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3683 サイバーリンクス

東証S
744円
前日比
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.6 1.08 2.15 13.68
時価総額 84.7億円
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サイバリンクス Research Memo(5):減収ながら前期比19.1%の経常増益を達成、3年連続で最高益を更新


■業績動向

1. 2022年12月期の業績概要
サイバーリンクス<3683>の2022年12月期の連結業績は、売上高12,225百万円(前期比7.7%減)、営業利益1,127百万円(同19.3%増)、経常利益1,141百万円(同19.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益909百万円(同41.0%増)となり、経常利益は3年連続で過去最高を更新した。期初計画に対する達成率については、売上高は92.1%と若干下回ったものの、定常収入は101.0%、経常利益は109.2%となり、計画を上回った。セグメント別では、モバイルネットワーク事業が経営環境変化により減益となったものの、流通クラウド事業及び官公庁クラウド事業が好調に推移した。

経常利益(前期比183百万円増)の増減要因を分析すると、流通クラウド事業は248百万円の増益となり全体をけん引した。内訳は収入増(主に定常収入の拡大)による増益60百万円、ソフトウェア償却費減少による増益110百万円、販管費等の費用減(主に「C2Platform」の研究開発フェーズ終了)による増益60百万円であった。官公庁クラウド事業は116百万円の増益であったが、主に新型コロナウイルス感染症関連の小型スポット案件等への対応により収益性が改善したことによる。トラスト事業では、前期に計上した事業取得費用が剥落したこと等から113百万円の増益(営業損失の縮小)となった。モバイルネットワーク事業は、NTTドコモによる割引施策の方針変更等により販売台数が減少したことに加え、NTTドコモからの支援費等が減少したことにより214百万円の減益となった。また全社ベースでは、諸費用等の増加により70百万円の減益となった。

2. セグメント別概要
各セグメントの状況は以下のとおりである。

(1) 流通クラウド事業
セグメント売上高は前期比6.5%増の4,284百万円、定常収入は同8.2%増の3,587百万円、セグメント利益(経常利益、以下同)は同43.8%増の813百万円となった。

主力製品である「BXNOAH」や「@rms基幹」等のクラウドサービスが拡大したことや、企業間連携プラットフォーム「C2Platform」で大手食品小売業数社から受注を獲得したことから定常収入が着実に増加し、増収を確保した。「クラウドEDI-Platform」は大手ユーザーが1社増加し、加工食品卸売業の売上高上位10社のうち、8社が同サービスのユーザーとなった。

収益面では、「@rms基幹」の初期開発にかかる償却がおおむね終了したこと等により、ソフトウェア償却費が前期比130百万円減少し230百万円となった。これにより収益性が大きく改善し、セグメント利益率は前期の14.1%から19.0%へ上昇した。

(2) 官公庁クラウド事業
セグメント売上高は前期比14.0%減の5,296百万円、定常収入は同3.9%増の2,840百万円、セグメント利益は同19.4%増の712百万円となった。防災行政無線デジタル化工事やGIGAスクール関連案件等の特需が2021年12月期第1四半期(2021年1~3月)までに終了した影響により、前期比では大幅減収となったが、想定の範囲内であった。一方で損益面では、比較的利益率の高い新型コロナウイルス感染症関連のスポット案件等が計上されたことから粗利率が大きく改善し、セグメント利益は増益となった。

トピックスとしては、2022年7月に、自治体向け文書管理システム「ActiveCity」を主力とするシナジーを子会社化した。今後は、全国展開に向けてグループ全体での相乗効果発揮に向けた取り組みを推進する※1。また同年8月には、マイナンバーカードを活用した本人確認(eKYC※2)・電子署名により自宅にいながら自治体への税務申請や相談を行うことができる自治体DXサービス「Open LINK for LIFE みんなの窓口」を開始した。

※1 シナジーの損益計算書への連結は2023年12月期からとなる予定。
※2 electronic Know Your Customerの略で、オンライン上で本人確認を行う技術。


(3) トラスト事業
セグメント売上高は前期比50.0%減の47百万円、定常収入は同59.4%増の37百万円、セグメント損失(経常損失)は236百万円(前期は349百万円の損失)となった。

前期に寄与した既存サービスの一部が減少したことから減収となったが、「マイナトラスト電子委任状」やブロックチェーン技術を利用したデジタル証明書発行サービス「CloudCerts」の提供拡大により定常収入は増加した。損益面では、マイナンバーカードをベースとする各種サービス(不動産売買・登記を完全オンラインで実施、商業登記手続きを完全オンラインで実施等)の開発や実証実験を進めたことから開発費が増加したものの、「CloudCerts」の取得費用約120百万円が剥落したことから経常損失は縮小した。

トピックスとしては、2022年5月に韓国のRAONSECURE(株)とブロックチェーン・分散型ID※基盤の電子証明書事業に関する業務提携合意書を締結した。RAONSECUREが有するブロックチェーン技術を用いた分散型ID基盤を生かし、同社のトラストサービスにおける様々な「証明」をより広く安全に流通させることを目指す。また、2023年4月実施分より「TOEIC(R) Program」公開テストのデジタル公式認定証に採用される等、DXの機運醸成に伴い「CloudCerts」への関心が高まっている。「TOEIC(R) Program」は日本最大級の認定証発行機関であり、大規模検定試験としては日本初の取り組みとなる。

※ブロックチェーンの分散型台帳技術を利用することで、特定のプラットフォーマーに依存せずに、自分の情報を必要な範囲で提示できる技術。


(4) モバイルネットワーク事業
セグメント売上高は前期比12.4%減の2,596百万円、定常収入は同25.6%減の452百万円、セグメント利益は同56.1%減の167百万円となった。半導体不足による端末不足は解消傾向にあるが、NTTドコモによる端末購入に関わる割引施策の方針変更のため、顧客の実質端末購入価格が上昇したこと等により、販売台数は減少し端末販売による売上高は減少した。またNTTドコモからの支援費が減少した影響等により定常収入も減少し、セグメント利益も減益となった。

トピックとしては、NTTドコモによる「ドコモショップをエリアごとに適切な店舗数・店舗規模に見直す方針」を踏まえ、2022年12月に和歌山県下のドコモショップ運営企業2社を吸収合併した。この結果、県下店舗の約半数を同社が運営することとなった。今後は、「地域トップシェア」の確立により地域の強力な販売パートナーとなることを目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《YI》

 提供:フィスコ

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