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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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6278 ユニオンツール

東証P
5,350円
前日比
-130
-2.37%
PTS
5,356円
13:06 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.5 1.33 1.68 7.18
時価総額 1,058億円
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グローバルニッチトップ激騰のDNA、「天下無双の10銘柄」を追え <株探トップ特集>


―15兆円の待機資金が流れ込む入り江、世界に名を馳せる日本企業にズームイン―

 週末7日の東京株式市場は売り優勢の地合いで、日経平均株価は384円安の3万2388円と4日続落した。怒涛の海外マネー上陸により5月、6月と記録的な上昇トレンドを形成したが、7月相場は出だし波乱含みの展開となっている。名実ともに月替わりとなった週明け3日こそ560円あまりの大幅高で3万3753円まで駆け上がり33年ぶりの高値を更新したが、その後は踵(きびす)を返すように下値を探る展開へと変わった。

●動き出す15兆円の待機資金に刮目せよ

 しかし、これはピンチのように見えて実はチャンスである。上昇相場のサポートラインとなっていた25日移動平均線を約3ヵ月ぶりに下回ったことで、にわかに利食い急ぎの動きを誘発しているが、個人投資家マネーはしたたかで、既に証券口座のMRF(マネー・リザーブ・ファンド)の残高が15兆円を上回るなど、待機資金は過去最高水準に積み上がっている。つまり、高値波乱こそ買い出動の好機、中長期上昇トレンドの踊り場形成を待っていた個人マネーが再びマーケットに回帰する舞台は整った。

 海外投資家の買いの勢いが足もとで鈍っているのは事実だ。現物と先物を合わせ歴史的な日本株への買い攻勢も中休みに入ったが、だからといってここから日本株売りへと傾斜する可能性は希薄である。これまでのような相場全体の水かさが増すような、主力株中心に全体指数が底上げされる相場展開は見込みにくいとしても、弱気になる必要は全くない。個別に買われる銘柄は常に存在している。留意しておきたい点としては、銘柄の選別色が強まることで、個人投資家は勝ち組銘柄につくことが肝要となる。ここは外国人投資家の日本買いを契機に、改めて浮き彫りとなってきた国内企業が有する真の実力、 グローバルニッチトップ銘柄に再注目してみたい。

●大化け銘柄レーザーテックの系譜

 ニッチ分野で他社の追随を許さない戦略商品を擁する企業は、将来的な成長シナリオが描きやすく、株価面でも上値の伸びしろが大きいといえる。半導体マスクブランクス検査装置で世界のオンリーワン企業となり、収益と株価を大化けさせたレーザーテック <6920> [東証P]はその象徴である。レーザーテックはニッチトップの強みを爆発的な収益成長に結実させた稀有な例ではあるが、限られた分野であっても、そこで“無双の存在”であれば株価は大きく見直される可能性を内包している。

 米中間の覇権争いが先鋭化するなか、経済安全保障の観点から半導体は戦略物資としての位置付けが強まっている。そうしたなか、最近の株式市場で話題を呼んだのが、レジストや次世代リソグラフィー用などの半導体材料で世界屈指の商品シェアを有するJSR <4185> [東証P]の買収劇だ。政府系ファンドの産業革新投資機構がTOBを通じて買収すると発表し、同社株はTOB価格の4350円にサヤ寄せする形で急騰を演じたのは記憶に新しい。今の日本買いの流れは東京市場に眠るグローバルニッチトップ銘柄に、改めてスポットライトを当てる動きへと発展しつつある。

●経産省がリストアップした100人の侍

 遡って3年前の2020年6月に、経済産業省は6年ぶりに世界市場の特定分野で活躍する企業や、国際情勢の変化と合わせてサプライチェーン上の重要性が増している部素材を手掛ける優良企業を選定し、「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」として発表した経緯がある。全部で113社、このうち半分以上は非上場企業だが、日本企業のダイナミズムと底力を結集・反映させたリストとなっている。

 上場企業でいくつかピックアップすると、例えば食品機械大手のレオン自動機 <6272> [東証P]は包あん機(素材を包み込む機械)、ジャムコ <7408> [東証P]はラバトリーなどの航空機内装品、ユニオンツール <6278> [東証P]はプリント配線板用超硬ドリル、制御装置大手のナブテスコ <6268> [東証P]は精密減速機、日精エー・エス・ビー機械 <6284> [東証P]は樹脂製ボトルの成形機、切削工具大手のOSG <6136> [東証P]はタップやダイス、オプテックスグループ <6914> [東証P]は自動ドアセンサー、マニー <7730> [東証P]は眼科ナイフ、そして工作機専業メーカーの牧野フライス製作所 <6135> [東証P]は高精密CNC工具研削盤と、いずれもニッチトップとして世界に名を馳せる企業群である。

