【植木靖男の相場展望】 ─変貌みせる東京市場、米国株高を追い風に底入れか?!
「変貌みせる東京市場、米国株高を追い風に底入れか?!」
●“理外の理”相場が始まる
日経平均株価は新年に入って変貌をみせ始めた。いよいよ前回触れた“理外の理”相場が始まったのだ。
新年相場スタートの3営業日は2勝1敗となり、「3連騰または2勝1敗なら、大発会より大納会が高い」との年足陽線のジンクスへの期待を抱かせる展開となった。結局、1月5日から白星を5つ重ねたのだ。5連騰は、実に昨年7月の7連騰以来およそ6カ月ぶりだ。
当時は米国株の上昇が背景となったが、今回も米国株高が追い風となっている。1月6日にNYダウは700ドル高と急反発した。米雇用統計でインフレ鈍化が示唆され、米金利引き締めの長期化懸念が後退したことにより買いが広がった。
この上昇に対して、700ドル高は市場の行き過ぎだ、過剰反応ではないかとの懐疑の声も強まった。だが、そうした見方こそ誤りだ。株価が間違っているなら、直ちに修正が入るのが株式市場だ。しかし、その後も株価は堅調だ。
これに驚いたのが、新年の見通しで「年前半安、後半高」と声高に主張していた市場関係者やアナリスト達だ。株価は理屈が正しくても、必ずしもその通りに動くものではない。理屈通りに動くのならば、こんなに易しいものはない。時にその枠を外れ、いわゆる“理外の理”相場が現出する。
おそらく、今後、多くの市場関係者、アナリスト達が宗旨替えを徐々に進めることだろう。そして、いずれ圧倒的に強気が増える局面に至るとすれば、そここそが天井となるのだ。
株価の天底は理論では絶対に判断できないこと、これが相場の歴史だ。某相場師曰く“少数派が勝ち、多数派が負ける”と。名言である。
●重工大手が主役に、金融株もまだ天井は遠い
5日連騰の後はどう展開するのか。参考までに昨年7月の7連騰の後の展開を紹介すると、2日ほど小休止し、その後再び上昇に転じた。1カ月後には日経平均株価は1000円ほど上昇している。今回もこの動きをなぞるのだろうか。
さて、物色対象だが、新春相場のけん引役の一つとなったのがハイテク株だ。そのなかで6連騰したのが、ソニーグループ <6758> [東証P]。当面、ハイテク株の動向はソニーグループ次第とみる。とはいえ、いずれそのハイテク株も、そう遠くない時期に主役交代となろう。
そして、新しいけん引役は、コロナ禍で低迷していた航空機需要の回復、脱炭素の流れを受けたガス火力や原子力発電などのエネルギーの再評価、防衛費の増額といったテーマの切り口を持つ銘柄が主役となろう。
だとすると、重工大手がその担い手となりそうだ。いずれ主役は大型優良株にバトンタッチされよう。
また、金融株もまだ天井をつけたとはいえない。突っ込む場面があれば買いといえそうだ。
ただし、新たな主役は急激に交替するのではなく、じわじわと動意をみせてくるはず。見極めたい。
さて、具体的にはどの銘柄に注目すべきか。まずはIHI <7013> [東証P]だ。航空エンジンでトップ、車用ターボに強み。1月5日に底入れした後、4日連騰。1月12日の高値を抜けば買い転換へ。
日本製鉄 <5401> [東証P]は売上高、最終利益ともに好調。1月4日大発会で底入れ、大型株では最も強い展開。新春の出世株へ。
三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]にも注目したい。金利上昇は収益にプラス。日本製鉄に比べ力は落ちるが、昨年12月に底入れしているだけに長期的に有望とみる。
2023年1月13日 記
株探ニュース