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今年前半のスター銘柄、ソシオネクストを先回りトレードできたわけ
ゆる~いようで強い! 投資家女子の決め技
カバンサイトブルーさんの場合-第2回
第1回記事「半導体祭りの先回りで利益積み上げ、米国株ミラー投資で技向上」を読む
生成AI(人工知能)の登場に触発され、「半導体祭り」の様相を見せていた足元の日本株相場。その喧騒の中で半導体関連の一角、ソシオネクスト<6526>の上昇に拍車がかかっている。
登場中の投資家女子、カバンサイトブルーさん(ハンドルネーム、以下、カバンサイトさん)は、注目を一気に集めるこのソシオに、2022年秋のIPO(新規株式公開)時にすでに着目、2週間ほどで約25%の株価上昇をさらった。
■ソシオネクスと日経平均株価、東証マザーズ指数の日足パフォーマンス比較
注:22年12月30日=0%
将来のスター銘柄に早々と着目し、成果を出せたのは、同じ年、通称「レバナス」、「ダブスコ」と呼ばれるお祭り銘柄に乗り、あっという間に資金を"瞬間蒸発"させた悔しさから、投資法を改善させたからだ。
カバンサイトさんは、2度の大ヤラレから何を学び、どんな改善をしてソシオの成功につなげたのか。その内容にフォーカスする。
人気のレバナスに飛び乗り、いきなり3割減
ソシオでリベンジする前にカバンサイトさんが食らった「レバナス」、「ダブスコ」の2つのショックはどんなものなのか。
前者のレバナスは、特にナスダックの動きが絶好調だった20年から21年を中心に、人気を集めた話題のお祭り銘柄だ。米国の主要指数である「ナスダック総合指数」の構成銘柄の中で、時価総額の上位100銘柄で原則構成する「ナスダック100指数」の値動きに、2倍ないし3倍の動きとなるよう設計されたETF(上場投資信託)や投信になる。
そうした設計なので、これらの銘柄は相場が好調ならばリターンも倍増するが、不調なら損失も倍に拡大する。好調時はハイリターンの部分が注目されがちだったが、当然ながらハイリスクも伴う商品だ。
カバンサイトさんは、より大きなリターンを求め、レバ投信の中でも倍率がより高い3倍型に注目した。この時もSNS(交流サイト)等で話題になっていたのをきっかけに、21年の年末に「これは買わなくては」と決心する。お正月休み中は、年明けの証券会社の営業窓口オープンが待ちきれないほど心が躍っていたという。
待ちに待った大発会の日、カバンサイトさんはここぞとばかりに「NASDAQ100 3倍ブル」を、NISA(少額投資非課税制度)の120万円の限度額を目いっぱい使って購入する。さらに100万円を追加して、「S&P500種指数」の2倍型ブル投信である「iFree レバレッジS&P500」にも買いを入れた。
ところが、買ってウキウキだったのもつかの間だ。すぐに米国市場が崩れ、ナスダック等も暴落に巻き込まれる羽目となる。
それまで好調だったアメ株の個別株にも崩れる動きが出始め、カバンサイトさんは変調を感じて、購入から僅か数週間のうちに解約することになる。この間も価格は容赦なく下落していき、投入金はみるみるうちに3割も溶けていった。
■「NASDAQ100 3倍ブル」投信の日足チャート(21年10月~22年3月)
「米国経済の好調は引き続き維持される」と、本人なりに考えたつもりでの行動だったが、米国市場はすでに利上げ警戒モードに入り、グロース株は水準調整に向かう局面だった。
もう1つの判断ミスは、リターンの課税が免除されるNISA枠を使ったことだ。通常の口座なら、発生した損失を他の取引で出したリターンと相殺して譲渡益課税を軽減できる損益通算の制度を活用できるが、NISA口座ではできない。
コロナ反発相場を主導したナスダック100指数に3倍のレバをかけて、大きなリターンを獲得、そのリターンは課税されずそのまま手元に確保という思いを描いていたが、踏んだり蹴ったりの結果となってしまった。
