貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6753 シャープ

東証P
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亜空間ビジネスに開花の季節、「メタバース関連ネクスト」が動き出す <株探トップ特集>


―価値連鎖でクローズアップされるメタバースの商業的要素、システムやVR機器メーカーに好機―

 コンピューターの中に構築された仮想空間であり、仮想社会でもある メタバースは未来の我々の社会の在り方を変容させる可能性を秘めることは間違いないが、いまだにその全体像がつかめないと感じている投資家も多いはずだ。今年に入って、一部企業から「メタバースカオスマップ」が公開されたこともあり、その全体像を比較的平易に理解するには良いきっかけとなるのではないか。メタバース分野を商機として捉え、積極的に経営資源を投下する企業が増えており、株式市場でも再びテーマ性を帯びてきた。メタバース関連銘柄に改めてスポットライトを当ててみたい。

●「カオスマップ」で分かる商流の全体像

 早稲田大学発スタートアップのUrth(東京都新宿区)は、2023年1月版の「メタバースカオスマップ」を公開した。メタバースを空間のコンテンツではなく、バリューチェーンという観点でよりビジネス的な分析をしているのがこのマップの特徴の一つだ。

 「開発ベース」「システム開発者」「システム運用者」「システム提供者」「提供サービス(SNS型・Web型・Game・その他)」「メディア(書籍・Web・SNS)」「アバター」「学会/業界団体」とセグメントが分類されている。例えば、メタバース関連に世間の注目を向ける大きなきっかけの一つとなった存在であるメタ・プラットフォームズ<META>のほか、日本勢で言えば凸版印刷 <7911> [東証P]や任天堂 <7974> [東証P]は、上流の「システム開発者」「システム運用者」「システム提供者」の3区分にまたがっている。「あつまれ どうぶつの森」や「Fortnite(フォートナイト)」などがメタバースの分かりやすい事例として挙げられる場面をよく見るが、こうしたカオスマップで商流の全体像を把握すると、あくまでそれがほんの一部の構成要素でしかないことが分かる。

●技術見本市「CES」でもメタバース賑わう

 幅広い商流を持つこの技術(ツール)だが、世界的に景気の先行きに対して不透明感が強いなか、リスクマネーの流れは昨年から収縮の一途をたどっている。ある意味、まだまだ発展途上、まさに「これから」の早過ぎる未来を担う技術である「メタバース」分野への投資一服感は、魅力が失われたわけでは決してない。リスクマネーの関心がひとまず落ち着く中でも同分野における、企業側の着実な歩みは止まらない。

 実際、米ラスベガスで年明け早々に開催されたハイテク技術見本市「CES」では、メタバースを活用する展示が目立ったことが伝えられている。一部報道によれば、特に拡張現実(AR)端末を開発する米マジックリープや触覚を伝える技術を使ったグローブを開発する米HaptXのブースは、多くの人で賑わっていたようだ。日本でも、HaptXが手掛ける「リアルハプティクス」という技術は、慶応義塾大学発のスタートアップであるモーションリブ(川崎市幸区)などが研究しており、既に80社程度の企業との連携などを通じ、実用化に向けた動きが進んでいる。同社は、昨年11月25日から27日まで開催された「スマートシティフェスタ」にも出展し、その技術の高さと有用性をアピールしていた。

●広がる投資対象、ここから注目の6銘柄は

 21年9月に384ドルまで上昇したメタの株価は昨年11月には100ドルを割り込んだ。指標となるメタの株価急落はメタバース関連に位置付けられる銘柄への人気離散にもつながった。ただし、メタバースに関連した個別材料に対しては、現在においても物色資金が向かう状況が目立つ。実際にメタバースを取り入れている企業は確実に増えており、商業ベースでも市場は徐々に開拓が進んでいる。テーマ買いの初動で人気化したゲーム関連にとどまらず、その投資対象にも広がりが見られる。

 そこで改めてネクストステージに立つ銘柄群に着目。メタバースのシステムを手掛けている企業のほか、製品を活用したビジネスやコンテンツ、市場の成長をにらんだVR機器の製造などを手掛けている企業に注目してみたい。

◆日東電工 <6988> [東証P]~メタバース市場を光学フィルム市場の次の成長点と捉え、積極的に投資する計画。昨年9月の22年度会社説明会において、生産設備に67億円を投じると発表している。機能フィルムを光学製品化する独自技術を生かし、メタバースの成長の鍵になる没入感を高める高精度でクリーンな光学フィルムを開発する。また、サプライチェーンのさまざまな場面での製品開発に関与し、光学設計ソリューション提案型のビジネスモデル確立を目指す。

◆ピー・ビーシステムズ <4447> [東証G]~システム仮想化技術に精通したクラウド基盤構築力が強み。昨年1月にメタバース推進部を設置。エモーショナルシステム事業の成長戦略として、ゴーグル不要の同時多人数VR装置としてメタバース事業者向けに感動共有型VRシアター「MetaWalkers(メタウォーカーズ)」を積極展開させる。昨年からソフトバンク <9434> [東証P]との関係も深まっている印象だ。

◆学研ホールディングス <9470> [東証P]~100%子会社のベンドでは、リモートワーク、イベント、教育・スクールで活用できるバーチャル上の空間である「MetaLife(メタライフ)」を提供。全員がアバターとなってひとつのスペースに参加でき、オフィスの会議や小規模でも大規模でもあらゆるイベントに対応。また、教育・スクールとしてリスキリング需要なども見込まれる。

◆カヤック <3904> [東証G]~昨年2月に新規事業として、新たにメタバース専門部隊を設立した。同社では数年前から「傷物語VR」「からかい上手の高木さんVR」「ソードアート・オンラインVR」「ReoNaイベント」「ラルクVR」などメタバース関連のさまざまなコンテンツやサービスを開発してきた。なお、1月12日から2月2日までの日程で行われる経済産業省による「メタバースファッションコンテスト」において、同社のメタバース事業責任者である天野清之氏が審査員を務めている。

◆トランス・コスモス <9715> [東証P]~多様化する働き方をサポートする企業と従業員のコミュニケーションを対象としたメタバース上での「バーチャルコンタクトセンター」の構築や、企業と顧客のコミュニケーション領域における「バーチャルコミュニケーションサービス」の実現及び展開サポートなどの実証実験を開始している。

◆シャープ <6753> [東証P]~175グラムと大幅に軽量化したVRヘッドマウントディスプレーの試作機を今月開催された「CES 2023」で初めて展示。VRHMDのキーパーツである接眼レンズは、同社傘下のレンズメーカーであるカンタツと共同開発した。試作機ではあるが、メタバース市場の拡大によって製品化への期待は高まることに。

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