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平均配当利回り5%、「投資家に再就職」の気迫でSVBショックも交わす
ゆる~いようで強い! 投資家女子の決め技 カブ娘とめ子さんの場合-第1回
「恋愛ドラマを見るより、よっぽどワクワクしますね」
そう話すのは、2019年に投資家デビューしたカブ娘とめ子さん(ハンドルネーム、以下、カブ娘さん)。現在は専業主婦で2人の子育てに励み、約3000万円の投資元本は、1200万円の含み益と150万円の年間配当を稼ぐ状況になっている。
リターンを手にするようになったのは、バーチャルよりリアル重視の考えに転換したこと。この先、期待どおり上昇するのかわからない株価よりも、受け取る金額が原則計算できる配当重視に切り替えた。
現実を直視する姿勢は、普段の生活にも浸透。以前は恋愛ドラマにハマっていたが「しょせんは作り話」と、今は実態のある経済や投資に関する動画の視聴に時間を費やす。
そんな、カブ娘さんの投資スタイルを2回にわけて見ていく。前編は、現在取り組む高配当投資にスポットを当てる。
メインは長期で高配当投資、27銘柄を保有
カブ娘さんが現在保有するのは、高配当株主体で27銘柄になる。
資産額の上位には金融の三井住友フィナンシャルグループ<8316>、資源開発最大手のINPEX<1605>、日本たばこ産業<2914>、化学専門商社の稲畑産業<8098>、日本電信電話<9432>などが並ぶ。
■カブ娘とめ子さんが主力にする高配当銘柄
注:23年5月31日現在
19年に株式投資を始めた際、元手としたのは300万円。カブ娘さんが会社員時代に貯めた貯金だ。しかし、すぐに"元本テンバガー"を実行し、3000万円を運用する体制に切り替えた。拡大の原資は、夫の転勤を機に共有名義のマイホームを売却して得た資金だ。
平均配当利回り5%の裏に「自分は投資家に再就職したのだ」
小学生と中学生の2人の子どもがいて、教育資金の確保が必要なカブ娘さん一家が、安全資産の預金でなくリスク資産に回したのは、「投資家に再就職し、私の投資でも家計を支える」と強い気持ちがあったからだ。
夫の転勤を機に正社員を辞めた後、カブ娘さんは株式投資家に再就職しながらも、新天地でパートタイムの仕事に就いていた。しかし、パート収入より配当額の方が増えたこともあり、今年の春にパートの仕事を辞めて、兼業投資家から専業投資家に転身した。
そんなカブ娘さんが、高配当株を買い始めたのは、21年ごろから。現在は、このポートフォリオから約1200万円の含み益を得つつ、年間約150万円となる5%の配当収入を獲得している。
配当重視で銘柄を選ぶのは、先に触れたように、キャピタルゲインより手堅いと見ているため。実は、カブ娘さんは投資を始めた当初、当たれば大きなキャピタルゲインが期待できるグロース株に投資をしてヤラレを食らった経験がある。生半可な知識のまま手を出した報いを受けた格好だ。
これを教訓に、はかない期待のキャピタルゲインより、現実味のあるインカムゲイン狙いに切り替えを決断した。配当狙いでも、日々変動する配当利回りに注目するのではなく、この先も安定した配当を受け取れるかを重視して銘柄を選んでいる。
セクター分散でSVBショックを乗り切る
並行して、自分のポートフォリオ全体の総合力で、安定性を持続させることにも注意を払う。そのために、特定のセクターに偏らず、幅広いセクターに分散投資することを意識して高配当銘柄を選ぶように気を配っている。
今年3月には、米シリコンバレーバンクの破綻をきっかけに、金融株が大きく売られる「SVBショック」に巻き込まれ、カブ娘さんが保有中の高配当銘柄の一角をなす銀行株の株価は大きく下落した。膨らんでいた含み益は大幅に削られ、気持ちも大きく落ち込んでしまう。
■三井住友FGの週足チャート(20年10月~)
それでも大パニックにならなかったのは、「キャピタルゲインは凹んでも、定期的に配当収入は得られる」という状況を理解していたから。そして、ポートフォリオ全体が総崩れの状態にはならず、総合的には一定の下落で踏みとどまったことも心の支えになった。
