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早稲アカ Research Memo(2):塾生数の順調な増加等で、2023年3月期2Q累計業績は過去最高を更新


■業績動向

1. 2023年3月期第2四半期累計業績の概要
早稲田アカデミー<4718>の2023年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比8.1%増の14,828百万円、営業利益で同19.4%増の1,096百万円、経常利益で同20.6%増の1,109百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同21.2%増の690百万円と増収増益となり半期ベースで過去最高を更新した。また期初計画比では、コロナ禍再拡大により夏期講習の参加者数が伸び悩んだ影響※で売上高が若干未達となったものの、利益ベースでは労務費や広告宣伝費が計画を下回ったことにより、各利益ともに20.0%以上計画を上回って進捗した。

※夏期講習会の参加者数は前年同期比4.8%増の約4万人、夏期集中特訓コースは前年同期比1.6%増の約1.4万人だった。


(1) 部門別売上高と塾生数の動向
部門別売上高について見ると、小学部が前年同期比11.9%増の8,623百万円、中学部が同4.0%増の5,387百万円、高校部が同3.0%減の760百万円となり、小学部の2ケタ成長が続いた。また、期中平均塾生数は業界全体が伸び悩むなかで※1、前年同期比9.3%増の45,999人と順調に増加し、集団塾を主力に展開する上場企業の中でもトップの成長率だったと見られる。内訳を見ると、小学部が同13.6%増の26,609人、中学部が同4.4%増の16,906人といずれも過去最高を更新し、高校部も同0.4%増の2,484人と4年ぶりの増加に転じた。高校部については難関大学向け学習塾としてのブランドを確立すべく、数年前から校舎をターミナル駅に集約化する戦略を推進してきた影響で減少傾向が続いてきたが※2、校舎減によるマイナス影響が一巡した格好だ。

※1 経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、2022年4~8月の生徒数は前年同期比0.7%減であった。
※2 高校部の校舎数は、2016年3月期末の12校から2021年3月期末の6校まで段階的に減らしてきた。


各部門ともに塾生当たりの平均売上単価が若干低下したが、これは塾生数の中でも売上単価の低い非受験学年の伸び率が相対的に高かったことによる。例えば、小学3~4年生は約19%増、中学1年生は約6%増、高校1年生は約16%増であった。これら塾生については、今後も一定数繰り上がっていくことが予想されるため、2024年3月期以降の塾生数についても増加基調が続く可能性が高いと見られる。

少子化の進展と生徒獲得競争が激化するなかでも塾生数を伸ばすことができている要因としては、コロナ禍以降、オンラインを活用した「双方向Web授業」をいち早く開始し、「対面授業」再開後もいずれかの方式を選択受講できるデュアル形式の授業「早稲アカDUAL」を継続するなど、多様な顧客ニーズに応えてきたことや、塾生の学習効率及び利便性向上を図るため、ICTを活用した各種サービスの開発・提供を継続的に行い、顧客満足度の向上に取り組んできたことなどが挙げられる。ICTサービスに関する新たな取り組みとしては、従来「早稲アカマイページ」で提供していた授業スケジュール表示機能を生徒・保護者向けポータルサイト「早稲田アカデミーOnline」に統合・一元化し、授業の欠席・遅刻連絡を同サイト上で行えるようになったほか(従来は電話連絡)、カレンダー上から「双方向Web授業」の参加が可能になる機能を新たに追加し、生徒だけでなく保護者からも好評を得ている。

(2) 新規校舎の開設状況
新規校舎としては、2022年7月に「個別進学館流山おおたかの森校」(千葉県流山市)を開校した。同年3月に開校した集団塾が3ヶ月で満席となり、1.5倍に増床したうちの一部を活用しており、入塾生も順調に増加している。また、塾生数が1千人を超えるマンモス校となっている「早稲田アカデミー武蔵小杉校」(神奈川県川崎市)では2号館が定員に達したことから、2022年夏に3号館を増設した。同様に湾岸エリアで2021年7月に開校した「豊洲校」(東京都江東区)も入塾希望者が極めて多く、2022年5月に2号館を増設している。2022年9月時点のグループ校舎数は前期末比1校増の181校(そのほか、個別進学館のFC校を17校展開)となっている。

(3) 費用の増減要因
2023年3月期第2四半期累計の営業利益率は前年同期比0.7ポイント上昇の7.4%となった。販管費率が同0.9ポイント上昇したものの、売上原価率が同1.6ポイント低下したことが利益率の上昇につながった。売上原価率のうち、原材料費率は塾生数・受講者数の増加に伴う教材模試の仕入増加や、オンライン英語の受講者数増加に伴う外注費増加によって同0.5ポイント上昇したものの、校舎当たり塾生数の増加によって労務費率が同0.4ポイント、地代家賃率が同0.3ポイント低下した。特に小規模校舎における生徒数増加の効果が大きかった。その他売上原価については、減価償却費の減少を主因に同1.4ポイント低下した。

一方、販管費率の内訳を見ると労務費率が同0.2ポイント低下、広告宣伝費率が横ばいとなったが、その他販管費率が同1.1ポイント上昇し、販管費率の上昇要因となった。主には、「個別進学館」の事業取得※に伴うのれん償却費の増加(30百万円増加)と株主優待費用の増加によるものとなっている。

※明光ネットワークジャパン<4668>と共同で展開していた「早稲田アカデミー個別進学館」について、明光ネットワークジャパンで運営していた直営及びFC校について2021年11月に事業譲受し、同社が単独で展開していくことになった。


(4) 子会社の業績動向
子会社の業績動向について見ると、野田学園についてはコロナ禍の影響もあって既卒生の減少傾向が続いており、厳しい収益状況が続いたものの、利益計画は達成した。集学舎は、売上高は計画を若干上回って推移したものの、夏期合宿等の費用が増加し、利益は計画を下回った。一方、水戸アカデミーについては2021年に校舎を増床したこともあって生徒数が順調に増加しており、会社計画を上回る増益となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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