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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─個別銘柄対応の投資戦術を!

経済評論家 杉村富生

「個別銘柄対応の投資戦術を!」

●東京市場は波乱のNY市場とは違う!

 マーケットには年末を控え、弱気の声が急速に広がっている。大手証券のストラテジスト(戦略家)は「6月、10月のような下振れのリスクが存在する」と。ちなみに、日経平均株価の6月の安値は20日の2万5520円、10月の安値は3日の2万5621円だ。しかし、筆者はこの局面では、6月・10月のような状況にはならない、と思う。

 NY市場は11月の米CPI(消費者物価指数)上昇率(12月13日発表)、13~14日のFOMC(連邦公開市場委員会)、16日のトリプルウィッチングを経て、「クリスマスラリーが始まる」と期待していた。だが、現実は“真逆”だ。15日のNYダウは764ドル(2.25%)安、ナスダック指数は360ポイント(3.23%)安と暴落である。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ継続姿勢(長期化)、および米国の経済指標(製造業指数、小売売上高など)の悪化がオーバーキル(金融引き締めが効きすぎて景気が後退すること)のリスクを高めている。もちろん、NYダウは10月13日の2万8660ドルを安値に、12月13日には3万4712ドルと、21.1%急騰した。その反動があろう。

 要するに、先に買ってしまったのだ。確かに、11月のCPI上昇率は前年比7.1%(10月は7.7%、ピークは6月の9.1%)と急低下、FRBの利上げは0.5%に圧縮された。しかし、株価は好材料、悪材料ともに先に織り込む。10~12月のNYダウの急騰劇は一連の好材料を先取りした、との見方ができる。

 ただし、日経平均株価はNYダウに追随していない。一緒になって、売り込むことはないじゃないか。需給面では外国人が買い転換、下値には「大学ファンド」の買いが入っている。景気は先進国の中では“良”だ。30兆円規模の総合景気対策も打ち出される。大企業中心とはいえ、相次ぐ賃上げの動きは株価にプラスとなろう。

●オープンワーク、ダイコク電機などに妙味!

 一方、物色面はどうか。ここは引き続いて、個別物色対応の投資戦術が有効だろう。IPO銘柄は玉が読めるだけに、手掛けやすい。オープンワーク <5139> [東証G]は数少ない野村証券主幹事銘柄(12月は26社のIPOのうち2社のみ)だ。親会社はリンクアンドモチベーション <2170> [東証P]である。

 ANYCOLOR <5032> [東証G]は10月27日に1万3790円の高値を付けたあと、窓を空けて急落している。15日には2023年4月期の業績予想の増額修正に加え、東証プライム市場への区分変更の申請に向けて準備する、と発表したが、株価は下げ止まらない。16日には6410円の安値まで売り込まれた。高値比半値以下だ。需給悪は恐い。だが、ここは突っ込み買いではないか。

 テーマ性を重視すると、ソニーグループ <6758> [東証P]が熊本県(合志市)に半導体の新工場を建設する、という。菊陽町の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>に続く熊本進出だ。熊本は熱い。サプライヤーテクノロジー企業のタカトリ <6338> [東証S]、テセック <6337> [東証S]などはメリットを受けるだろう。

 話題としては、11月21日にスタートしたスマートパチスロ(コインは不要)に注目できる。来年にはスマートパチンコ(玉が不要)が導入される。パチスロ・パチンコ業界の大変革だ。さらに、2024年には新札が登場する。ダイコク電機 <6430> [東証P]、ゲームカード・ジョイコホールディングス <6249> [東証S]に妙味がある。

2022年12月16日 記

株探ニュース

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