カンロ Research Memo(12):バーパスドリブン企業を目指すことを宣言
■トピックス
1. 新社長就任
カンロ<2216>は、2030年を見据えた長期ビジョン「KanroVison 2030」の実現のため、2022年から2024年までの3ヶ年計画である「中期経営計画2024」ではバーパスドリブン企業を目指すことを宣言している。同計画の2年目を迎える2023年12月期に新社長に就任した村田哲也氏は、引き続き「中期経営計画2024」で掲げたバーパスを起点に、素材の力と機能を追求した商品・サービスを提供することで社会の持続可能な未来に貢献する企業を目指すとしている。
2. IR活動の強化
同社は2019年に、IR活動に注力するため専門部署を設置し、積極的な決算説明会や投資家向け説明会、情報開示の拡充等を行った。さらに、2022年12月期は好業績と、株式分割を含むIR施策やメディアへの露出の増加によるPR施策などの効果により、単元株主数が個人株主を中心に前期末の6,865人から12,067人へと大幅に増加した。
3. 人的資本拡充
同社は、多様な人材が健康で活き活きと働ける環境の整備に注力し、人的資本の拡充を目指している。2021年に作成した健康経営戦略マップ及びロードマップに基づき、社員の健康づくりを支援するため、健康維持のための支援制度や健康増進につながる「ハード」と「ソフト」の整備などの従来の取り組みに加え、社員の健康状態の把握、社員同士のコミュニケーション促進、従業員の喫煙率低下、女性特有の健康関連課題に関する知識を得るためのセミナーの実施や、生活習慣病などの疾病の高リスク者に対する重症化予防など、多岐にわたり取り組んでいる。それらの活動が評価され、2022年の「健康経営優良法人2022」に引き続き、2023年も「健康経営優良法人2023」に認定された。
4. International ARC アワード
同社は、2021年から外国人投資家や海外の大口取引先等、あらゆるステークホルダーに必要な情報をまとめたIR冊子「アニュアルレポート2021」(英語版)を発刊しており、2021年に引き続き、2022年も世界最大規模のアニュアルレポートコンペティション「International ARC アワード2022」に出品し、3部門の「Gold」、2部門の「Silver / Bronze」受賞に続いて、世界最優秀部門賞を2部門「Non-Traditional Annal Report」「Chairman’s/President’s Letter」で受賞した。
5. TCFD
同社は、2023年3月にTCFD※1(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示を取締役会で決議し、TCFDコンソーシアム※2に加盟、「Kanro TCFD Report ~カンロの気候変動への取組み~ 」を発行。企業パーパス「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」の下、人と社会の持続可能な未来に貢献すべく、事業活動を展開。今後、気候変動によるリスクと機会に関するシナリオ分析について、(1)時間軸の長期化、(2)定量分析の実施を進め、戦略を深化させるとともに、情報開示の充実に取り組む。
※1 2015年にG20の要請で設立され、気候変動によるリスク及び機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目について開示することを推奨している。
※2 TCFDについて企業の効果的な情報開示や取り組みについて議論するための共同企業体。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
《SI》
提供:フィスコ