こうした「◎◎ショック」の類で相場が一時的に崩れる場面がこの先もたびたびあるのは覚悟している。それでも、基本は、ジタバタせずに配当収入を得ながらじっくりと長期保有を続ける方針だ。
共感できる投資家の保有銘柄を参考に
「企業分析は目下勉強中」と言うカブ娘さんは、高配当銘柄の良しあしを見極めるにあたり、様々な株式情報に触れ知識を積み重ねてきた。
現在の保有銘柄は、一連の情報収集を行う中で、「この考え方が自分に合っている」と思える投資家が、ブログ等で公表する保有銘柄を参考にして選別したもの。この場合も、特定の人の考えだけに偏らないよう、複数の投資家の保有銘柄から、自分なりにその着眼点を吟味し取捨選択していった。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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登場する銘柄
編集・構成/真弓重孝(株探編集部)、文・イラスト/福島由恵(ライター)
カブ娘とめ子さん(ハンドルネーム・40代・女性)のプロフィール:
夫の転勤による引っ越しで、正社員を辞めざるを得なくなったことをきっかけに2019年に株式投資デビュー。当初はろくに勉強せずに飛び乗ったグロース株投資で大ヤラレ。この失敗から、上がるかわからない株価より、いくら受け取れるのか、原則把握できる配当を重視する戦略に転換してリターンを積み重ねてきた。
現在は、約3000万円の投資元本に1200万円の含み益と150万円の年間配当を稼ぐ。年間の配当収入は正社員を退職後に一時勤めていたパートの収入を上回る水準。「挑戦なきところに成果なし」と、現在は短期トレードもスタイルに加えつつある。
「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「中級者」と回答。
夫の転勤による引っ越しで、正社員を辞めざるを得なくなったことをきっかけに2019年に株式投資デビュー。当初はろくに勉強せずに飛び乗ったグロース株投資で大ヤラレ。この失敗から、上がるかわからない株価より、いくら受け取れるのか、原則把握できる配当を重視する戦略に転換してリターンを積み重ねてきた。
現在は、約3000万円の投資元本に1200万円の含み益と150万円の年間配当を稼ぐ。年間の配当収入は正社員を退職後に一時勤めていたパートの収入を上回る水準。「挑戦なきところに成果なし」と、現在は短期トレードもスタイルに加えつつある。
「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「中級者」と回答。
「恋愛ドラマを見るより、よっぽどワクワクしますね」
そう話すのは、2019年に投資家デビューしたカブ娘とめ子さん(ハンドルネーム、以下、カブ娘さん)。現在は専業主婦で2人の子育てに励み、約3000万円の投資元本は、1200万円の含み益と150万円の年間配当を稼ぐ状況になっている。
リターンを手にするようになったのは、バーチャルよりリアル重視の考えに転換したこと。この先、期待どおり上昇するのかわからない株価よりも、受け取る金額が原則計算できる配当重視に切り替えた。
現実を直視する姿勢は、普段の生活にも浸透。以前は恋愛ドラマにハマっていたが「しょせんは作り話」と、今は実態のある経済や投資に関する動画の視聴に時間を費やす。
そんな、カブ娘さんの投資スタイルを2回にわけて見ていく。前編は、現在取り組む高配当投資にスポットを当てる。
メインは長期で高配当投資、27銘柄を保有
カブ娘さんが現在保有するのは、高配当株主体で27銘柄になる。
資産額の上位には金融の三井住友フィナンシャルグループ<8316>、資源開発最大手のINPEX<1605>、日本たばこ産業<2914>、化学専門商社の稲畑産業<8098>、日本電信電話<9432>などが並ぶ。
■カブ娘とめ子さんが主力にする高配当銘柄
銘柄名<コード> | 業種 | 配当利回り |
三井住友FG<8316> | 銀行業 | 4.4% |
INPEX<1605> | 鉱業 | 4.3% |
