ウイングアーク Research Memo(5):強みは独自のテクノロジー・強力なビジネスチャネル等による強固な財務基盤
■ウイングアーク1st<4432>の事業概要
4. 強み
(1) 独自のテクノロジー
同社グループは、創業以来、企業の情報活用に特化した独自の技術開発に取り組んでいる。超高速集計、データの仮想統合、IoTデータのリアルタイム処理は代表的な特長的技術であり、同社グループの競争力の源泉となっている。それぞれの技術は高度で難解なものであるが、「誰でも簡単」に利用でき、素早く効果をあげられるようにシンプルで直観的に使用できるユーザーインターフェイスを備えたソフトウェア及びサービスとして提供している。なお、研究開発活動及びソフトウェア開発のコア部分は、全て自社グループ内で行っている。
(2) 強力なビジネスチャネル
同社グループの販売モデルは、パートナーを介した間接販売が主となっている。大都市圏で大企業や官公庁の大型案件を得意とするSIerや地方を拠点とするSIer、特定領域に特化したコンサルティングファームやクラウドシステムの構築を専業とするクラウドSIer等多くのパートナー企業と契約しており、日本全国のシステム開発案件をカバーするソリューション/サービス提供体制を構築している。これにより、継続的な案件創出と営業コストの抑制が可能となり、効率的な販売活動を行っている。なお、2021年2月期には、同社グループのソフトウェア及びサービスの販売だけではなく、パートナーとともに新たな市場を開拓していくという考えのもとパートナー制度を改定した。今後もパートナーとより良い関係を築き、双方のビジネスの発展に努めていく考えのようだ。契約パートナー数は、2023年2月期末時点で547社に達している。特に大口は日本電気<6701>であり、取引関係は安定している。
(3) 厚いリカーリングレベニュー
同社グループが提供するソフトウェア及びサービスは、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されている。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積み上がるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、同社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献している。2023年2月期のリカーリング比率は60.2%(前期は61.4%)であった。四半期ベースでは、リカーリング収益は順調に増加している。
また、同社グループは保守契約の継続率をリカーリングビジネスの最も重要なKPIの1つとしている。2023年2月期は95.6%(前期は93.2%)と高い水準で安定している。高い保守契約継続率を維持することによって、既存の契約は最大限維持しつつ、新規契約を積み上げ、持続的な成長を実現していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
《YI》
提供:フィスコ