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待機児童1万5000人強、対策急務の「学童保育」関連株に照準絞れ <株探トップ特集>


―「小1の壁」打破に拡充急務、「異次元の少子化対策」にも盛り込まれる国策テーマ―

 岸田文雄首相は今年1月、「異次元の少子化対策」を打ち出し、児童手当の強化や子育て支援サービスの拡充、働き方改革の3項目の検討を指示した。4月にスタートしたこども家庭庁ではそのたたき台である「こども・子育て政策の強化について(試案)」を3月末に公表。今後3年間を集中取り組み期間として、「こども・子育て支援加速化プラン」に取り組むとしている。

 「異次元の少子化対策」が打ち出されて以降、株式市場ではさまざまな少子化対策や子育て支援に関連した銘柄が注目を集めたが、これらのテーマは今後、日本が長い時間をかけて取り組むべき課題であり、今後も折に触れ注目を集める可能性は高いだろう。

 今回は特に学童保育に注目したい。課題が山積する子育て支援のなかでも、安心して子どもを任せられる支援態勢づくりは時間がかかるものの整備が急務な分野であり、民間企業のビジネスチャンスも大きい。

●「#学童落ちた」で明らかになった学童保育問題

 学童保育は放課後児童クラブとも呼ばれ、保護者が日中、仕事などで自宅を不在にしている家庭の小学生児童に遊びや生活の場を提供する事業のこと。最近では今年3月、SNS上で「#学童落ちた」の投稿が相次ぎ、ツイッターのトレンド入りしたことで話題になった。公設の学童保育では、利用するのに行政の書類審査や面接などが行われることが多く、その審査結果が2月下旬から3月初旬に出ることから、「学童落ちた」ハッシュタグはこの時期によく投稿されるという。

 SNS上における保育に関する投稿といえば、2016年2月の待機児童問題に関するブログ記事「保育園落ちた日本死ね!!!」が思い出される。保育園と学童保育の違いはあるものの、7年経っても待機児童の問題が解消されていないことがわかる。岸田首相は1月に打ち出した「異次元の少子化対策」で学童保育について質・量、両面から強化を進めるよう指示し、早期の学童保育における待機児童の解消を目指しているが、実態との乖離は大きい。

●学童保育を利用する子どもの数は過去最高を更新

 共働き世帯や一人親世帯では、子どもの小学校入学を機に仕事と育児の両立が難しくなる「小1の壁」問題が深刻化しており、これが待機児童(学童)の増加にもつながっている。

 厚生労働省の「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によると、学童保育を利用する子どもの数は毎年過去最高を更新し続けている。調査を開始した1998年には34万8543人だったが、2002年には50万2041人と50万人を突破。15年には102万4635人と100万人を突破し、22年には139万2158人と調査開始時から4倍に増加している。

 一方、22年に学童保育を利用できなかった 待機児童は1万5180人(前年比1764人増)に上る。コロナ禍の影響で19年の1万8261人をピークに20年、21年は減少していたが、感染拡大が落ち着きを取り戻し、行動制限の緩和もあって再び上昇に転じており、23年以降、高水準の待機児童数が続く可能性がある。

 国では、「小1の壁」を打破するとともに待機児童を解消するためには、学童保育の追加的な整備が不可欠な状況であるとして、学校施設の有効活用などを行っているが、縦割り行政の弊害もあって、想定したほどには進んでいないのが現状だ。

●公設学童の運営受託や民間学童展開企業に商機

 こうしたなか、近年増加しているのが、民間企業などが設置・運営する学童保育だ。

 学童保育には、自治体が設置した「公立学童」と民間企業やNPO法人などが設置した「民間学童」があり、更に公立学童には自治体直営の「公設公営」のものと、自治体から委託を受けた民間業者が運営する「公設民営」のものの2種類がある。この2種類の運営方針には大きな差はないが、公立学童と民間学童には利用料金や預けられる時間などに大きな差がある。また、民間学童には施設やサービス内容、カリキュラムの提供などで公立学童にはない特徴を持つところも多く、近年では民間学童を選択する人も増えている。

 学童保育の運営や受託運営を行う企業、運営コンサルティングやシステム面の支援を行う企業には、国の 子育て支援政策の後押しもあって今後もビジネスチャンスの拡大が期待できる。関連銘柄のなかには直近で株価が弱含んでいるものもあるが、リバウンドを検討してもいいだろう。

●広がり見せる学童保育関連銘柄

 ライク <2462> [東証P]は、グループで総合人材サービス、子育て支援サービス、介護関連サービスを提供しており、子育て支援分野では子会社ライクキッズが直営の「にじいろ学童クラブ」を展開するほか、公設民営学童や公設民営全児童対策施設である「放課後キッズクラブ」を運営している。グループ内の人材部門とのシナジーや研修コンテンツの横展開による人材育成に強みがあり、施設数を順調に増やしている。

 JPホールディングス <2749> [東証P]は、保育園をはじめ学童クラブ、児童館などを運営する子育て支援事業を主力に、子育て支援施設向けの給食事業や幼児学習プログラムの開発を行う研修・研究事業などを展開する。現在、学童保育・児童館の運営施設数を現状の2倍の200施設に拡大するべく、新規受託を積極的に推進しており、業績への反映が期待されている。

 グローバルキッズCOMPANY <6189> [東証P]は、子会社グローバルキッズが保育園や学童保育の運営、保育園の給食調理の受託、保育園の新規開園・施設運営に関するコンサルティングなどを手掛けており、学童保育では東京、神奈川に9施設を運営している。足もとでは子育てプラットフォームの開発に注力しており、収益機会の拡大を図っている。

 テノ.ホールディングス <7037> [東証P]は、首都圏や九州を中心に認可・小規模認可保育所の運営を行うほか、受託保育所や学童保育施設などを運営。また、保育人材の派遣・紹介や介護事業なども手掛けている。学童保育は22年12月期末時点で59施設を運営。自治体との取引を増やすなどして施設数を順調に増やしている。

 ポピンズ <7358> [東証P]は、ナニー(教育ベビーシッター)やベビーシッターの派遣を主力に高齢者向け在宅ケアサービスや保育・教育施設の運営などを展開している。同社では、中期方針として「待機児童から待機学童へ」ニーズを確実に捉えることを掲げており、コンスタントに年間1ケタ台後半の事業数の獲得を図るほか、自治体アプローチの徹底などに注力するとしている。

 このほか、傘下の学研ココファン・ナーサリーが民間学童や公設民営学童の運営を行う学研ホールディングス <9470> [東証P]や、傘下のベネッセスタイルケアが東京や神奈川などで学童クラブを運営するベネッセホールディングス <9783> [東証P]にも注目。更に、学童保育システム「Sossian」シリーズを手掛けるさくらケーシーエス <4761> [東証S]や、認可保育園を運営し学童向けICTシステム「Child Care System」を展開するAIAIグループ <6557> [東証G]などもマークしたい。

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