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8439 東京センチュリー

東証P
1,532.0円
前日比
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PTS
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15:24 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.3 0.72 3.79 45.41
時価総額 7,539億円

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酷暑列島ニッポン、電力供給クライシスで「蓄電池関連」に熱視線 <株探トップ特集>


―エアコンフル回転、再生可能エネ安定供給のカギ握りここからが成長本番へ―

 ようやく東京も梅雨が明けた。梅雨明けを待たずして酷暑と表現されるほどの気温の上昇だったが、ここからは更なる厳しい暑さが予想されるだけに、エアコンもフル回転の状況が続きそうだ。冷房機器の使用増加は、当然のことながら電力需給のひっ迫につながる。こうしたなか、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの普及拡大に株式市場でも注目が集まるが、ここで大きなカギを握るのが電力の需給調整に欠かせない「蓄電池」の存在だ。暑さが本格化するなか、救世主ともいえる 蓄電池関連のいまを追った。

●蓄電池なくして再生可能エネなし

 本格化する四半期決算シーズンを前に株式市場は動きづらい展開が続いており、きょうは大幅反発となったものの、じめじめとした梅雨のようなムードが漂う。一方、季節はここからが本格的な暑さとの闘いとなる。既に日本列島は災害級の暑さに見舞われているが、政府は7月から8月末まで、電力の供給余力の余裕を示した予備率が厳しい状況にある東京電力管内に節電を要請している。熱中症予防に留意し「無理のない範囲での節電」を産業界や家庭に要請しているが、相手は異常気象なだけに予断を許さない状況が続く。

 例年この季節は猛暑を背景に再生可能エネ関連にスポットライトが当たる。いまのところ“音無しの構え”といったところだが、蓄電池関連に関していえばここからが成長本番。「蓄電池なくして再生可能エネなし」ともいえる状況に加え、蓄電池関連株は電気自動車(EV)用充電器に絡む銘柄も少なくないだけに、目が離せない。

●「もったいない」状況改善の救世主

 電力需給のひっ迫が叫ばれるなか、実は再生可能エネが余剰電力となり出力制御が一部行われているという実態もある。皮肉なことに再生可能エネの導入が急速に進んだことで、需要が減少する時期などに需給バランスの調整が必要となったのだ。このバランスが崩れると広域停電を招く可能性もあるという。まさに「もったいない」状況だが、出力制御は今後全国的に拡大するとみられている。

 こうしたなか注目されるのが、電力余剰時に蓄電し、ひっ迫時に放電することでピーク時の電力需給をコントロールできる「蓄電池」だ。気候などに左右されやすい、再生可能エネのウイークポイントをカバーできることになる。太陽光発電業界からも、「ここから更に、再生可能エネを有効活用するためには蓄電技術の進展が大きなカギとなる」という声が聞かれる。地域の電力需給に貢献する大型の蓄電池から家庭用まで、ニーズの拡大は関連銘柄の強い追い風となることは必至だ。

●相次ぐ新規参入

 蓄電池市場の規模拡大を見込み、新規参入も相次いでいる。直近では19日に西日本鉄道 <9031> [東証P]が系統用蓄電池事業に参入すると発表。再生可能エネ電源開発を進める自然電力(福岡市中央区)との合弁会社を通じ系統用蓄電池事業に参入する。また、18日には伊藤忠商事 <8001> [東証P]が東京センチュリー <8439> [東証P]と共同出資するIBeeT(アイビート)を通じ、東急不動産の子会社と合同会社を設立し、福岡県小竹町において蓄電所事業を開始すると発表。系統用の大型蓄電池を使用し、2025年度に運転開始の予定。九州は、再生可能エネの設備導入が先行したことにより出力制御が多発する地域であり、需給調整機能を持つ蓄電所へのニーズが高い。

 このなか、東京センチュは伊藤忠系リース大手で、これまでも太陽光発電を中心に再生可能エネ事業を展開してきた実績がある。10日には住友林業 <1911> [東証P]グループ組成の森林ファンドへの出資・参画と「森林ビジネス」への参入も発表している。「中期経営計画2027」でも「脱炭素」を注力領域の一つと掲げており、時流に乗っているだけに今後の展開が楽しみだ。株価は高値圏でもみ合うが、年初来高値奪回から一段高期待も。