NISAを使うなら、ボラティリティー(株価の変動率)の高い銘柄は避け、仮に含み損が出ても塩漬けを容認する覚悟が必要だったが、高いリターンが得られるものと決めつけていたのが大きな反省点になった。
絶好調ダブスコだったのに、突如大崩れ
次いでダメ押しとなったショックが、22年3月に参戦したWSCOPE<6619>だ。このトレードでは最終的には約350万円ものリターンは獲得できたので、勝敗でいえば「勝ち」になる。
とはいえ同社株の含み益は一時3000万円台に膨らんだものの実現益は350万円。ポートフォリオ全体も含み益が最大の時は6000万円以上に到達したが、利確時には3000万円台になったことを踏まえると、手放しで誇れるような勝ちとはならなかった。
個人投資家の間ではダブスコと呼ばれることが多い同社は、リチウムイオン電池セパレーターの専業メーカーで、22年前半、EV(電気自動車)関連銘柄として動意付き、お祭り騒ぎになった銘柄だ。3月15日の株価687円を底値に、7月頭に向けて一気に4倍近くまで駆け上がる。
カバンサイトさんが同銘柄に買い出動したのは、ちょうど底値から反転の動きが見られ始めた3月後半だ。日々、チェックしているツイッターで話題に上る場面が目立ち始めたのを機に、同社の事業概要を確認した。すると長期的に期待されるテーマのEV分野であることや、新しい技術を生かした夢のある事業を手掛けていることがわかり、打診買いすることに決めた。
その意思決定が吉と出て、買い出動後の株価は堅調に伸びていった。この動きに買い増しの手を強めると、株価はさらに勢いをつけて上昇、お祭りモードに突入していった。カバンサイトさんが証券口座にアクセスするたび、数十万円水準で増えていく日が続き、多い日は300万円プラスとなる日もあったと言う。
■『株探プレミアム』で確認できるWSCOPEの四半期決算の長期の成長性推移
含み益の増加を毎日撮影
毎日含み益が増えたこともあって、「証券口座の画面を写真に撮って、にんまりしながら眠る毎日だった」(本人)。アメ株投資で始めたモメンタム飛び乗りの順張り投資が、ダブスコでも「途中までは」絶好調で進んでいく。お祭り状態に、カバンサイトさんは「株価はもっと上がる」と頭の中から反落リスクという言葉が消えてしまっていた。
ところが、ショックが起きたのは7月1日のことだ。それまでイケイケで上昇していた株価が、突然、ナイアガラの滝のごとく崩れ、たった2日で20%以上も急落する事態に。ここでも、すぐに異変に気付いて手仕舞いをしたものの、あまりのスピードに対応しきれず、傷は大きく広がった。
なんとかリターンは残り、マイナスになるのは避けられた。だが、削られた金額があまりにも大き過ぎる。「このやり方を続けていたら、いつかは大ヤケドする」。そんな危機感が、カバンサイトさんの頭をもたげた。
■WSCOPE<6619>の日足チャート(22年1月~)
ガラガラ下落がないよう改善してソシオへ
「株価がこんな風にガラガラと崩れる銘柄は、もうイヤ」と、それまでの順張りモメンタム重視で狙う銘柄選びの技を、改良するべく本腰を入れる。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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カバンサイトブルーさんの場合-第2回
文・イラスト/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)
カバンサイトブルーさん(ハンドルネーム・50代・女性)のプロフィール:
子育てと仕事に加え、投資家の3役をこなすキャリアウーマン。2015年に仕事で経済情報に触れる機会が増えたことをきっかけに、投資信託の購入から始め、18年ごろから個別株投資を開始する。
当初はアメ株から手掛け、その後日本株に手を広げる。上昇モメンタムが強まる人気銘柄に乗り順張り投資する手法で、一時は6000万円近くまでリターンを膨らます。そんな成功の一方で、急落に巻き込まれて3000万円台にまで溶かすイタい経験もする。その反省もあって、最近はバリュー重視の考え方も取り入れた改良版の順張り投資にシフトしている。「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