三菱UFJ<8306> | 銀行業 | 4.4% |
武田<4502> | 医薬品 | 4.3% |
JT<2914> | 食料品 | 6.2% |
稲畑産業<8098> | 卸売業 | 4.2% |
ENEOS<5020> | 石油・石炭 | 4.7% |
丸紅<8002> | 卸売業 | 3.9% |
三菱商事<8058> | 卸売業 | 3.6% |
NTT<9432> | 情報・通信業 | 3.2% |
SB<9434> | 情報・通信業 | 5.8% |
19年に株式投資を始めた際、元手としたのは300万円。カブ娘さんが会社員時代に貯めた貯金だ。しかし、すぐに"元本テンバガー"を実行し、3000万円を運用する体制に切り替えた。拡大の原資は、夫の転勤を機に共有名義のマイホームを売却して得た資金だ。
平均配当利回り5%の裏に「自分は投資家に再就職したのだ」
小学生と中学生の2人の子どもがいて、教育資金の確保が必要なカブ娘さん一家が、安全資産の預金でなくリスク資産に回したのは、「投資家に再就職し、私の投資でも家計を支える」と強い気持ちがあったからだ。
夫の転勤を機に正社員を辞めた後、カブ娘さんは株式投資家に再就職しながらも、新天地でパートタイムの仕事に就いていた。しかし、パート収入より配当額の方が増えたこともあり、今年の春にパートの仕事を辞めて、兼業投資家から専業投資家に転身した。
そんなカブ娘さんが、高配当株を買い始めたのは、21年ごろから。現在は、このポートフォリオから約1200万円の含み益を得つつ、年間約150万円となる5%の配当収入を獲得している。
配当重視で銘柄を選ぶのは、先に触れたように、キャピタルゲインより手堅いと見ているため。実は、カブ娘さんは投資を始めた当初、当たれば大きなキャピタルゲインが期待できるグロース株に投資をしてヤラレを食らった経験がある。生半可な知識のまま手を出した報いを受けた格好だ。
これを教訓に、はかない期待のキャピタルゲインより、現実味のあるインカムゲイン狙いに切り替えを決断した。配当狙いでも、日々変動する配当利回りに注目するのではなく、この先も安定した配当を受け取れるかを重視して銘柄を選んでいる。
セクター分散でSVBショックを乗り切る
並行して、自分のポートフォリオ全体の総合力で、安定性を持続させることにも注意を払う。そのために、特定のセクターに偏らず、幅広いセクターに分散投資することを意識して高配当銘柄を選ぶように気を配っている。
今年3月には、米シリコンバレーバンクの破綻をきっかけに、金融株が大きく売られる「SVBショック」に巻き込まれ、カブ娘さんが保有中の高配当銘柄の一角をなす銀行株の株価は大きく下落した。膨らんでいた含み益は大幅に削られ、気持ちも大きく落ち込んでしまう。
■三井住友FGの週足チャート(20年10月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
それでも大パニックにならなかったのは、「キャピタルゲインは凹んでも、定期的に配当収入は得られる」という状況を理解していたから。そして、ポートフォリオ全体が総崩れの状態にはならず、総合的には一定の下落で踏みとどまったことも心の支えになった。
こうした「◎◎ショック」の類で相場が一時的に崩れる場面がこの先もたびたびあるのは覚悟している。それでも、基本は、ジタバタせずに配当収入を得ながらじっくりと長期保有を続ける方針だ。
共感できる投資家の保有銘柄を参考に
「企業分析は目下勉強中」と言うカブ娘さんは、高配当銘柄の良しあしを見極めるにあたり、様々な株式情報に触れ知識を積み重ねてきた。
現在の保有銘柄は、一連の情報収集を行う中で、「この考え方が自分に合っている」と思える投資家が、ブログ等で公表する保有銘柄を参考にして選別したもの。この場合も、特定の人の考えだけに偏らないよう、複数の投資家の保有銘柄から、自分なりにその着眼点を吟味し取捨選択していった。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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