●ニッチ分野で断トツの輝き放つ10銘柄

 その後3年の月日を経て、新たなニッチトップ型企業が相次いで頭角を現し、東京株式市場にも数多く新規上場を果たしている。もちろん、20年版の100選に入った企業の中からも株式市場で出世株として一段とポジションを高めている銘柄は少なくない。今回のトップ特集では、こうしたスペシャリスト的企業集団のなかから、今注目すべき10銘柄を厳選エントリーした。

◎イビデン <4062> [東証P]=ICパッケージ

 イビデンはICパッケージ基板の大手で米インテル<INTC>向けが売上高の40%前後を占めている。生成AIの市場拡大を背景にICパッケージも高付加価値化が求められる状況下、エヌビディア<NVDA>向けでも需要を獲得するなど、世界トップレベルである同社の存在感が高まっている。岐阜県に新工場を建設中だが、政府から経済安全保障推進法の対象として認定され、最大400億円強の助成金が交付される。台湾の半導体受託生産大手のTSMC<TSM>とも協業体制にある。24年3月期は営業28%減益見込みながら、続く25年3月期はV字回復が濃厚。26年3月期には営業利益1250億円(今期予想520億円)を目指す新中期計画を策定している。

◎東京応化工業 <4186> [東証P]=半導体フォトレジスト

 東応化は半導体製造工程で必須となるフォトレジストで世界首位級の実力。ArF、KrF用のほか、最先端商品であるEUV(極端紫外線)用まで一気通貫でレジストを供給できる。増産投資にも積極的で、27年までに韓国でフォトレジストの生産施設を設置し稼働させる計画にある。23年12月期営業利益は前期比横ばいを見込むが、24年12月期は半導体洗浄に使う高純度化学薬品の増産などを背景に売上高が拡大し、増収効果から営業利益も20~30%の大幅増益が視野に入りそうだ。株価は6月26日に最高値9330円形成後に調整しているが、早晩切り返す公算は大きく未踏の1万円大台乗せも視野に入る。

◎エムスリー <2413> [東証P]=医療関係者向け情報サイト

 エムスリーは医薬品情報サービスや医療従事者向けに会員制サイトを展開し、製薬マーケティング支援業務を収益の柱とするほか、治験周辺分野にも業容を広げている。国内30万人以上、世界600万人以上の医師が利用する巨大なプラットフォームが同社の優位性を浮き彫りにしている。業績は長年にわたり大幅増収増益路線をまい進してきた。23年3月期に営業24%減益とついに連続増益記録が止まったが、売上高の拡大は続いており、成長が頭打ちとなったわけではない。24年3月期は小幅ながら増益転換し、25年3月期は2ケタ成長路線に復帰する公算大。株価は21年1月に1万円台をつけるなど天井は高く、時価近辺は底値買い好機に。

◎愛知製鋼 <5482> [東証P]=Nd系異方性ボンド磁石

 愛知鋼は自動車向けを主力とする特殊鋼大手メーカーでトヨタグループ向け中心に安定した収益基盤を有する。加工技術に優位性を持ち、同社が開発したNd系異方性ボンド磁石は樹脂を混ぜ加工を容易にしているのが特徴で、電動工具向けで需要旺盛なほか、ドローン向けで採用されており今後注目度が高まりそうだ。業績は23年3月期の営業52%増益に続き、24年3月期も53%増の50億円を見込むなど回復色鮮明。25年3月期は自動車生産の本格回復で大幅な利益成長が期待できる。今期年間配当は前期比20円増配の50円を計画するが、PBRは0.3倍前後と割安感が際立つ。06年に修正後株価で1万3200円の最高値をつけるなど天井も高い。

