貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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5802 住友電気工業

東証P
2,860.0円
前日比
-105.0
-3.54%
PTS
2,858.6円
15:16 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.9 0.97 2.69 7.51
時価総額 22,707億円
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GX時代にパワー全開! 株高材料満載の「蓄電池」関連を追え <株探トップ特集>


―東京都は太陽光パネル設置義務付け、カーボンニュートラル目指し国も後押し―

 東京都は15日、新築の戸建て住宅について、太陽光パネル設置を原則義務付ける条例改正案を都議会において可決、成立した。義務化は2025年4月からスタートするが、屋根を利用した 太陽光発電の普及を強力に後押しすることになる。もちろん太陽光発電に絡む銘柄には恩恵となるが、こうした再生可能エネルギーの普及とともに急速に注目が集まっているのが、電力需給コントロールで欠かせない「蓄電池」の存在だ。

●再生可能エネの弱点カバー

 太陽光パネルの設置義務化は、 カーボンニュートラルが叫ばれるなか戸建て住宅からの温室効果ガス抑制を目的とする。戸建て住宅を含む新築の建物を対象に、延べ床面積などの条件に応じて住宅メーカーなどにパネル設置を義務付けることになる。遅々として進まない家庭からの温室効果ガス抑制を目指すものだが、折しも電力料金の相次ぐ値上げが重くのしかかるなか、いわば地産地消で家計防衛にもつながるともいえる太陽光発電への視線は更に熱を帯びそうだ。

 ただ、太陽光や風力を始めとする再生可能エネは天候に左右されやすく、電力の安定供給が大きな課題となっている。これを解決する手段の一つとして、脚光を浴びているのが蓄電池だ。電力の余剰時に蓄電し、逼迫した際に放電することで、供給が不安定な再生可能エネの問題点をカバーする。ここ数年は、猛暑や厳冬などによる電力需給逼迫時に思惑買いを誘い、幾度となく動意習性をみせてきたこともあり株式市場でも同関連株への注目度は高い。また、既に一定規模以上の新築建物などを対象に太陽光パネル設置の義務化を行っている京都府・京都市や東京都と同様に義務化を目指す動きは川崎市でも進んでおり、今後こうした動きが全国に波及しそうなことも蓄電池関連株にとっては強い味方となりそうだ。

 「2022年注文住宅動向・トレンド調査(リクルート調べ)」でも、建築する際に重視した条件として、建築者(全国)では、直近3年間での増加が多い順に「設計の自由度が高いこと」を重視した人が7.2ポイント、「蓄電池を搭載すること」が4.7ポイント、「メンテナンスコストが低いこと」が3.7ポイント増加しており、蓄電池に対する関心の高さがうかがえる。脱炭素社会に向けた動きに加え、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機は、一気に再生可能エネの需要を拡大させ、ひいては蓄電池へのニーズを覚醒させたといえそうだ。

●蓄電池産業、国策の大潮流に乗る

 蓄電池産業には、更なる追い風が吹きそうだ。政府は、30年度の温室効果ガス46%削減(13年度比)、50年のカーボンニュートラル実現という国際公約を掲げるが、こうしたなか22日には「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針(案)」を発表。今後10年間で150兆円を超えるGX投資を官民協調で実現するとした。これについては“原発回帰”の動きだけに注目が集まっているが、実は再生可能エネ普及拡大のために蓄電池の導入促進も盛り込んでいる。「蓄電池及び部素材の製造工場への投資や、DX・GX による先端的な製造技術の確立・強化を支援する」としており、大規模設備から家庭用まで蓄電池産業は国策の大潮流に乗ることになる。

 株式市場において、蓄電池関連株への関心はいまに始まったことではない。メガワット級の電力貯蔵システム「NAS電池」を手掛ける日本ガイシ <5333> [東証P]をはじめ、その黎明期から投資家の視線は熱かった。とはいえ、なかなか理想買いの域を越えるものではなかったが、時を経ていままさに開花期を迎えている。

●ニチコン、業績上方修正

 こうしたなか、投資家の注目が特に高いのがコンデンサーメーカーのニチコン <6996> [東証P]だ。電気自動車(EV)向けなどを中心にフィルムコンデンサーも需要開拓が進むが、家庭用蓄電システムのリーディングカンパニーとしても名を馳せる。11月7日に発表した23年3月期上期(4-9月)決算は、家庭用蓄電システムなどの販売が伸び、営業利益が前年同期比3.4倍となる59億4700万円で着地。同時に通期の業績を上方修正しており、営業利益段階では78億円から110億円(前期比71.1%増)に見通しを引き上げている。ただ、株価は9月に1562円まで買われ年初来高値をつけた後は冴えない展開が続き下値模索。4月につけた年初来安値1039円をにらむ状況にある。電力需給逼迫時には上値指向をみせるという季節的な動意習性もあり、ここからの動きには目を配っておきたい。