子育てと仕事に加え、投資家の3役をこなすキャリアウーマン。2015年に仕事で経済情報に触れる機会が増えたことをきっかけに、投資信託の購入から始め、18年ごろから個別株投資を開始する。
当初はアメ株から手掛け、その後日本株に手を広げる。上昇モメンタムが強まる人気銘柄に乗り順張り投資する手法で、一時は6000万円近くまでリターンを膨らます。そんな成功の一方で、急落に巻き込まれて3000万円台にまで溶かすイタい経験もする。その反省もあって、最近はバリュー重視の考え方も取り入れた改良版の順張り投資にシフトしている。「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
第1回記事「半導体祭りの先回りで利益積み上げ、米国株ミラー投資で技向上」を読む
生成AI(人工知能)の登場に触発され、「半導体祭り」の様相を見せていた足元の日本株相場。その喧騒の中で半導体関連の一角、ソシオネクスト<6526>の上昇に拍車がかかっている。
登場中の投資家女子、カバンサイトブルーさん(ハンドルネーム、以下、カバンサイトさん)は、注目を一気に集めるこのソシオに、2022年秋のIPO(新規株式公開)時にすでに着目、2週間ほどで約25%の株価上昇をさらった。
■ソシオネクスと日経平均株価、東証マザーズ指数の日足パフォーマンス比較
注:22年12月30日=0%
将来のスター銘柄に早々と着目し、成果を出せたのは、同じ年、通称「レバナス」、「ダブスコ」と呼ばれるお祭り銘柄に乗り、あっという間に資金を"瞬間蒸発"させた悔しさから、投資法を改善させたからだ。
カバンサイトさんは、2度の大ヤラレから何を学び、どんな改善をしてソシオの成功につなげたのか。その内容にフォーカスする。
人気のレバナスに飛び乗り、いきなり3割減
ソシオでリベンジする前にカバンサイトさんが食らった「レバナス」、「ダブスコ」の2つのショックはどんなものなのか。
前者のレバナスは、特にナスダックの動きが絶好調だった20年から21年を中心に、人気を集めた話題のお祭り銘柄だ。米国の主要指数である「ナスダック総合指数」の構成銘柄の中で、時価総額の上位100銘柄で原則構成する「ナスダック100指数」の値動きに、2倍ないし3倍の動きとなるよう設計されたETF(上場投資信託)や投信になる。
そうした設計なので、これらの銘柄は相場が好調ならばリターンも倍増するが、不調なら損失も倍に拡大する。好調時はハイリターンの部分が注目されがちだったが、当然ながらハイリスクも伴う商品だ。
カバンサイトさんは、より大きなリターンを求め、レバ投信の中でも倍率がより高い3倍型に注目した。この時もSNS(交流サイト)等で話題になっていたのをきっかけに、21年の年末に「これは買わなくては」と決心する。お正月休み中は、年明けの証券会社の営業窓口オープンが待ちきれないほど心が躍っていたという。
待ちに待った大発会の日、カバンサイトさんはここぞとばかりに「NASDAQ100 3倍ブル」を、NISA(少額投資非課税制度)の120万円の限度額を目いっぱい使って購入する。さらに100万円を追加して、「S&P500種指数」の2倍型ブル投信である「iFree レバレッジS&P500」にも買いを入れた。
ところが、買ってウキウキだったのもつかの間だ。すぐに米国市場が崩れ、ナスダック等も暴落に巻き込まれる羽目となる。
それまで好調だったアメ株の個別株にも崩れる動きが出始め、カバンサイトさんは変調を感じて、購入から僅か数週間のうちに解約することになる。この間も価格は容赦なく下落していき、投入金はみるみるうちに3割も溶けていった。
■「NASDAQ100 3倍ブル」投信の日足チャート(21年10月~22年3月)
「米国経済の好調は引き続き維持される」と、本人なりに考えたつもりでの行動だったが、米国市場はすでに利上げ警戒モードに入り、グロース株は水準調整に向かう局面だった。
