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6634 ネクスグループ

東証S
126円
前日比
+19
+17.76%
PTS
118.1円
08:50 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
31.3 1.17
時価総額 48.0億円
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ネクスグループ Research Memo(5):営業利益が大幅黒字転換、不採算事業からの撤退により収益性が高まる(1)


■業績動向

1. 2022年11月期の業績概要
ネクスグループ<6634>の2022年11月期の連結業績は、売上高が2,758百万円(前期比43.1%減)、営業利益が427百万円(前期は208百万円の損失)、経常利益が529百万円(同133百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が806百万円(同165.4%増)となった。「慢性的な営業赤字の解消」と「財務基盤の強化」を目的として事業構造改革を推進したことで収益性が改善したことに加え、暗号資産・ブロックチェーン事業で一部暗号資産の売却を行ったことにより、営業利益は大幅な黒字転換となった。

トピックスとしては、新規事業としてメタバース及びデジタルコンテンツ関連の事業を「メタバース・デジタルコンテンツ事業」とし、2022年2月に実業之日本デジタルを子会社化、同年3月にワイルドマンを持分法適用関連会社とした。セグメント別の業績については、IoT関連事業でUSB型LTE/3Gデータ通信端末「UX302NC-R」の売上が増加したほか、暗号資産・ブロックチェーン事業で一部暗号資産の売却を行い営業増益に寄与した。このほか、事業構造改革の推進により、インターネット旅行事業及びブランドリテールプラットフォーム事業から撤退した。

2. セグメント別動向
(1) メタバース・デジタルコンテンツ事業
売上高は93百万円、営業損失は13百万円となった。メタバース分野については、ワイルドマンで、新たに(株)レジストアートが実施する「レジストアート トークンプロジェクト」に参画し、レジストアートが提供するVR美術館の開発案件を受注した。また、VR上のアバターを操作するためのトラッキングデバイスの開発案件についても順調に進捗している。デジタルコンテンツ分野については、コロナ禍における巣ごもり需要が一巡したものの、電子書籍市場は引き続き堅調に推移している。実業之日本デジタルは、漫画の有料コンテンツが売上をけん引した。また、既存書店の増売施策として、主要電子書店でのポイント還元施策などを継続的に実施している。今後も、図書館・小学校向けサブスクリプションサービスなど、新たな施策に取り組む方針だ。なお、出版業界の商習慣として販売の2ヶ月後に売上計上されることから、5~11月のおおむね7ヶ月分のみの売上計上となっている。一方で、のれん償却を3~11月の9ヶ月分計上したことから営業損失を計上した。

(2) IoT関連事業
売上高は651百万円(前期比12.0%増)、営業利益は50百万円(前期は102百万円の損失)となった。増収及び営業利益の黒字転換となったものの、半導体不足や上海ロックダウンの影響によるNCXX AI BOX「AIX-01NX」供給不足、5G※データ端末「UNX-05G」開発遅延により当初予算を下回って着地した。

※LTEと比べて超高速・大容量な通信で多数同時接続、超低遅延を実現するもので、日本全国の98%に基地局展開される計画が進んでいる。


製品別では、NVIDIA Corporation<NVDA>が提供するGPU※を利用したリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を搭載したNCXX AI BOX「AIX-01NX」を2022年9月末より販売している。同製品は、1台でカメラ・センサーなどから得られた情報をリアルタイムにAI分析し、分析結果をクラウドに連携できることから、リテールテック、製造業、セキュリティ、介護見守り・測定・異常監視などの幅広い分野で活用が期待される。

※画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置。


既存製品については、(株)NTTドコモの相互接続性試験をクリアし、全国のドコモショップ及びドコモオンラインショップにて販売されているUSB型LTE/3Gデータ通信端末「UX302NC-R」の売上が増加している。また、文部科学省が教育改革案として推奨している学校のICT化「GIGAスクール構想」における「1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画」に標準仕様として提示されているGoogleのChrome OSを搭載したコンピュータ「Chromebook」に対応する機能の追加バージョンをリリースした。

データ通信端末については、5Gデータ端末「UNX-05G」を開発しており、2022年12月からサンプル提供を開始した。同製品は、マルチキャリアの周波数に対応し、Wi-FiやEthernetを搭載したバッテリーレスのルーター・モデムである。建設現場の建機遠隔制御、工場のスマートファクトリー、農業を高度化する自動農場管理、自治体の河川等の監視などの建物内や敷地内でスポット的に柔軟に構築できるローカル5Gへの活用など、地域課題解決や地方創生への対象領域の拡大が期待される。

テレマティクスについては、市場を取り巻く社会環境の影響で需要が増加傾向にあるクラウド型車両管理・動態管理システムにおいて、OBDII型自動車テレマティクスデータ収集ユニット「GX700NC」が市場を確保しており、排気ガス測定・管理や、EV車の充電・電費・残量管理などのSDGsへの取り組みなどに活用の範囲が拡がることが期待される。同製品はNTTドコモ/KDDI/SoftBankの国内の主要なLTE周波数や、準天頂衛星システム「みちびき」など5方式の全球測位衛星システムに対応することにより、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも測位の安定性が向上した。

農業ICT事業(NCXX FARM)では、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進している。「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の生産・販売を行っており、青果と加工品のGOLDEN BERRYアイス及びGOLDEN BERRY フレッシュリキュールを販売している。また、通常は焼却廃棄される葉や茎の残渣について、(公財)岩手生物工学研究センターとの共同研究により、抗炎症作用や抗酸化・抗糖化作用などの様々な成分が含まれることが判明したため、各種の有効な成分エキスを抽出し化粧品等の原材料としての商品開発を進めており、2023年11月期内の商品化と販売を目指している。

フランチャイズ事業では、自社試験圃場での栽培実績を基に、独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加えて、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品を提供する農業総合コンサルティングサービスを展開している。また、有料圃場見学会を不定期で開催しており、2022年10月、11月にそれぞれ「東北運輸局事業ICT技術を活用した産業観光の招請事業」の一環として、タイの海外ツアー会社が東北運輸局とともに視察に訪れるなど注目を集めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)

《SI》

 提供:フィスコ

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