大谷正之氏【日経平均は下値模索、どうなる年末年始相場】 <相場観特集>
―世界景気の先行きに不透明感、売り方の買い戻しに期待も―
週明け19日の東京株式市場で、日経平均株価は3日続落となり一時2万7100円台まで値を下げた。13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て、今年のビッグイベントはおおむね通過したが、米金融引き締めと景気後退懸念は払拭されず、全体相場は軟調展開が続いている。年末・年始高が期待される時期だが、今年は軟調展開で終わるのか。証券ジャパン調査情報部長の大谷正之氏に今後の見通しを聞いた。
●「景気減速懸念に行き過ぎも、インバウンド関連など注目」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
足もとでは相場の見通しに対して慎重な姿勢が強まっている。これは、米国などの景気の先行きに対する警戒などが背景にあるのだろう。ただ、景気がクラッシュするような状態に陥ることは考えにくい。
また、米金融政策に関しても新年の前半に金利はピークアウトして、それ以降はしばらく利上げはないというイメージは描けてきた。新年の景気や金融政策をみるうえでも、市場は警戒し過ぎている面もあると思う。今年も残り少なくなり、年末・年始高があるかは微妙だが、売り方の買い戻しが入れば一気に上値を試す展開もあり得るとみている。
日経平均株価は、52週移動平均線(2万7330円前後)を週末の終値でキープできるかが注目される。もし、全体相場が一段安となっても3月安値と10月安値を結んだ2万6000円台前半にあるサポートラインを割り込まなければ、長期的な上昇基調はキープしている、といえる。
こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価は2万7000~2万8600円前後を見込んでいる。ちなみに、2023年は米金融政策などを意識して、年初は軟調だが年末にかけて上昇するパターンを予想している。
個別銘柄では、「インバウンド」の回復に絡み三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]など百貨店株、日本航空 <9201> [東証P]やスカイマーク <9204> [東証G]などの空運株、それに京成電鉄 <9009> [東証P]や南海電気鉄道 <9044> [東証P]、名古屋鉄道 <9048> [東証P]などの私鉄株に注目している。また、三菱重工業 <7011> [東証P]や川崎重工業 <7012> [東証P]、それに日本製鋼所 <5631> [東証P]などの「防衛」関連株にも妙味がありそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
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