◎太平洋工業 <7250> [東証P]=自動車用タイヤバルブ

 太平洋工は自動車用タイヤバルブの大手で同商品の国内シェアは100%、グローバルベースでも50%を有する。タイヤバルブの心臓部分にあたるバルブコアは重量わずか1グラムの精密部品で、同社ならではの技術力で一頭地を抜く競争力を維持している。またプレス部品も手掛け、納入先はトヨタ自動車 <7203> [東証P]向けが半分近くを占める。24年3月期は減収ながら8%営業増益を見込む。自動車生産の本格回復で25年3月期は増収増益路線に復帰する公算が大きい。株価は6月16日に1347円の年初来高値を更新した後、25日移動平均線近辺まで調整を入れたが、PBR0.5倍台、配当利回り3%台は見直し余地が大きい。

◎湖北工業 <6524> [東証S]= 光海底ケーブル主要部品

 湖北工業は光海底ケーブル向け主要部品(光デバイス)とアルミ電解コンデンサー用リード端子の製造販売を収益の二本柱とするユニークな業態で、上場後1年半あまりのニューフェース企業ながら市場の注目度は高い。光デバイスでは光アイソレータなどを製造するが、ニッチトップ企業の典型といってよく、世界を見渡して競合関係にあるのは米ルメンタムHD<LITE>1社のみ、湖北工業が過半のシェアを握っている。光海底ケーブルの大容量化でも活躍余地は大きい。また、高い技術力を横軸展開させ、光ファイバーを使った特殊なレーザー装置開発をイスラエル企業と協業で進めている。23年12月期営業6%増益見通しだが下期好調で増額修正も。

◎萩原工業 <7856> [東証P]=バルチップ

 萩原工業は土木建築向けを主力とした合成樹脂シートを手掛けるほか、機械製品部門も有する。コンクリートのひび割れや伸縮を抑制する樹脂製の補強繊維「バルチップ」は同社の戦略商品でもあり世界トップシェアを誇るが、国内では国土強靱化をテーマに中期的な需要拡大が期待される。23年10月期営業利益は前期比24%増の17億円予想と回復色を強めるほか、最終利益は中国工場撤退の収用補償金の特益計上で同2.9倍となる27億円を見込む。株価は6月13日に大きくマドを開けて買われた後も売り物を完全に吸収して、上値指向を継続、年初来高値圏を走る。PBR0.7倍台と依然として割安感が強い。

◎エスペック <6859> [東証P]=環境試験装置

 エスペックは環境試験装置の世界トップメーカーで、受託試験やレンタルを手掛けている。恒温恒湿器や冷熱衝撃装置などで豊富な商品ラインアップを誇り、顧客ニーズに応えている。電気自動車(EV)向けの環境試験装置の引き合いが旺盛で追い風は強い。今後は車載用蓄電池の受託試験事業への注力度合いを一段と強める方針にある。全体業績も急拡大局面に突入している。24年3月期は売上高が560億円と過去最高を大幅更新する見通しにあるほか、営業利益も50億円予想と2ケタ成長でピーク時の19年3月期以来5年ぶりの水準を回復する見込みだ。株価は目先利益確定売りをこなし、早晩年初来高値奪回から一段高が視界に。

◎NITTOKU <6145> [東証S]=精密FAライン設備

 NITTOKはコイル製造用自動巻線機の最大手メーカーで、大量生産用の多軸・全自動システムに強みを持っている。また、精密FA技術(FAベースシステム・FAプラットフォーム)などで企業の設備投資需要を取り込んでいる。このほか、リチウムイオン蓄電システムや、ICタグなど幅広い商品テリトリーを有し、EV駆動モーター用コイル加工機の販売も行っている。24年3月期は前期に続いて増収増益を確保する見通しで、売上高が前期比12%増の330億円予想、営業利益も同10%増の34億円予想といずれも2ケタ成長を見込んでいる。株価は中段もみ合い上放れから3000円大台復帰を目指す。

◎ニッポン高度紙工業 <3891> [東証S]=電気絶縁用セパレーター

 高度紙は電気絶縁用セパレーターの専業メーカーで、アルミ電解コンデンサー用セパレーターでは国内95%、世界シェア60%を握る圧倒的な商品競争力を誇っている。コンデンサー以外でも電気二重層キャパシタ用、リチウムイオン電池用などに展開し高い評価を得ている。足もとの業績は低調で24年3月期は営業7%減益と前期に続く減益を見込んでいるが、自動車生産回復はコンデンサー用の需要復元につながり、来期以降はEV市場の拡大に伴う電池用が牽引し収益回復色が強まりそうだ。特にEV向けでは高性能な不織布の電池用セパレーターの開発に成功、業界の視線を集めている。2000円近辺の株価は押し目買いで報われる公算が大きい。

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