貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6301 コマツ

東証P
4,116円
前日比
+67
+1.65%
PTS
4,111円
18:31 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.1 1.29 4.06 9.22
時価総額 39,141億円
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【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─フィッチショックは一過性、回復期待される東京市場!


「フィッチショックは一過性、回復期待される東京市場!」

●米国債の信頼性は揺るがない

 東京市場の先行きに不透明感が強まっている。切っ掛けとなったのは、ご承知のように格付け会社フィッチ・レーティングスによる米国債の格付け引き下げだ。「AAA」から「AA+」に1段階引き下げられた余波を受け、東京市場も急落してしまった。

 4日の週末はなんとか下げ止まり、33円高となったものの、前日引け値を挟んでの小動きに終始した。

 こんな動きの結果、日経平均株価は8月1日の高値3万3488円から4日の安値3万1934円まで実に1554円も下げてしまった。なんとか下値支持線となっていた3万2000円直前で踏みとどまったものの、7月の米雇用統計の結果次第では、さらに下げてしまうこともないとはいえない。

 しかし、それにしてもなぜフィッチによる米国債格下げが、こんなにも大きく影響するのか。

 そもそも論になるが、フィッチとはニューヨークとロンドンに本拠を置く格付け会社で、世界各国の国債や社債の利払いや償還能力について財務調査などを通して評価している。格付け会社には他にムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、格付け投資情報センター(R&I)、日本格付け研究所(JCR)などがある。

 敢えて順位をつけるとすると、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチとなるが、それぞれ古い歴史を持つため信頼性は高く、フィッチによる格下げもかなりのインパクトがあったようだ。

 では、ここにきてなぜフィッチは米国債の格付けを引き下げたのか。実はフィッチは、今年5月に米国債の格付けを引き下げる方針を示唆していた。市場では「突然の引き下げ」と受け止めて困惑する声が聞かれたが、急ではなかったことは指摘しておきたい。

 なお、同社は米国債の評価に前々からシビアであったわけではない。1994年から米国債の格付けを最高位の「AAA」にしていたからだ。しかし今年5月、米政府と議会が債務上限引き上げ問題で紛糾したのをきっかけに、米国債の信用度を見直し、格下げを実施したと見てよい。

 このようなフィッチの格下げに対して、怒ったのがイエレン米財務長官。彼女は温厚な人柄で知られているが、今回の格下げには納得できなかったようで、「フィッチの格下げは恣意的であり、決定に強く異議を唱える」と声明を出したほどだ。

 「世界中の人々と投資家、米国民が既に知っている通り、財務省証券=米国債は引き続き世界的に見て卓越して安全な流動性資産であり、フィッチが格下げしたことでその価値が変わるものではない」とまで不満をぶつけた。

 私もイエレン財務長官の肩を持ちたい。正直、今回の格下げにより米国債に対する信頼性が低下することなど考えられないからだ。

 現在、最上級の格付けが付与されている国はオーストラリアやカナダ、ドイツ、デンマーク、シンガポール、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、オランダ、スウェーデン、ルクセンブルクなどがあるが、ドイツを除いて市場規模はさほど大きいとはいえず、世界のマネーを集約するほどの規模にははほど遠い。

 となると、やはり米国が資金を振り向ける先としては最適となるため、市場は次第にこの点に気づき、いずれ東京市場にも資金が戻る。こう見てよい。

 それに、実は2011年にも今回と似たようなことが起きている。やはり、米国の債務問題を理由に、スタンダード・アンド・ファーズが米国債を格下げしたのだ。

 当初、株式市場は下げたが、その後は回復に転じた。今回も同様の展開になるとは限らないものの、過去に学ぶならば、あまり悲観することはない。

●国家的イベントの万博関連に目を向けよう!

 しかも、である。あのバフェット氏が米国債格下げ問題について触れ、「米国債の格下げは問題ない」と表明したばかりか、米国債を先々週の月曜日に100億ドル(約1兆4000億円)、そして先週の月曜日にも100億ドルを追加で購入したと報じられている。

 米国債の価値が下落するのなら、あのバフェット氏が200億ドル(2兆8000億円以上)も購入するだろうか。

 こう考えると、いま何をなすべきか。いまはまださほど関心を集めていないが、オリンピックに次いで日本が取り組む大イベントである 大阪万博。その関連株に目を向けたい。

 この種のプロジェクトに対しては、大抵マスコミも世間も、そして投資家も冷やかだ。そのため、関連銘柄にもなかなか買いが入らない。

 しかし、大阪万博は、日本が世界に向かって大々的にアピールしているイベントであり、必ず実行しなければならないし、大きく盛り上げなければならない国家的プロジェクトだ。いまのところはまだ準備にも入れないような状況で、早くも開催さえ危ぶまれているものの、投資の観点からはそんな状況だから投資しておきたい……となる。

 具体的にまずは、パビリオンの建設を請け負う清水建設 <1803> [東証P]、大林組 <1802> [東証P]など大手ゼネコン を中心に、地元大阪を地盤とする中堅ゼネコン浅沼組 <1852> [東証P]、森組 <1853> [東証S]がある。

 建設作業には資材として足場も不可欠なのでタカミヤ <2445> [東証P]、建設仮設材に強い丸紅建材リース <9763> [東証S]、建設機械リースではカナモト <9678> [東証P] がある。当然、 建設機械の販売そのものも拡大が見込めるため、コマツ <6301> [東証P] や竹内製作所 <6432> [東証P] 、そして日立建機 <6305> [東証P]も忘れてなるまい。

 なお、万博に関連する企業が資金潤沢とは限らないため、 リースに頼る場合もあることを考えると、総合リース大手のオリックス <8591> [東証P] の事業拡大はまず間違いないと見てよく、株も有望度が高い。そして、最後に太平洋セメント <5233> [東証P]と住友大阪セメント <5232> [東証P]を。当然、 セメントが不可欠となるからだ。

2023年8月4日 記



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