デイトナ Research Memo(2):世界のバイクライダーのニーズに対応する商品・サービスを提供(1)
■会社概要
1. 会社概要
デイトナ<7228>は、二輪車部品・用品を中心とする企画・開発及び卸販売、並びに小売販売の事業を行うメーカーである。世界にバイクカスタマイズの楽しさを発信すると同時に、世界から吸収した新しい世界観を日本のライダーに提案し、バイク文化創造へチャレンジを続けているクリエイティブな企業である。独自の企画力、開発力を発揮し、世界のバイクライダーのニーズに対応する商品・サービスを提供することで、世界で最も支持されるブランドを目指している。
社名は、アメリカ・フロリダ州デイトナ・ビーチで行われるバイクの祭典「デイトナウィーク」に由来する。二輪車市場における同社の存在感は大きく、一般的にも「バイクマニア向け」という企業イメージが強い。しかしながら、近年は二輪車市場に留まらず、アウトドア市場全般に事業領域を拡大している。一例を挙げると、キャンプ用品や電動アシスト自転車(車体にモーターとバッテリーを装備し、ペダルを漕ぐ力をモーターの力でアシストする自転車)、家庭菜園用のエンジン式耕運機などを手掛けており、いずれも独創性の高い商品ラインナップとなっている。特定分野での専門的な知見に加え、将来的な事業成長を推進する基盤も持っている点は評価に値する。
同社は二輪車部品・用品を中心とする企画・開発を行うが、生産設備は所有しておらず、製造はそれぞれの分野に強みを持つパートナー企業(200社以上)に委託している。これは、時流のスピード、少量多品種、災害や経営リスクに対応するためには、「設備ありき」よりも「発想ありき」が有利との考えに基づいている。ユーザーの志向やニーズは年々多様化かつ細分化しているが、同社はこれらの潮流をキャッチアップし掘り下げ、メーカーとコラボレーションすることで、隠れた需要や新しい需要を創造している。
なお、同社は「バイク文化の創造企業。カスタマイズから提案します。」を経営理念に、「1. 私達は常にお客様に満足していただける独創的な商品を豊かに追求し提供します。」「2. 私達は社会の一員として役立つ為に企業活動を通じて人間性の向上に努めます。」「3. 私達は人間の持つ無限の可能性を信じ企業の永続発展に努め、より大きな幸せの創造に貢献します。」の3点を掲げている。
2. 沿革
同社は二輪車用品の輸出入を事業目的として、1972年4月に阿部商事株式会社を設立した。「なによりバイクが好き」な人が集まり、「バイク文化を創造する」を合い言葉として、バイクのカスタムパーツや用品を企画・開発・販売するメーカーとして国内外にバイクの楽しさを発信してきた。その後、1985年7月に商号を株式会社デイトナに変更し、1992年3月には二輪車用品の小売事業を目的として子会社の(株)ライコ(100%出資)を設立、営業力強化や経営効率の向上を図るため、同年4月に(株)デイトナ東京を吸収合併した。
海外展開については、東南アジア市場開拓を目的として、1997年2月にシンガポールに駐在事務所を開設したほか、2007年4月に子会社のPT.DAYTONA AZIAをインドネシアのジャカルタに設立、2008年12月に台湾支店を設立するなど、ネットワークを拡大している。このほか、新規事業として2012年11月より太陽光発電事業を開始した。
なお、1997年10月に店頭市場(JASDAQ)に公開、2013年7月の東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場統合に伴い東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場し、2022年4月の同市場区分変更に伴いスタンダード市場へ移行した。
3. 事業領域
同社は二輪事業(国内・海外)を主力に、電動乗物事業・エネルギー事業・宅配事業サポートなどの新規事業も展開している。
(1) 二輪事業
二輪事業は、国内二輪事業及び海外二輪事業からなる。国内二輪事業は同社の基幹事業で、オートバイ用オリジナルカスタマイズ部品・用品の企画、開発、販売と、世界中から選りすぐりの部品・用品の輸入、販売を行っている。一方、海外二輪事業は北米及び欧州をはじめ、アジア地域に向けた商品の企画、開発、販売を行っている。特筆すべきは、同社は正規代理店として海外の優れた商品を提供することのみを目的とはしていない点にある。一例を挙げると、日本語の取り扱い説明書を自社で作成するなど、日本のユーザーが買い求めやすい環境を整えたり、海外メーカーが日本人の感覚に寄り添えるよう助言する活動を行っている。この結果、海外ブランドから高い信頼を得ている。また、海外では、卸売業者や販売代理店といったディストリビューターの要望に応え、OEM供給なども手掛けている。主な事例としては、ミニモトクロスのエンジンを企画・開発、外注製造をし、ディストリビューターへ供給している。その他、首都ジャカルタ(インドネシア)のあるジャワ島を中心に販売網の整備を推進しており、成長著しい分野となっている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《NS》
提供:フィスコ