●ニチコン、じわり再浮上機運も

 もちろん、家庭用蓄電システムで投資家の視線が熱いニチコン <6996> [東証P]は忘れてはならない。世界有数のコンデンサーメーカーで、EV・PHV(プラグインハイブリッド車)用急速充電器でも頭角を現しており注目度はピカイチだ。太陽光発電による電気を家庭やEVにも活用できる新型家庭用蓄電システム「トライブリッド蓄電システム」などが伸長し、公共・産業用蓄電システムやEV化に必須の急速充電器なども需要が拡大している。24年3月期は、営業利益段階で前期比18.7%減の103億円の見通しだが、再生可能エネなど環境関連製品の需要拡大を背景に折に触れて熱い視線を集めそうだ。株価は今月5日に1549円まで買われ年初来高値を更新した後は軟調展開も、1400円割れ水準でじわり再浮上機運も漂う。

●グリムス、スマートハウスの切り札的存在

 グリムス <3150> [東証P]は企業の電力削減コンサルを展開するが、スマートハウスプロジェクト事業では、電気を創って蓄え、効率良く使うスマートハウスの切り札として蓄電池の販売を推進している。5月に発表した23年3月期の営業利益は、前の期比46.9%増の36億円と大幅伸長、続く24年3月期も同利益は前期比20.0%増の43億2000万円と高水準の利益成長を見込む。契約口数の増加や調達コストの低減策が奏功したほか、太陽光発電システムの販売が好調で収益拡大に貢献している。

 蓄電池に関心が高まるなか、先駆する銘柄の株価は冴えない。NAS電池で蓄電池分野を牽引する日本ガイシ <5333> [東証P]、古河電気工業 <5801> [東証P]と次世代型蓄電池「バイポーラ型蓄電池」を開発済みの古河電池 <6937> [東証P]、また「おうち給電システム」で脚光を浴びたダイヤモンドエレクトリックホールディングス <6699> [東証P]など、いずれも安値圏でもみ合いを続けている。とはいえ、中長期のスタンスに立てば、ここが拾い場になる可能性もある。

●エクサWiz、関西電にAIモデル提供

 一方、蓄電システムを巡ってはさまざまな動きが出ている。AI(人工知能)DX(デジタルトランスフォーメーション)を利活用したサービス導入・運営支援を行うエクサウィザーズ <4259> [東証G]は、6月に関西電力グループの分散型エネルギー運用事業にAIモデルを提供すると発表。AIを活用し、電力の需給などさまざまなデータや条件を考慮し分散配置した系統用蓄電池の各所有者が電力を最適な条件で取引できることが期待されている。株価は、6月22日に年初来高値をつけた後は調整局面に入っているが、AI・DXという投資家の関心の高い領域での事業を展開するだけに、引き続き目を配っておきたい。

●実は蓄電でも注目のエヌエフHD

 エヌエフホールディングス <6864> [東証S]は電子計測器の開発を中心に事業展開を行うが、株式市場では量子コンピューター関連分野の一角としても投資家の視線が熱い。蓄電池事業にも注力しており、長年にわたり傘下のエヌエフ回路設計ブロックと伊藤忠は家庭用蓄電池システムを共同開発し事業推進してきた。19年に両社は蓄電池システムの開発、生産、販売、メンテナンスを一貫して行う合弁会社のNFブロッサムテクノロジーズを設立。NFブロッサムテクノロジーズは、今年4月に山口県山口市で蓄電システム新工場の第1期工事を完了。引き続き第2期工事を検討・推進していく方針だ。24年3月期は営業利益で前期比36.8%増の6億4000万円を見込む。

 そのほかでは、リミックスポイント <3825> [東証S]が、今月5日にオリジナルブランドの家庭用ハイブリッド蓄電システム「remixbattery」が、製品性能の第三者認証であるJET系統連系認証を取得したと発表。今回のJET系統連系認証取得により、需要増への期待が高まっている。また、7日にはサーラコーポレーション <2734> [東証P]が再生可能エネの普及促進に向けた「系統用蓄電池」事業への参入を公表している。26年春の運転開始を目指し、静岡県内では初となる系統用蓄電池を浜松市内に導入する予定だ。

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