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9324 安田倉庫

東証P
1,745円
前日比
-17
-0.96%
PTS
1,751.9円
15:24 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.8 0.55 1.72 3.45
時価総額 530億円
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芙蓉リース Research Memo(4):「営業資産」の積み上げなどにより、「差引利益」は増益基調で推移(2)


■芙蓉総合リース<8424>の決算動向

4. 事業分野別の業績及び活動実績
(1) モビリティ(RT分野)
2022年9月末の「営業資産残高」は1,608億円(前期末比33億円減)と微減となった一方、ROAは3.1%(前期は2.6%)に改善したことから、経常利益は26億円(前年同期比3億円増)に増加した。世界的な半導体不足を背景とする新車納期の長期化により、「営業資産残高」の積み上げに苦戦したものの、中古車マーケットの高騰や海外関連会社の好調なレンタル収益が増益に寄与した。活動面では、自動運転の実装に向けた実証実験への参画※1や再生バッテリーの活用によるフォークリフトリースパッケージ「GREEN FORK」※2の構築など、新規ビジネス領域へのアプローチに取り組んだ。

※1 パートナー企業との共同事業として、同社が保有する自動運転車両を活用した地公体等の実証実験に参画。移動自由確保、交通事故削減、生産性向上、地域活性化、環境負荷低減など、社会課題の解決に向けた取り組みとして捉えることができる。
※2 再生バッテリーの特許技術を保有する(株)イグアスとの連携による取り組みである。再生バッテリーの活用により、バッテリーコストとCO2排出量を大幅に削減できる。


(2) エネルギー環境(AT分野)
2022年9月末の「営業資産残高」は1,068億円(前期末比164億円増)に増加するとともに、ROAも3.6%(前期は3.0%)に改善したことから、経常利益は18億円(前年同期比4億円増)に増加した。国内外での再生可能エネルギー事業が伸長したほか、非財務目標である「再エネ発電容量」も前期末比56MW増の374MW(中期経営計画目標値は1,000MW)※1と順調に伸びている。活動面でも、英国での洋上風力発電事業※2や欧州経済領域での再エネファンド(太陽光、風力、水力等)※3など、グローバルプレイヤーとの協業により欧州での積極投資に踏み切った。また、蓄電池関連事業の拡大を目指し、エネルギー会社を含む幅広いパートナーとの共創案件の実現にも注力している。

※1 開発中案件を含むと562MW(前期末比115MW増)となっている。
※2 約85億ポンドの運用資産を有する英国Equitix Investment Management Ltd.が運用する投資ファンドへの出資によるもの。同社としては洋上風力発電事業への初めての参画となるが、稼働済みの洋上風力発電所を出資対象としていることから開発リスクはない。
※3 グループ全体で約132億ユーロ(2022年6月末時点)の資産を運用・管理するドイツのAquila Capital Holding GmbHの再エネファンドへの出資によるもの。


(3) BPO/ICT(AT分野)
2022年9月末の「営業資産残高」は470億円(前期末比15億円減)に若干減少したものの、ROAは2.6%(前期は2.1%)に改善し、経常利益は19億円(前年同期比3億円増)と増益を確保した。高まるBPOニーズの取り込みや2021年10月に連結化したWorkVisionとの連携により、BPOとICTの双方で順調に事業が拡大した。また、非財務目標である「お客様の業務量削減時間」(2022年3月期比)についても+12万時間(中期経営計画目標値は+100万時間)と上々に滑り出した。活動面でも、BPOサービスの機能強化を目的としたM&A※1のほか、パートナーとの連携によるアプローチ先の拡大※2でも成果を上げることができた。

