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【特集】事業化フェーズ突入で「自動運転関連」再評価へ、好望株をロックオン <株探トップ特集>

自動運転車が街を走る時代がいよいよ近づいてきた。レベル5(完全運転自動化)への移行が迫るなか、関連株に改めて目を配っておきたい。

―超高齢化時代の交通インフラとして期待、レベル5に向け最終ステージの幕が上がる―

 自動車のエレクトロニクス化が世界的に進行している。そうしたなか、ハード面では電気自動車(EV)へのシフトが今後加速度的に進むことが予想されるが、もう一つの流れとしてソフト面では次世代自動車の目玉である「自動運転」がキーテクノロジーとなり、我々の日常の風景を大きく変える可能性が高まっている。 自動運転車は既に「実証フェーズ」から「市販化・事業化フェーズ」へと舞台が回ったといっても過言ではない。最近、米国カリフォルニア州で画期的な決断がなされた。日本政府も「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の中で注力領域の一つとして掲げている自動運転だが、関連銘柄に改めてスポットライトを当ててみたい。

●完全無人タクシーの24時間営業

 今月前半、「自動運転業界にとって大きなフシ目」という声が聞かれる出来事があった。それは、米カリフォルニア州当局が米グーグル(アルファベット<GOOGL>)傘下のWaymo社と米GM<GM>傘下のGM Cruise社に対し、サンフランシスコ市内での完全無人タクシーの24時間営業を認めたというものだ。2022年6月から、サンフランシスコ市内では自動運転タクシーが走行していたが、あくまで試験的な範囲だった。海外の話とはいえ、SFの世界、遠い将来のイメージとして描かれていた姿の実現がまた一歩近づいた。

 足もとでは、日本国内においても自動運転に関しての取り組みが加速している。例えば、東日本大震災時に津波で大きな被害を受けた岩手県の陸前高田市。同市は、9月に高田松原津波復興祈念公園及びその周辺市街地までの区間で、自動運転車の実証実験を始める。過去に実施した実験ルートから更に範囲を拡大するというものだ。他にも北海道の苫小牧市では、9月20日~10月17日に自動運転バスの実証運行を行うことを決めた。米国の動向とは趣を異にする印象もあるが、日本においては過疎化・超高齢化する地域社会の交通インフラを維持する手段として、自動運転にかかる期待が特に大きい。

●自動運転による社会の新たなデザイン

 現在、日本でもいわゆる「レベル4(高度運転自動化)」での走行、つまり最高水準の「レベル5(完全運転自動化)」の一歩手前まで4月施行の改正道路交通法で可能となっている。実際、国内初の取り組みとして、福井県永平寺町では、公道でのレベル4自動運転移動サービスが既に始まっている。もちろんあくまで現状は人が少ない地域での運用だが、運用を続ける中で必要なデータ蓄積も加速していくことになる。政府も「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の中で、25年度をメドに50カ所程度、27年度には100カ所以上で地域限定型の無人自動運転移動サービスを実現させることを目指している。大きな方向性を踏まえれば、自動運転の活用が本格化することはそう先の話でないことが明白だ。諸課題に対する検討・対応はもちろんのこと、自動運転を活用して社会をどのように構築していくかといった「グランドデザイン」に関する大枠の議論もより濃密になっていくことが期待される。

 そこで今回は自動運転関連の銘柄に改めて焦点を当てた。自動運転システムで重要となるセンサーなどを手掛けている企業のほか、自動運転システムを手掛けるベンチャーとの協業及び出資している企業を関連銘柄として含めている。足もとで中国経済に対する不透明感も強まるなか、国策の一角でもあり、成長確度が非常に高い同テーマから今後も目が離せない。

●自動運転関連で要注目となる7銘柄

◆ソニーグループ <6758> [東証P]~自動運転車のコアセンサーなどとして使用されている「LiDAR」を手掛ける。22年9月にホンダ <7267> [東証P]と折半出資でソニー・ホンダモビリティを設立。今年1月に米国で開催された見本市「CES 2023」でEVの新ブランド「AFEELA」を発表し、特定条件下での自動運転機能、レベル3搭載を目指す。

◆ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]~先進運転支援システム(ADAS)及び自動運転(AD)市場向けに、最先端のチップソリューションを提供。また、22年3月からはフィックスターズ <3687> [東証P]と車載ディープラーニング分野で協業しており、車載用LSI向けのソフトウェアと運用環境を開発するラボ「Automotive SW Platform Lab」を同年4月に設立している。

◆ジェイテクト <6473> [東証P]~22年10月に自動操舵制御システム「Pairdriver」を開発したことを発表。電動パワーステアリング(EPS)を介して自動運転システムと運転者の「意思」をつなげるシステムであり、自動運転走行中にシステムが運転者の操舵を検知すると、操舵補助を伴いながらスムーズに運転者の操舵意思を反映する。

◆ニデック <6594> [東証P]~センサー、モーター、制御システムなどのアセットを活用した車両制御技術の高度化によって、自動運転の実現に向けた研究開発をグループで進める。子会社のニデックコンポーネンツが手掛けるポリゴンミラーは、自動運転に必要な車両周辺の環境認識や広範囲な3Dマッピングを実現する「LiDAR」のレーザースキャニングデバイスとして使用される。

◆ヤマハ発動機 <7272> [東証P]~世界初となるオープンソースの自動運転OS「Autoware」の開発をリードし、自動運転技術開発を行うティアフォー(名古屋市中村区)に出資している。20年2月に合弁会社「eve autonomy」を設立し、22年11月からは自動運転EVによる自動搬送の商用サービスとして国内初の取り組みとなる「eve auto」の提供を開始。厳しい屋外環境にも対応できる同サービスは国内各地の工場などで導入が進んでいる。

◆リコー <7752> [東証P]~子会社のリコーインダストリアルソリューションズは車載ADAS用ステレオカメラで培った独自の光学設計技術やキャリブレーション技術、リアルタイム視差演算技術を産業車両用ステレオカメラに転用することで、周辺の障害物の中から人、物を立体的にとらえ、高精度に検知することを可能にした。

◆安藤・間 <1719> [東証P]~東京大学生産技術研究所の次世代モビリティ研究センターの技術を基礎に事業を展開する東大発のベンチャー・先進モビリティ(茨城県つくば市)に出資している。同社は先進モビリティが研究開発を進める各種技術の建設現場への展開などの協働も検討する。

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