貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9107 川崎汽船

東証P
2,155.0円
前日比
-34.0
-1.55%
PTS
2,159円
23:58 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.0 0.89 4.64 6.47
時価総額 14,550億円
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東証が改善開示を要求姿勢、「PBR1倍割れ」警告で投資妙味の精選5銘柄 <株探トップ特集>


―企業価値の向上に向け低収益性を問題視、日本株全般の底上げに期待感高まる―

 昨年4月に始まった東京証券取引所の市場再編はまだ道半ばだ。(1)資本コストや株価への意識改革・リテラシー向上(2)コーポレート・ガバナンスの質の向上(3)英文開示の更なる拡充(4)投資者との対話の実効性向上など――。東証を導き手として上場企業が取り組むべきことは多い。そんななか、特に大きな課題として話題に上がっているのが「低PBR(株価純資産倍率)企業」への取り組みだ。東証はPBR1倍割れ企業に対して、改善策などの開示拡充を求める姿勢を示している。

●東京市場の「PBR1倍割れ」銘柄を問題視の声

 2022年4月4日にスタートした東証による市場区分再編では、「プライム」「スタンダード」「グロース」に見直されたが、忘れてはならないのが、まだ東証の市場再編は終わっておらず、実質的には目的をほとんど果たしてはいないという点だ。そもそも上場企業に対して、3つの新たな市場区分を設定し、それぞれの特性を生かして、企業価値向上に取り組んでもらう環境を整備することに再編の大きな意義があった。この目的の実現に向けて、今後、追加的な施策を東証が検討・実施していくわけだが、「全上場会社の約半数がPBR1倍割れの状況にメスを入れない限り意味がなく、その改善に向けて、一歩踏み込んだことを行うことができるかどうかが重要」だと東証の市場区分の見直しに関するフォローアップ会議でも指摘されている。

●「資本コストを上回る資本収益性を未達成」の状態

 PBRは1株あたりの純資産に対し、何倍でその企業の株が買われているかを表す指標である。そして、問題視されている「PBR1倍割れ」という状況は、もちろん例外はあるものの、基本的に「資本コストを上回る資本収益性を達成できていない、あるいは、資本コストを上回る資本収益性を達成しているものの将来の成長性が投資者から十分に期待されていない」状態とされる。そのPBR1倍割れの状況にある銘柄が、22年7月時点で最上位であるはずのプライム銘柄で実に約50%に上った。もう少し対象を絞って、TOPIX500構成銘柄のPBRを23年2月7日時点で集計してみても、やはり45%が1倍割れだった。これまで自社の在り方の検討や市場(投資家)との対話という意味で、真剣に考え行動してこなかった企業がいかに多いかということを思い知らされる。

●PBR1倍回復に向けた取り組みや進捗状況など開示も

 「市場区分の見直しに関するフォローアップに係る意見募集」の結果を見ても、上場企業としての資格を十分に満たせない企業に対して、上場維持基準を厳格に対応していくことを市場関係者の多くは望んでいる。こうした市場の要望もあって、東証は1月下旬に、プライムやスタンダード上場企業に対して「継続的にPBRが1倍を割れている会社には開示を強く要請」し今春にも実施することを示している。今後、資本効率の改善はもちろん、必要な情報の開示を強く要請する流れに向かうようだ。例えば経営陣や取締役会において、自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その状況や株価・時価総額の評価を議論のうえ、必要に応じて改善に向けた方針や具体的な取り組み、その進捗状況などを開示することを要請するようだ。

 東証自体のこうした方向性も相まって、改めて生き残りをかけて、変革に取り組む企業が増加してくることは疑いようがない。言うまでもなく、PBR1倍割れ企業が減少することは、日本株の株価底上げにつながる。低PBR銘柄には財務体質に不安があるものも多いとの指摘もある。低PBR銘柄においても選別物色が強まっていくことを踏まえれば、財務面における安全性を測るうえで自己資本比率を考慮すると、有効性が高まろう。そこで以下では、自己資本比率30%以上やROE(自己資本利益率)8%以上、今期2ケタ営業増益などを条件とし、5銘柄をピックアップしてみた。

●川崎汽や大同特鋼、SMKなど注目

 川崎汽船 <9107> [東証P]~PBRは0.5倍台。今期営業利益は前期比4.8倍を計画している。商船三井 <9104> [東証P]は、PBR0.6倍台、今期営業利益は同90.9%増、日本郵船 <9101> [東証P]は、PBR0.6倍台、今期営業利益同7.8%増を計画する。海運大手3社は比較的連動性が高い銘柄であるが、PBRの低さのほか、安全性や成長性の観点からみると、川崎汽がセクター内で優位であることがうかがえる。

 SMK <6798> [東証P]~PBRは0.4倍台。今期営業利益は前期比2.1倍を計画。足もとでは為替差損の計上による通期計画の下方修正が嫌気されたが、第3四半期の営業利益の進捗率は98.4%であり、悪材料出尽くしとなろう。コネクターは車載市場向けでカメラ用が堅調に推移しているほか、電装品用などのシェアアップにより順調に拡大。また、家電市場向けでは、ゲーム機用やテレビ用が好調だ。Bluetoothモジュールは、モバイルプリンター用や医療機器用が伸びている。

 大同特殊鋼 <5471> [東証P]~PBRは0.5倍台。今期営業利益は前期比21.7%増を計画。環境対応で需要が増加している自由鍛造品(金型を使用しない鍛造品)については、需要増加を見越した戦略設備の投資効果により、高付加価値製品の受注が増加している。通期計画に対する第3四半期営業利益の進捗率は83.7%となる。

 東京製鐵 <5423> [東証P]~PBR0.9倍台。今期営業利益は前期比29.0%増を計画。第3四半期決算とあわせて23年3月期の売上高予想を下方修正したが、国内の鋼材需要は今後も堅調と見込んでいるなか、株価反応としては悪材料出尽くしとなった。電炉でつくる鋼材は高炉による鋼材と比べ二酸化炭素排出量が抑えられるとして、 脱炭素目的での受注も増えている。

 ダイヘン <6622> [東証P]~PBR0.9倍台。今期営業利益は前期比16.3%増を計画。配電機器の更新投資が堅調に推移したほか、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー関連投資や民間企業での受電設備更新需要の増加により、第3四半期としては売上高・利益ともに過去最高を更新した。

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