もう1つの判断ミスは、リターンの課税が免除されるNISA枠を使ったことだ。通常の口座なら、発生した損失を他の取引で出したリターンと相殺して譲渡益課税を軽減できる損益通算の制度を活用できるが、NISA口座ではできない。
コロナ反発相場を主導したナスダック100指数に3倍のレバをかけて、大きなリターンを獲得、そのリターンは課税されずそのまま手元に確保という思いを描いていたが、踏んだり蹴ったりの結果となってしまった。
NISAを使うなら、ボラティリティー(株価の変動率)の高い銘柄は避け、仮に含み損が出ても塩漬けを容認する覚悟が必要だったが、高いリターンが得られるものと決めつけていたのが大きな反省点になった。
絶好調ダブスコだったのに、突如大崩れ
次いでダメ押しとなったショックが、22年3月に参戦したWSCOPE<6619>だ。このトレードでは最終的には約350万円ものリターンは獲得できたので、勝敗でいえば「勝ち」になる。
とはいえ同社株の含み益は一時3000万円台に膨らんだものの実現益は350万円。ポートフォリオ全体も含み益が最大の時は6000万円以上に到達したが、利確時には3000万円台になったことを踏まえると、手放しで誇れるような勝ちとはならなかった。
個人投資家の間ではダブスコと呼ばれることが多い同社は、リチウムイオン電池セパレーターの専業メーカーで、22年前半、EV(電気自動車)関連銘柄として動意付き、お祭り騒ぎになった銘柄だ。3月15日の株価687円を底値に、7月頭に向けて一気に4倍近くまで駆け上がる。
カバンサイトさんが同銘柄に買い出動したのは、ちょうど底値から反転の動きが見られ始めた3月後半だ。日々、チェックしているツイッターで話題に上る場面が目立ち始めたのを機に、同社の事業概要を確認した。すると長期的に期待されるテーマのEV分野であることや、新しい技術を生かした夢のある事業を手掛けていることがわかり、打診買いすることに決めた。
その意思決定が吉と出て、買い出動後の株価は堅調に伸びていった。この動きに買い増しの手を強めると、株価はさらに勢いをつけて上昇、お祭りモードに突入していった。カバンサイトさんが証券口座にアクセスするたび、数十万円水準で増えていく日が続き、多い日は300万円プラスとなる日もあったと言う。
■『株探プレミアム』で確認できるWSCOPEの四半期決算の長期の成長性推移
含み益の増加を毎日撮影
毎日含み益が増えたこともあって、「証券口座の画面を写真に撮って、にんまりしながら眠る毎日だった」(本人)。アメ株投資で始めたモメンタム飛び乗りの順張り投資が、ダブスコでも「途中までは」絶好調で進んでいく。お祭り状態に、カバンサイトさんは「株価はもっと上がる」と頭の中から反落リスクという言葉が消えてしまっていた。
ところが、ショックが起きたのは7月1日のことだ。それまでイケイケで上昇していた株価が、突然、ナイアガラの滝のごとく崩れ、たった2日で20%以上も急落する事態に。ここでも、すぐに異変に気付いて手仕舞いをしたものの、あまりのスピードに対応しきれず、傷は大きく広がった。
なんとかリターンは残り、マイナスになるのは避けられた。だが、削られた金額があまりにも大き過ぎる。「このやり方を続けていたら、いつかは大ヤケドする」。そんな危機感が、カバンサイトさんの頭をもたげた。
■WSCOPE<6619>の日足チャート(22年1月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
ガラガラ下落がないよう改善してソシオへ
「株価がこんな風にガラガラと崩れる銘柄は、もうイヤ」と、それまでの順張りモメンタム重視で狙う銘柄選びの技を、改良するべく本腰を入れる。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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