貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価15分ディレイ → リアルタイムに変更

3498 霞ヶ関キャピタル

東証P
12,850円
前日比
+40
+0.31%
PTS
12,900円
22:20 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.6 4.71 1.87 3.22
時価総額 1,267億円
比較される銘柄
東急不HD, 
三井不, 
三重交HD

銘柄ニュース

戻る
 

霞ヶ関キャピタル Research Memo(9):新たな収益モデルにより、2026年8月期に営業利益200億円を目指す


■中期経営計画

1. 新たな収益モデル
霞ヶ関キャピタル<3498>は、2021年10月に中期経営計画(2022年8月期~2026年8月期)「霞ヶ関キャピタル2.0計画(KC2.0)」を発表した。株式への投資や長期保有を考える投資家は、会社の2~3年先のビジョンや業績計画に基づいて投資する傾向が強い。会社としての経営方針を明確化し、投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は非常に有意義であると弊社では考える。

同社の従来の収益モデルは、土地売却によるキャピタルゲインとコンサルティングによる運用フィー及び成功報酬から成る「コンサルティング型(KC1.0)」であった。短期間に資金回収でき開発リスクのオフバランス化が可能で、資金効率を高めた経営に特長がある一方、開発利益の多くは社外の開発投資家に流出することになる。

これに対し「霞ヶ関キャピタル2.0(KC2.0)」では、「コンサルティング型(KC1.0)」の強みである資金回転率及び開発リスクのオフバランス化を維持しながらも、社外に流出した開発利益を取り込むことを目的に、新たな収益モデルとして「パートナーシップ型(KC2.0)」を策定した。「パートナーシップ型(KC2.0)」のビジネスモデルとしては、(1) パートナーと合弁会社(JV)を設立し計画の立案から開発までを実施する、(2) 開発基本スキームはSPCを設立してノンリコースローンとパートナーからの資金で開発を行う形式とする、(3) JVが開発利益を受領し、同社は出資比率分(66%)を享受できる、(4) JVは同社の連結子会社となるがSPCは非連結とすることを基本スキームとしている。

このスキームによる同社のメリットとしては、(1) JVが用地取得から開発まで実施するため、これまで機会逸失していた開発利益の66%を得ることが可能となる、(2) SPCを活用した開発の場合、ノンリコースローンを活用するため、同社事業へのリスクは限定的となる、(3) 事前にパートナーと合意した物件を開発するため、用地取得・物件開発をスムーズに進めることが可能となる。「パートナーシップ型(KC2.0)」は、「コンサルティング型(KC1.0)」に比べて収益化のタイミングは遅くなるが収益の総額は大きくなる見通しだ。すなわち、開発利益の66%を取り込めるうえ、オフバランス化によって開発リスクが軽減されることで、販管費は増やさずに大規模な事業にも取り組むことが可能となる。まずは物流施設開発事業からKC2.0化を進めており、中期的にはホテル事業やその他事業のアセットに対しても拡大を予定している。

2. 数値目標
中期経営計画の数値目標としては、最終年度の2026年8月期に営業利益200億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円を掲げている。営業利益は2021年8月期の13.2億円から15.1倍、親会社株主に帰属する当期純利益は同7.9億円から12.6倍を目標とする、非常に意欲的な計画である。なお、物流施設開発事業では新たな収益モデル「パートナーシップ型(KC2.0)」を採用し、物流施設開発事業以外では従来の「コンサルティング型(KC1.0)」による利益貢献を前提としている。2022年8月期から2024年8月期は「パートナーシップ型(KC2.0)」の仕込み期間としており、「パートナーシップ型(KC2.0)」の利益貢献は2025年8月期以降から本格化する予定だ。これは、2022年8月期から2024年8月期は物流施設開発事業の仕入及び開発に留まるものの、2025年8月期以降は運用が開始されることで、売却益などの利益貢献が本格化するためである。

また中期経営計画では、AUMの総額を、2021年8月期の316億円(物流施設207億円、ホテル109億円)から、最終年度の2026年8月期には6,000億円規模への拡大を目指す。なお、中間地点の2024年8月期には物流施設「LOGI FLAG」で2,000億円規模、FAV HOTELで約500億円、その他事業で約500億円のAUMを目指す。物流施設を中心に、ホテル及びその他事業でAUMを積み上げ、安定収益の拡充を加速させる計画である。

以上のように中期経営計画の数値目標は意欲的なものであるが、これらは計画策定時の収益材料に基づいた保守的な計画であり、計画期間中に新たな収益材料が現れる可能性もあることから、十分に達成可能な数値であると弊社では考える。実際、2022年8月期にはレジデンスファンドの組成やヘルスケア関連施設開発事業への参入など、計画発表時には織り込んでいなかった新規事業を立ち上げ、順調な進捗となっている。2022年8月期実績に続き2023年8月期も中期経営計画を上回る業績を予想しており、最終年度の目標達成に邁進している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《YI》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均