明日の株式相場に向けて=幕間は低PBRバリュー株の出番
きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比310円安の3万3264円と3日ぶり反落。TOPIXは小幅ながら上昇して取引を終えており、値上がり銘柄数も全体の44%を占めるなど、それほど悪い地合いではないように見えるが、物色動向は激変し、これまでの見慣れた相場の景色が一変した。
個別株ではここまで目を見張る上昇波動を形成してきた半導体関連だったが、きょうは波乱含みに下落する銘柄が目立った。前日の米国株市場では主要株価3指数がいずれも下落したが、ハイテク系グロース株の弱さが目立ち、とりわけ半導体セクターに強い向かい風が吹いた。インテル<INTC>が6%安、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>が5.7%安と派手な下げをみせ、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も2.7%安とナスダック総合株価指数の2倍以上の下落率となった。
これまで東京市場は米株市場でSOX指数が軟調でも、その流れに抗(あらが)って半導体主力銘柄が上値追いを続けるケースが多くみられたが、今日は勝手が違った。売り方のクロスカウンターが決まり、軒並み深い押し目を形成する銘柄が相次いだ。その象徴がソシオネクスト<6526>で、5000円安はストップ安で一気に2万3000円台を割り込んだ。アドバンテスト<6857>も1300円を超える下落で安値引けとなっている。
ソシオネクスについては、大手証券が目標株価を従来の9500円から2万2000円に大幅に引き上げながらも投資判断を「1」から「2」に引き下げ、売り人気を助長した。これはよくある“証文の出し遅れ”パターンであり、カバレッジ対象銘柄の上昇ピッチが速すぎて目標株価を大きく超過してしまったときにありがち。目標株価の水準を上方修正する際に、せめて時価よりは低く設定したいのが人情で、結果的に売り推奨スタイルに変わるケースだ。また、マーケットには買い方だけでなく売り方が常に存在する。「ソシオネクスは機関投資家の貸株調達による空売りがかなり目立っていた。株価の上値が重くなったら叩きたいという一部のファンド系資金のニーズがある」(中堅証券ストラテジスト)という。この日はここぞとばかりに全力で売り乗せている資金も存在したということだ。
もっとも、足の長い資金の実需買いがベースにあり、前日までの上昇パフォーマンスで天井圏到達ということではなさそうだ。ソシオネクスのように株価が未踏の高値圏にある上場後の歴史が浅い成長株の場合、判断材料として時価総額に目を向けるのが有効な場合が多い。例えば、仮にレーザーテック<6920>並みの成長キャパシティを有すると判断できれば、時価総額1兆円がゴールとはなりにくい。現在のソシオネクスの時価総額は8000億円近辺で、最先端半導体設計の要衝にある同社がこの時価総額でまだ評価不十分と思えば、機関投資家の組み入れ買いは波状的に続く公算が大きいという理屈となる。売り方の仕掛けが買い方にとってチャンスとなるケースはレーザーテクの出世街道でも何度かあった。
とはいえ、目先的には米株市場でナスダック指数の上値が重くなり、グロース系銘柄に逆風が意識されやすくなったことで、バリュー株への資金還流を誘導する可能性がある。相場の流れに機敏に対応するのであれば、ここは低PBR銘柄の宝庫である自動車部品株などに目を向けるのも一法だ。世界的な電気自動車(EV)シフトの流れは不変でテーマ買い妙味も内包している。そのなか、トヨタ系メーカーでバッテリー及びモーター、パワーコントロールユニットといった電動化で力を発揮する大豊工業<6470>はPBR0.3倍台だ。また、継続的に取り上げてきたエフテック<7212>も依然としてPBR0.3倍台で改めてマークしたい。このほか、ミクニ<7247>は2030年度までに電動車製品比率7割を目指すなどEV戦略を推進中。こちらはPBR0.4倍台だが400円台で値ごろ感十分。
あすのスケジュールでは、5月の全国消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に発表され、午後取引時間中に5月の全国百貨店売上高が開示される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。このほか、東証グロース市場にARアドバンストテクノロジ<5578>が新規上場する。海外では5月の英小売売上高、6月の仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、6月の独製造業PMI速報値のほか、6月のユーロ圏PMI速報値が発表される。また、米国では6月の製造業PMI(S&Pグローバル調査・速報値)への注目度が高い。なお、この日は中国、台湾市場が休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