●ウエストHDは大ガスと強力タッグ

 太陽光発電の設置工事や保守・管理などを手掛けるウエストホールディングス <1407> [東証S]も蓄電池分野で攻勢を掛けている。同社は11月、大阪ガス <9532> [東証P]と蓄電池分野における新規事業の共同検討に関する覚書を締結したと発表。具体的には、系統蓄電池(蓄電所)の共同開発や共同運営、再生可能エネ併設型蓄電池の共同開発や共同運営を検討するというもの。ウエストHDが太陽光開発のプラットフォームを生かして蓄電設備を設置し、大ガスが蓄電設備を複数の電力市場で取引する運用を行い、電力系統の安定化に貢献することを目指すという。同社は10月14日、23年8月期の連結業績予想を発表。売上高は前期比8.8%減の612億7600万円、一方営業利益は同44.7%増の112億4700万円を計画し、2期ぶりの最高益更新を見込む。

●切り口多彩な住友電

 住友電気工業 <5802> [東証P]が手掛ける「レドックスフロー電池」は株式市場でも注目度が高い。レドックスフロー電池は、電極や電解液の劣化がほとんどなく長寿命で、加えて発火性の材料を用いていないことや常温運転が可能なことから安全性が高いなど、電力系統用蓄電池に適した特性を持っている。太陽光や風力などの再生可能エネの導入を拡大していく上で必要となる系統の安定化技術として期待されている。また、同社はいわゆる“電線御三家”の一つだが、政府は今後10年間で広域送電網を整備すると一部報道で伝わっており、これも思惑材料として浮上。切り口多彩な点も魅力だ。11月2日に発表した23年3月期上期(4-9月)決算で、連結営業利益は前年同期比7.8%増の497億3900万円となり、従来の2.4%減益予想から一転して増益で着地している。

●高島、オムロンにも注目

 高島 <8007> [東証P]も蓄電池関連の一角として注目したい。同社は建設資材、樹脂・繊維加工品の販売に加え、太陽光パネル関連資材にも注力している。こうしたなか、新たなエネルギー商材である蓄電池分野の販売が拡大しており、成長分野でのニーズを果敢に取り込んでいる。11月14日に発表した23年3月期上期(4-9月)決算は、売上高が前年同期比2.8%増の388億1700万円、営業利益が同30.5%減の5億9600万円となった。太陽エネルギー関連分野では、太陽光パネル及び周辺機器の供給遅延の影響が響いた格好だ。通期の営業利益は前期比16.3%増の18億円を据え置いている。ただ、中期的視点に立てば供給遅延も徐々に解消されることが予想され、太陽光パネルや蓄電池が材料視されるなか妙味も。株価は、11月28日に年初来高値3010円をつけた後は上昇一服、現在は2800円台でもみ合う展開。

 オムロン <6645> [東証P]は制御機器大手だが、注力分野の太陽光発電や蓄電関連が好調に推移。5月には、高容量の家庭用蓄電システム向けの高電圧直流リレー「G9KB」を、グローバルで発売するなど同分野へ攻勢を掛けている。同社は10月26日、23年3月期通期の業績予想を、売上高が8500億円から8800億円(前期比15.3%増)、営業利益は930億円から950億円(同6.4%増)に上方修正した。あわせて発表した上期(4-9月)決算は、売上高が前年同期比9.5%増の4044億1800万円、営業利益が同9.0%減の416億1300万円だった。4~6月期に中国・上海の都市封鎖の影響を受けたが、7~9月期は業績が急回復に向かった。株価は年初来安値圏に沈むが、じわり値ごろ感も。

●目を配っておきたいガイシ、ダイヤHD

 もちろん「NAS電池」で蓄電池分野を牽引するガイシを忘れてはならない。今月21日には、同社が明電舎 <6508> [東証P]から受注し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の美笹深宇宙探査用地上局(長野県佐久市)に納入した電力貯蔵用NAS電池が運転を開始したと発表。大容量を特徴とする同電池は、JAXA種子島宇宙センターでの設置実績があり、容量(放電時間)、耐環境性、ライフサイクルコストが高く評価され採用が決定した。ただ業績は、米国による先端半導体の対中輸出規制などの影響や原燃料などの費用増が響き、10月28日に23年3月期通期の業績予想を下方修正。営業利益予想は900億円から780億円(前期比6.6%減)に引き下げた。株価も下値模索の展開だが、まさに蓄電池分野でのトップランナーといえるだけに、反転攻勢の時を待つ。

 そのほかでは、「おうち給電システム」で株価をほぼ倍化させたダイヤモンドエレクトリックホールディングス <6699> [東証P]にも注視が必要だ。6月2日、トヨタ自動車 <7203> [東証P]が8月から販売を開始する同システムに、子会社が太陽光発電、蓄電池を制御するハイブリッドパワーコンディショナーなどの供給を開始すると発表。これをキッカケに株価は急上昇することになったことは記憶に新しい。23年3月期通期は、営業利益段階で前期比42.2%増の7億円を計画している。

 また、さまざまな再生可能エネ用鉛蓄電池を手掛け、古河電気工業 <5801> [東証P]と次世代型蓄電池「バイポーラ型蓄電池」を開発済みの古河電池 <6937> [東証P]にも注目したい。


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