アイリック Research Memo(5):自社開発システムを活用したワンストップソリューションが強み
■事業概要
5. 特長・強み
保険販売(訪問型、来店型)は競合の多い市場だが、保険ショップの新しいスタイルとして「保険IQシステム」をベースとした最良の顧客サービスを、コンサルティングから契約までワンストップソリューションで展開していることがアイリックコーポレーション<7325>の強み・競合優位性となっている。また、大手保険ショップで唯一FC展開していることも強みである。
2022年6月には、企業内代理店・地方公共団体向け保険の最適解ツールとして、保険の「職域ロボアドバイザー」をリリースした。なお、生命保険募集人がスマートフォンやタブレット等のカメラで撮影した生命保険証券を「スマートOCR」を活用して自動分析する「生命保険証券の自動分析サービス」は、2021年5月に特許を取得(第6887233号)した。
「保険クリニック」店舗数、「AS」シリーズID数は増加基調
6. 主要KPI
来店型保険ショップ「保険クリニック」の店舗数(直営、FC)は、2023年6月期第2四半期末時点で合計254店舗(直営60店舗、FC194店舗)、地域別(直営とFCの合計)では北海道・東北15店舗、関東103店舗、甲信越・北陸17店舗、東海35店舗、関西35店舗、中国・四国13店舗、九州・沖縄36店舗となった。店舗数は増加基調で、2015年6月期末合計158店舗(直営18店舗、FC140店舗)の約1.6倍の規模となった。直営店は集客力の高いショッピングモール等から収益性の高い物件を精査・選別して出店し、FCは他業界からの保険代理店業界への参入意欲が高まっている。今後は店舗網拡大に向けて、直営店の新規出店、既存FCの追加出店、新規FCの募集に加えて、中小規模の保険ショップチェーンに対するM&Aも検討する方針である。
直営店の新規集客数はおおむね12,000人前後で推移している。2020年6月期から2022年6月期にかけて、コロナ禍の影響を受けてやや伸び悩む形となった。2023年6月期は行動制限の緩和に加えて、2022年11月から大規模プロモーションを実施した効果や、2020年~2022年にオリコン顧客満足度(R)調査「来店型保険ショップランキング」で3年連続第1位となった効果も寄与してブランド認知度が向上し、新規集客数が増加基調に転じた。
直営店の成約率はおおむね60%前後で推移している。約50社の新商品や商品改定など複雑化する保険商品に対応するための教育・研修を強化し、コンサルティング能力向上と成約率向上に努めている。なお成約率は必ずしも集客数と直接連動しない傾向があるため参考値として捉えておきたい。2021年6月期は直近では最も高い62.7%となった。これは、コロナ禍においても保険に加入したいという積極的な顧客の来店が多かったことが一因と考えられる。
直営店の1世帯当たりの成約単価はおおむね160千円前後で推移している。なお成約単価は保険商品の構成によって変動する傾向がある。直近では老後資金の貯蓄に対する関心度が高く、貯蓄型保険の販売が好調であり、特に米国の金利上昇を背景に外貨建て一時払い終身保険の販売が伸長している。顧客の多様なニーズに対応して丁寧なヒアリングと情報提供を徹底するとともに、特約付加による保障内容充実などにより、成約単価上昇につながるケースもあると言う。
ソリューション事業AS部門の「AS」シリーズID数の推移は増加基調である。2023年6月期第2四半期末時点では大型代理店への「AS-BOX」導入も寄与して合計10,231ID(代理店・銀行が5,942ID、保険会社が4,289ID)となった。2019年6月期末の合計7,739ID(代理店・銀行が4,720ID、保険会社が3,019ID)に対して32.2%増加した。引き続き大手保険会社をはじめとした大型案件が複数継続しており、さらなる新規導入を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《NS》
提供:フィスコ