※1 2022年10月にBtoB企業向けの動画制作・配信事業で国内トップレベルの実績を誇る(株)ヒューマンセントリックスを連結子会社化した。業績への影響は軽微であるものの、顧客のDXを支援する新たな業務効率化ソリューションの獲得などに狙いがある。
※2 安田倉庫<9324>とのBPOサービス事業分野における業務提携や、沖電気工業(株)グループのOKIクロステック(株)とIT業務のアウトソーシング分野での業務提携を締結。また、(株)みちのく銀行との「一括請求サービス」、東京電力エナジーパートナー(株)との「TEPCOビリングコレクトサービス」などでも連携を図っている。


(4) 医療福祉(AT分野)
2022年9月末の「営業資産残高」は892億円(前期末比1億円減)、ROAは2.2%(前期も2.2%)と横ばいで推移し、経常利益は10億円(前年同期比1億円減)とわずかながら減益となった。政府等による金融支援を通じた資金ニーズの充足により、診療・介護報酬債権ファクタリングの積み上げが伸び悩んだ。また、非財務目標である「高齢者介護施設(新規提供室数)」は110室(中期経営計画目標値は1,000室)、「医療・福祉マーケットの経営支援に資するファイナンス」※1は195億円(中期経営計画目標値は560億円)となった。活動面でも、医療・介護BPOのビジネスモデル構築※2や再生・事業承継ニーズを有する事業者向けソリューションの強化※3にも取り組んだ。

※1 FPSメディカル、事業承継等に係る営業資産残高。
※2 障がい者雇用支援サービス、並びに精神科に特化した在宅医療サービスを提供する(株)JSHと資本業務協定を締結し、医療・介護BPOのビジネスモデル構築に向けて協業を開始した。
※3 医療法人向け事業承継案件をパートナーと協働して取り込む(下期での実行見込み)とともに、医療・介護に特化したヘルスケアファンドの組成も進めている。


(5) 不動産(GP分野)
2022年9月末の「営業資産残高」は9,674億円(前期末比325億円増)に増加するとともに、ROAも2.3%(前期は2.2%)を確保したことから、経常利益は108億円(前年同期比16億円増)に拡大した。大口不動産リースのEXIT(契約終了)による影響があったものの、事業全体での資産の積み上げで打ち返し大幅な増益を実現した。引き続き、国内外の不動産投資家の積極投資継続による不動産価格の上昇や、サプライチェーンの混乱等に伴う建築費高騰を踏まえ、リスクリターンを意識した事業運営を実施する方針である。

(6) 航空機(GP分野)
2022年9月末の「営業資産残高」は2,196億円(前期末比242億円増)に増加するとともに、ROAも2.3%(前期は0.4%)に大きく改善したことから、経常利益は24億円(前年同期比20億円増)に拡大した。コロナ禍の影響により延滞していた一部エアラインからのリース料回収を進めたことで貸倒関連費用が減少したことや、機体売却なども大幅な増益に寄与した。「自社保有機」は45機、「その他(管理機体等)」は57機とほぼ横ばいで推移したが、自社保有機については下期にかけて増加を見込んでいる。活動面でも、国内線を中心に旅客需要が回復している米国エアラインとの取引拡大や航空業界における脱炭素化の促進に向けた貢献※でも実績を残すことができた。

※仏の航空会社Compagnie Nationale Air France(エールフランス航空)が導入する大型旅客機「A350」について、脱炭素目標と連動したSLL(サステナビリティ・リンク・ローン)付きの日本型オペレーティングリース契約を締結した。


5. 2023年3月期上期の総括
以上から、2023年3月期上期を総括すると、注力する事業分野が総じて順調に拡大し、バランスの良い利益成長を実現した業績面をはじめ、活動面についても、中期経営計画の達成に向けて各方面で様々な布石を打っており、定量・定性の両面で順調なスタートを切ったと評価することができる。特に、国内外のパートナー各社との協業などにより、「モビリティ」「エネルギー環境」「BPO/ICT」などの成長分野で新たな動きが加速してきたところは、「脱ファイナンス・リース」「脱金融」に向けて注目すべきポイントと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《NS》

 提供:フィスコ

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