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6013 タクマ

東証P
1,623円
前日比
-18
-1.10%
PTS
1,623.9円
14:12 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.4 1.16 3.45 5.40
時価総額 1,347億円
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タクマ Research Memo(9):営業利益、経常利益を上方修正、売上高は引き続き堅調な需要を見込む(2)


■タクマ<6013>の今後の見通し

(2) 第13次中期経営計画
2021年5月「Vision2030」の実現に向けた最初の中期経営計画として、必要な経営基盤の強化により事業戦略を展開し、3か年累計で経常利益360億円を目指す第13次中期経営計画を発表した。第13次中期経営計画では、第12次中期経営計画までに構築した経営基盤・事業基盤をベースに、さらなる成長への布石を打つことをテーマとしている。第13次中期経営計画の基本方針として、「経営基盤の強化により、各事業において従来のビジネスの一層の強化を図る」「従来の環境変化への対応を加速させ、これらの事業活動を通じてESG経営※を推進し、持続的成長を目指すこと」としている。持続的な成長に向け人材の採用・育成を強化するほか、CO2分離・回収、利用技術をはじめとする研究開発やデジタル技術を活用した付加価値の向上に取り組む。

※Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を取ってつくられた言葉。定量的な財務情報に加え非財務情報であるESGの視点も重視した事業活動を展開することで、企業価値を長期的に高め、社会の持続的な成長にも貢献していくもの。


具体的には、人材やデジタル技術、パートナーシップ等、現在の事業環境から必要とされる経営基盤の強化により各事業における競争力を強化し、顧客や社会の課題を解決する事業活動を展開する方針である。同計画初年度である2022年3月期の経常利益は10,647百万円と計画を若干下回るスタートとなったが、2023年3月期第2四半期では期初予想より500百万円増の13,000百万円に上方修正しており、最終年度である2024年3月期には着実な受注の積み上げにより、経常利益 360億円の達成は十分可能であると弊社は見ている。

同社が第13次中期経営計画においてさらなる成長への布石を打つためには、1)研究開発、2)デジタル技術、3)設備投資などの事業戦略に対し、経営資源を的確に配分し、着実に経営基盤を強化することが重要になる。

1) 研究開発
同社は現在までに獲得した技術力をもとに、同社の成長戦略に向けた研究開発を推進する。同社は主力製品・サービスである一般廃棄物処理プラントやバイオマス発電プラントで活用できる脱炭素技術やCCUS※技術に注力する。

※Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略。CO2の回収、利用、貯留のこと。


a) 「C2X」への参画
同社はカーボンニュートラルの実現に向け、異業種連携、複数社のコラボレーションによる脱炭素技術やCCUS技術の普及推進と事業化を目指す、オープンイノベーション※プラットフォーム「C2X(Carbon to X)」プロジェクトに参画している。

※社内のイノベーションを促進するため、組織内外を問わずあらゆるリソース(知見や技術・サービスなど)を駆使し、さらに組織内で創出されたイノベーションを組織外へと展開するモデルのこと。


b) 固体カーボン化
国立大学法人静岡大学と共に一般廃棄物処理プラントの排ガスに含まれるCO2を回収し、化学品などの原料となるカーボンを生み出す技術の研究開発を推進する。同社が研究するのは、排ガスから回収したCO2をカーボン製品など化学原料に変換する技術である。水素と回収したCO2を反応させる逆シフト反応などで、炭素を回収し、炭素を触媒反応により固体炭素に変換する。開発中の同技術は、一般的なカーボンリサイクルプロセス(CO2と水素からメタンを合成するメタネーションなど)と比べて、必要な水素量が少なくてすむ。高コストな水素の使用量が少ないため、比較的安価に運用できるカーボンリサイクル技術として普及が見込める。

c) NEDO調査事業
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「バイオマス発電施設における省エネルギー型CO2分離回収に関する調査」を受託している。この事業では、日本製紙<3863>と双日<2768>による合弁事業である勇払エネルギーセンター合同会社のバイオマス発電所(2023年1月に運転開始予定)を対象モデルとし、同社の一般廃棄物焼却施設およびバイオマス発電施設での豊富な実績と技術、ノウハウを活用して、バイオマス発電施設での省エネルギー型CO2分離回収技術および集約技術の検討、さらに事業化の課題調査を行う。

d) バイオメタネーション
メタンとCO2とが混合したバイオガスに水素を加えることでメタンのみのガスにする技術研究が進められている。バイオメタネーションとは「微生物によって二酸化炭素をメタンに変換する技術」で、同社は京都大学のほか北海道大学、東邦ガス<9533>、荏原実業<6328>とともに生ごみ等を原料としたメタン発酵技術を用いたメタン生成技術などの研究開発を推進する。

2) デジタル技術
同社は、施設やプラントの付加価値向上やEPC業務・運転管理・メンテナンスにおける競争力強化のため、「デジタル技術推進部」を設置している。遠隔監視や施設運転の自動化や省力化など、社外の専門的企業のリソースも活用し、さらなるデジタル化に取り組む。2021年6月にはAIを用いた燃焼制御システムでごみ焼却炉の手動操作を99%削減し、遠隔操作で少人数でも安定したごみ処理を継続できる技術を確立した。廃棄物処理プラント・バイオマス発電プラント等における製品・サービスへAIを活用するための製品開発および技術導入の推進業務を行い、現状のプラントの運転制御・遠隔監視・運転支援機能のさらなる拡充のため、IoT、ビッグデータ、AIを活用した質の高いサービスを推進する。

3) 設備投資
1942年に播磨工場は、ボイラーの製造拠点として操業を開始した。ボイラー業界のパイオニアとして、産業用、エネルギー用、船舶用などあらゆる種類のボイラーを3,200基以上、国内だけでなく、東南アジア諸国、韓国、中国、ヨーロッパ、アフリカの国々へも納入している。現在でも、ボイラー、ストーカ、各種圧力容器といった同社プラントの要となる信頼性の高い製品を数多く製造している。2019年より更新工事を行っており、ボイラーの大型化や高温高圧化など多様化するニーズに対応可能な生産体制を整えるほか、最新設備の導入と作業効率化の推進による生産性の向上、匠の技術伝承、人・環境にやさしいサステナブルな生産拠点として、2023年1月より稼働を開始する予定である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

《SI》

 提供:フィスコ

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