デイトナ Research Memo(6):国内・アジアともに伸長し、全セグメントで増収増益に(1)
■業績動向
1. 2022年12月期の業績概要
デイトナ<7228>の2022年12月期の連結業績は、売上高14,586百万円(前期比16.3%増)、営業利益2,056百万円(同12.5%増)、経常利益2,116百万円(同12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,433百万円(同8.4%増)となった。また、期初計画に対しても売上高で5.5%増、営業利益で0.9%増、経常利益で2.7%増、親会社株主に帰属する当期純利益で4.1%増となり、売上高・各利益ともに上回って着地した。
同社が属する二輪車業界では、二輪車が密を回避する移動手段であるとともに趣味の乗り物として再評価され、免許取得者や新車、中古車の販売台数の増加傾向が続いている。趣味性の高い排気量250ccを超える小型二輪クラスの新車販売台数が前年比2ケタ増と好調に推移しているほか、趣味の利用が多い原付二種以上の国内保有台数がここ2年間特に大きく伸長した。このような市場環境を背景に国内・アジアともに販売が好調に推移し、全セグメントで増収増益となった。特にインドネシアでの販路拡大や営業管理体制の整備が進んだことでアジア拠点卸売事業が大きく伸長したほか、リユースWEB事業で中古部品販売が伸長した。
2. セグメント別業績概要
(1) 国内拠点卸売事業
売上高は11,228百万円(前期比14.3%増)、セグメント利益は1,714百万円(同6.7%増)となった。ツーリング用品、新型車や人気車のカスタマイズ商品を中心に好調に推移した。コロナ禍に伴うユーザーの在宅時間増加や購買行動の変化を契機と捉え、オンラインを活用した販路拡大(補修消耗品を専門に取り扱う自社Webサイトの開設、主要Web販路の取引拡充、SNSを通じたユーザーへの商品訴求など)に注力したことが奏功した。また、コロナ禍やウクライナ侵攻による資源価格の上昇、及びこれらに伴う半導体不足の影響に対応するため、リードタイムの長い輸入商品などを中心に予備在庫を積み上げたことにより、欠品や納期遅延による販売機会ロスが低減した。利益面では、第3四半期以降は円安が進み仕入れコストは上昇したものの、好調な販売による増収及び販売価格改定の進展により増益となった。一方、資源価格の上昇や物流コストの増加により、利益率は同1.0ポイント低下し15.3%となった。販売価格の改定は進めているものの、価格見直し前の駆け込み需要が一因となっているようだ。
(2) アジア拠点卸売事業
売上高は552百万円(前期比159.8%増)、セグメント利益は93百万円(同1503.8%増)と、売上高・利益ともに大幅に伸長した。前期に引き続きインドネシアの首都ジャカルタのあるジャワ島を中心に販売網の整備を推進した。同社から派遣した従業員が社長に就任し営業に同行するなど、現地スタッフの意識改革や管理徹底を進めており、販路拡大につながった。また、欠品対策や価格設定で競合他社に対する優位性を保ち、補修消耗品(特にスクーターの補修消耗品)を中心に売上高は大幅に伸長した。
(3) 小売事業
売上高は2,653百万円(前期比10.7%増)、セグメント利益は212百万円(同12.3%増)となった。2022年12月末時点で、「ライコランド」2店舗及び「アップガレージライダース」2店舗、「ダートフリーク」1店舗(直営店)を展開している。第3四半期以降は来店客数が徐々に落ち着くなど変化も見られたが、ヘルメットやウェアなどの高単価商品のほか人気車種の車両カスタムなどが堅調に推移した。
(4) その他
売上高は348百万円(前期比28.1%増)、セグメント利益は34百万円(同31.9%増)となった。太陽光発電事業は、第3四半期に落雷による設備の故障などもあり前期をやや下回る売電収入となったが、保険による修繕費用の戻りや稼働できなかった期間の営業補償により利益を確保した。リユースWEB事業は、中古部品の仕入先を確保したことに加え販売も順調で、セグメント損益は黒字転換した。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《NS》
提供:フィスコ