個別株ではここまで目を見張る上昇波動を形成してきた半導体関連だったが、きょうは波乱含みに下落する銘柄が目立った。前日の米国株市場では主要株価3指数がいずれも下落したが、ハイテク系グロース株の弱さが目立ち、とりわけ半導体セクターに強い向かい風が吹いた。インテル<INTC>が6%安、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>が5.7%安と派手な下げをみせ、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も2.7%安とナスダック総合株価指数の2倍以上の下落率となった。
これまで東京市場は米株市場でSOX指数が軟調でも、その流れに抗(あらが)って半導体主力銘柄が上値追いを続けるケースが多くみられたが、今日は勝手が違った。売り方のクロスカウンターが決まり、軒並み深い押し目を形成する銘柄が相次いだ。その象徴がソシオネクスト<6526>で、5000円安はストップ安で一気に2万3000円台を割り込んだ。アドバンテスト<6857>も1300円を超える下落で安値引けとなっている。
ソシオネクスについては、大手証券が目標株価を従来の9500円から2万2000円に大幅に引き上げながらも投資判断を「1」から「2」に引き下げ、売り人気を助長した。これはよくある“証文の出し遅れ”パターンであり、カバレッジ対象銘柄の上昇ピッチが速すぎて目標株価を大きく超過してしまったときにありがち。目標株価の水準を上方修正する際に、せめて時価よりは低く設定したいのが人情で、結果的に売り推奨スタイルに変わるケースだ。また、マーケットには買い方だけでなく売り方が常に存在する。「ソシオネクスは機関投資家の貸株調達による空売りがかなり目立っていた。株価の上値が重くなったら叩きたいという一部のファンド系資金のニーズがある」(中堅証券ストラテジスト)という。この日はここぞとばかりに全力で売り乗せている資金も存在したということだ。
もっとも、足の長い資金の実需買いがベースにあり、前日までの上昇パフォーマンスで天井圏到達ということではなさそうだ。ソシオネクスのように株価が未踏の高値圏にある上場後の歴史が浅い成長株の場合、判断材料として時価総額に目を向けるのが有効な場合が多い。例えば、仮にレーザーテック<6920>並みの成長キャパシティを有すると判断できれば、時価総額1兆円がゴールとはなりにくい。現在のソシオネクスの時価総額は8000億円近辺で、最先端半導体設計の要衝にある同社がこの時価総額でまだ評価不十分と思えば、機関投資家の組み入れ買いは波状的に続く公算が大きいという理屈となる。売り方の仕掛けが買い方にとってチャンスとなるケースはレーザーテクの出世街道でも何度かあった。
とはいえ、目先的には米株市場でナスダック指数の上値が重くなり、グロース系銘柄に逆風が意識されやすくなったことで、バリュー株への資金還流を誘導する可能性がある。相場の流れに機敏に対応するのであれば、ここは低PBR銘柄の宝庫である自動車部品株などに目を向けるのも一法だ。世界的な電気自動車(EV)シフトの流れは不変でテーマ買い妙味も内包している。そのなか、トヨタ系メーカーでバッテリー及びモーター、パワーコントロールユニットといった電動化で力を発揮する大豊工業<6470>はPBR0.3倍台だ。また、継続的に取り上げてきたエフテック<7212>も依然としてPBR0.3倍台で改めてマークしたい。このほか、ミクニ<7247>は2030年度までに電動車製品比率7割を目指すなどEV戦略を推進中。こちらはPBR0.4倍台だが400円台で値ごろ感十分。
あすのスケジュールでは、5月の全国消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に発表され、午後取引時間中に5月の全国百貨店売上高が開示される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。このほか、東証グロース市場にARアドバンストテクノロジ<5578>が新規上場する。海外では5月の英小売売上高、6月の仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、6月の独製造業PMI速報値のほか、6月のユーロ圏PMI速報値が発表される。また、米国では6月の製造業PMI(S&Pグローバル調査・速報値)への注目度が高い。なお、この日は中国、台湾市場が休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS