霞ヶ関キャピタル Research Memo(4):十分な安全性と収益性を確保
■霞ヶ関キャピタル<3498>の業績動向
2. 財務状況と経営指標
2023年8月期第2四半期末における資産合計は前期末比2,043百万円減の28,393百万円となった。流動資産は同1,949百万円減の23,809百万円であった。これは主に現金及び預金が1,877百万円増加した一方、販売用不動産が4,771百万円減少したことによる。好調な売却に伴い販売用不動産は減少したものの、仕入は順調であり、十分な在庫水準を維持していると言えよう。一方、固定資産は同96百万円減の4,570百万円となった。これは主に匿名組合への出資等により投資その他の資産が739百万円増加した一方、保有目的の変更に伴う販売用不動産への振替等により有形固定資産が834百万円減少したことによる。
負債合計は前期末比2,613百万円減の18,463百万円となった。流動負債は同3,054百万円減の10,835百万円であった。これは主に短期借入金等(短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金)が2,918百万円減少したことによる。固定負債は同441百万円増の7,628百万円であった。これは主に長期借入金が298百万円増加したことによる。また、土地売却に伴い有利子負債(長短借入金)は同2,620百万円減の15,304百万円となった。純資産合計は同569百万円増の9,929百万円となった。これは主に利益剰余金が575百万円増加したことによる。
同社のビジネスモデルは、高収益と財務の健全性を同時に実現するものである。2023年8月期第2四半期末の自己資本比率は34.3%(前期末比4.1ポイント上昇)に改善し、2022年3月期の東証1部上場の不動産業平均の32.9%を上回る水準を維持し、十分な安全性を確保している。同社は健全な財務体質に基づき、引き続き仕入を積極的に進める方針だ。なお収益性についても、2022年8月期のROAは7.6%、ROEも14.5%と、2022年3月期の東証1部上場不動産業平均の3.9%、8.1%を大きく上回っており、高い収益性を確保していると評価できる。
同社ではバランスシートを使って開発するのではなく、SPC(特別目的会社)を活用してオフバランスした状態で開発及び運用を行っているため、バランスシートからは現在どれくらいの物件が開発中・運用中かを把握しづらい。しかしながら、物流施設開発事業が順調に拡大していることに加え、コロナ禍からの落ち着きを取り戻したことでホテル開発事業が大幅に伸長した結果、2023年3月末のプロジェクトパイプラインは2,449億円(2022年8月末比491億円増)と急速に拡大しており、中期経営計画の目標であるAUM6,000億円規模の達成に向けて着実に進捗している。物流施設開発事業と新規事業(ヘルスケア関連施設開発事業及びファンド事業)の寄与に加え、ホテル開発事業の拡大が見込まれることから、プロジェクトパイプラインの拡大スピードはさらに加速すると弊社では見ている。
2023年8月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比1,877百万円増の7,267百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは5,448百万円の収入となった。これは主に、棚卸資産の減少による収入が4,651百万円あったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは914百万円の支出となった。これは主に、投資有価証券の取得による支出が566百万円、貸付けによる支出が650百万円それぞれ増加したことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは2,657百万円の支出となった。これは主に短期借入金の減少による支出が1,096百万円あったことによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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提供:フィスコ