影響で電力会社の利益が急改善するなど、内需関連の復調が目立つ。製造業では半導体などの部品不足が収束に向かい生産活動が正常化したうえ、円安の恩恵を受けた自動車関連の業績回復が顕著だ。一方、前年同期に好業績だった総合商社や海運は反落したほか、中国の需要減少が逆風となった化学セクターなどには減益決算が多かった。社数ベースでは半数以上が減益または赤字となっており、業績回復と悪化の二極化傾向がみられる。

●全体相場はバリュー株優位の展開に

 東京株式市場では国内外で長期金利の上昇圧力が強まるなか、相対的に割高感が意識されやすいグロース株から資金が流出する一方、割安株を見直す動きが広がっている。今回は割安株のなかでも、東京証券取引所の低PBR改善要請によって資本効率の改善や収益強化策への取り組みが期待されるPBR1倍割れ銘柄に注目。以下では、4-6月期に大幅増益を達成した銘柄のうち、PBRの水準が低く上値余地の大きい6銘柄をピックアップした。買い一巡後に利益確定売りに押されている銘柄もあるが、押し目狙いの候補としてマークしたい。

●JVCケンウは1Q業績絶好調で上振れに含み

 JVCケンウッド <6632> [東証P]は世界的な危機管理に対する機運の高まりを背景に、無線機の販売が絶好調だ。4-6月期(第1四半期)は公共安全市場向けに多くの受注を抱える米国を中心に海外市場で無線システムの旺盛な引き合いが継続し、税引き前利益は48億7300万円(前年同期比9.0倍)と業績高変化を遂げた。通期計画(124億円)に対する進捗率は4割近くに達しており、業績上振れ期待も相まって、株価は9日に約14年1ヵ月ぶりの高値669円まで上値を伸ばした。その後は利益確定売りに押されているが、指標面は予想PER11倍近辺、PBR0.8倍台と割安で見直し余地は大きそうだ。中期経営計画ではPBR1倍超の早期実現を目標に掲げ、6月までに40億円規模の自社株買いを実施するなど株主還元にも積極姿勢をみせる。

●合同鉄は15年ぶり高値圏を快走もまだ割安

 合同製鐵 <5410> [東証P]は建設用鋼材に強みを持つ大手電炉メーカー。4-6月期は主原料である鉄スクラップ価格が前期末の高値圏から調整が入ったことで、鋼材製品との価格差が大きく改善し、経常利益は57億600万円(前年同期比9.7倍)に急拡大して着地。あわせて、24年3月期の利益見通しと配当予想を引き上げたが、第1四半期実績の修正した通期予想(150億円)に対する進捗率が38.0%と高水準で、下期の業績動向次第では更なる上振れも視野に入る。株価は約15年2ヵ月ぶりの高値圏を舞う展開となっているが、予想PER6倍前後、PBR0.5倍近辺、配当利回り4.7%台と投資妙味は依然として大きく、一段の上値に期待がかかる。

●青山商は脱コロナで回復加速、PBRは0.4倍台

 紳士服トップの青山商事 <8219> [東証P]は新型コロナ感染拡大による販売低迷によって、21年3月期は経常損益が114億3600万円の赤字と上場来初の赤字に陥った。その後はコスト構造改革の実施や行動制限の緩和に伴う人流増加とともに持ち直し、24年3月期は経常利益110億円(前期比25.9%増)まで回復する見通しだ。直近4-6月期業績は経済活動の再開でオフィス回帰が進んだうえ、スーツの販売単価も上昇し、経常利益段階で21億5700万円(前年同期比2.6倍)と大幅増益を達成した。上期計画は従来予想の16億円の赤字を据え置いたが、業績上振れは濃厚とみられる。7月の既存店売上高は前年比2ケタ増と好調を維持している。株価は上値追いを続けているが、PBR0.4倍台と会社解散価値の半値以下に放置されており、水準訂正余地は大きい。

●三社電機はパワー半導体、電源装置ともに回復傾向続く

 三社電機製作所 <6882> [東証S]はパワー半導体 と産業用電源機器の専門メーカー。高効率の電力変換技術を強みとし、スマートフォンや自動車に使われる金属表面処理用電源では国内シェアトップを誇る。4-6月期は利益率の高いパワーモジュールの出荷が進んだほか、豊富な受注残高を背景に表面処理用電源や医療機器用の小型組み込み電源なども伸び、経常利益は6億1400万円と前年同期の5.1倍に膨らんだ。第1四半期時点の対通期計画(20億円)進捗率は30.7%と上方修正の可能性を内包している。20年3月期を底に業績は順調に回復しているが、予想PER12倍台、PBR0.8倍近辺と指標面は割安感がみられる。また、今期配当は年40円(創業90周年記念配当を含む)の計画で、3%前後の配当利回りも妙味がある。

●日特塗は自動車の生産回復で通期計画を上方修正

 自動車用の防音材を主力とする日本特殊塗料 <4619> [東証P]は、国内自動車の生産回復を背景に業績が急改善している。4-6月期は自動車製品関連事業で吸・遮音材や防錆塗料などの塗材を中心に販売が大幅に増加したほか、一部塗料製品の販売価格見直しや原価低減、コスト削減を進めたことも奏功し、経常利益は12億1500万円と前年同期比で5割を超える大きな伸びを示した。業績好調に伴い、通期の同利益予想を46億円(前期比46.4%増)に上方修正したことも評価され、株価は年初来高値を大きく更新したが、予想PER9倍前後、PBR0.5倍台と相変わらず割安のままだ。また、配当は記念配当を除くと前期まで14期連続で減配なしと安定配当が続く。配当利回り3.5%台と株主還元の切り口からも一目置きたい存在だ。

●ユシロは1Q時点で早くも業績&配当予想を大幅増額

 金属加工油剤メーカーのユシロ化学工業 <5013> [東証S]は、第1四半期の決算発表と同時に早くも通期業績予想の上方修正に踏み切った。経常利益は従来の23億8000万円から36億8000万円(前期比2.6倍)へ大幅増額し、6期ぶりに過去最高益を更新する見通しを示した。主要顧客である自動車メーカーや部品メーカーの半導体不足による生産への影響が緩和するにつれて、北米を中心に販売が順調に回復していることを反映した格好だ。好調な業績を踏まえ、年間配当も従来計画の40円から55円(前期は20円)へ大幅に増額している。株価は8日に約4年10ヵ月ぶりの高値をつけたあとは調整含みにあるが、配当利回りは3.8%前後で推移する一方、予想PER7倍台、PBR0.5倍近辺と割安感が極めて強く、上昇余力は十分にありそうだ。

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