米国株式市場見通し:雇用統計やFOMC議事録に注目
来週は下半期、新四半期入りで新たな投資資金の流入を期待できそうだ。また、FRBのストレステスト通過で各銀行が増配など株主還元策を発表し始めており、金融セクターの上昇が相場を支援するだろう。ただ、当局による規制強化も想定される点には注意したい。ほか、PCEコアデフレーターの鈍化も相場を支援しよう。一方、FRBのインフレ目標にはまだ程遠く、FRBが金融引き締め軌道を大幅に緩めるとは考えられない。年内の追加利上げ観測がくすぶる点は相場の上値を抑制するだろう。
また、FRBの金融政策決定において重要な雇用統計の発表に加えて、11会合ぶりに利上げを見送った6月連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される予定で、今後の追加利上げの可能性を見極めるうえで内容に注目したい。パウエル議長は今週参加した討論会やスペイン中銀会合での講演で、前週の議会証言よりもタカ派色を強めた。労働市場のひっ迫が緩和する兆候が見られないほか、消費が強く、住宅市場も底入れし、景気後退予想は2024年に先送りされつつある。議長はインフレが目標値である2%まで減速するのは25年になるとの見方で、長期にわたり金融引き締めが必要との考えを明らかにした。金融機関などから従業員削減計画が発表されているが、6月雇用統計では失業率が一段と低下し20万人近くの雇用増が予想されている。予想通りとなると、7月の利上げ再開観測が改めて強まり相場の上値を抑制することになりそうだ。
なお、7月4日は独立記念日の祭日で休場となる。
経済指標では、6月製造業PMI確定値、5月建設支出、6月ISM製造業景気指数(7月3日)、5月製造業受注、5月耐久財受注確定値(5日)、6月ADP雇用時計、5月貿易収支、週次失業保険申請件数、6月サービス業PMI確定値、5月JOLTS求人件数、ISM非製造業景気指数(6日)、6月雇用統計(7日)などが予定されている。また、FRBは5日に6月FOMCの議事録を公表予定だ。
主要企業決算では、保存容器などの製品を提供するタッパーウェアブランズ(5日)、ジーンズなどの衣料品メーカーであるリーバイ・ストラウス(6日)、などの発表が予定されている。消費の弱さが反映されるかどうかに注目だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