ティア Research Memo(6):2022年9月期は葬儀単価の下落を件数増加で吸収し、会社計画を上回る増収増益
■業績動向
1. 2022年9月期の業績概要
ティア<2485>の2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比8.9%増の13,283百万円、営業利益で同19.2%増の1,057百万円、経常利益で同19.5%増の1,048百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.8%増の568百万円と増収増益となり、2022年4月に上方修正した会社計画に対しても、売上高、営業利益、経常利益で上回って着地した。売上高については3期振りに過去最高を更新したことになる。
2022年9月期においても新型コロナウイルス感染者数が過去最多を更新し、感染防止対策等を強いられるなど逆風が吹くなかで、葬儀単価(直営店)は前期比2.9%下落したものの、葬儀件数が同12.6%増となったほか、売上原価率が同0.6ポイント改善したことが増収増益要因となった。会社計画比では葬儀単価(直営店)が1.9%下回ったものの、葬儀件数が3.2%上回ったこと、販管費を抑制できたことが上振れ要因となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、リロケーションを決定した店舗に関する減損損失145百万円を計上したことが下振れ要因となった。
2022年9月期の出店状況は、直営店で愛知県下に3店舗、三重県下に2店舗、千葉県下に1店舗を開設し、リロケーションにより1店舗を閉鎖した。また、三重県下のFC1店舗を直営に切り替えた。FC店については愛知県下に3店舗を開設し、これにより直営83店舗、FC57店舗の合計140店舗となった(前期末は直営77店舗、FC55店舗)。また、葬儀件数は直営で前期比12.6%増の14,189件、FCで同10.0%増の6,073件、合計で同11.8%増の20,262件と過去最高を更新し、同期間における国内全体の葬儀件数伸び率5.5%増※を上回るペースで伸長した。
※経済産業省「特定サービス産業動態調査報告書」より算出。
売上高の前期比増減要因を見ると、新店稼働による増収で611百万円、既存店の葬儀件数増加による増収で737百万円、FC売上高の増収で28百万円、その他の増収で24百万円となり、既存店の葬儀単価下落による減収316百万円、既存店のその他売上高の減収5百万円を吸収し、合計で1,080百万円の増収となった。また、会社計画比では葬儀件数の増加による増収で361百万円、FC売上高の増収で15百万円、その他売上高の増収で54百万円となり、葬儀単価下落による減収217百万円を吸収し、合計で213百万円の増収となった。
経常利益の前期比増減要因を見ると、売上総利益の増加で504百万円の増益となり、販管費における人件費の増加147百万円、支払手数料の増加38百万円(人事制度改革に伴うコンサルティング費用)、広告宣伝費の増加9百万円、その他経費の増加136百万円を吸収し、合計で171百万円の増益となった。また、会社計画比ではその他経費が46百万円増加したものの、売上総利益が51百万円増加したほか、人件費が60百万円、広告宣伝費が21百万円それぞれ計画を下回ったことにより、合計では88百万円の増額となった。
売上原価率は60.4%と前期比0.6ポイント低下した。内訳を見ると、商品原価率は「接客人財・警備」「納棺」「霊柩業務」「生花」等の内製化を進めたものの、コロナ禍対応等※の外注費が増加した結果、同0.1ポイントの上昇となった。労務費率や雑費率については増収効果により、それぞれ0.1ポイント、0.7ポイント低下した。一方、販管費は同334百万円増加したが、対売上比率では0.1ポイント低下した。金額ベースでは人員増や賃金制度改定により人件費が147百万円増加したほか、広告宣伝費が9百万円、その他経費が177百万円増加した。対売上比率では人件費率が0.2ポイント、広告宣伝費率が0.6ポイントそれぞれ低下し、その他経費が0.7ポイント上昇している。
※コロナ禍対応のため、搬送チームの人員を増員したほか、火葬待ちのためパートナー企業向けに遺体の一時預かり費用が発生した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SI》
提供:フィスコ