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5381 Mipox

東証S
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グリーン投資拡大が追い風、メガトレンドに乗る「パワー半導体」関連株 <株探トップ特集>


―EV向けなどに需要急拡大、省エネに直結するキーデバイスとして脚光―

 「産業のコメ」ともいわれる 半導体の需給が逼迫している。背景には新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり需要でデータセンターやパソコン向けが増えているほか、中国を中心とした自動車生産の回復などがあり、SUBARU <7270> が1月中旬に操業停止を余儀なくされるなど影響が広がっている。こうしたなか、電力を効率的に使うことができる パワー半導体も不足しているとみられ、主要国での電気自動車(EV)再生可能エネルギーといったグリーン投資拡大が需要を更に押し上げそうだ。

●脱炭素社会に向け需要高まる

 半導体は、電気を通しやすい“導体”と電気を通さない“絶縁体”の両方の特性を持つ物質・材料で、演算や記憶などの働きをするマイコン(CPU)やメモリーなどの大規模集積回路(LSI)に代表される。これに対してパワー半導体は、電力の制御を行う素子のこと。具体的には、直流を交流、交流を直流に変換できるほか、電圧や周波数を変えることが可能で、特に高い電圧や大きな電流を制御する用途に使用され、その特性から機器の省エネルギー化に直結する重要部品だ。パワー半導体の性能は電力制御モジュールの省エネ化、軽量・小型化につながることから要求性能は年々上昇しており、これまで主流となっていたシリコン(Si)素材よりも電気を通しやすく、電力損失を大幅に削減できる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)の次世代材料が実用化されているほか、これらに比べて更に高電圧・高電流で使用できる可能性を持つ酸化ガリウム(Ga2O3)の研究開発も進んでいる。

 菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を実現するためには、再生エネ利用の拡大や需要側の電化・省エネが不可欠で、文部科学省は「太陽光発電などに活用されるパワーコンディショナー、EV、ロボット、電力ネットワークの需給調整など、電力供給の上流から電力需要の末端までを支えるパワーエレクトロニクス(パワー半導体やコイル・コンデンサーなどによって構成される回路システムを用いて、電力機器内部の電圧や電流を制御する技術)は、あらゆる機器の省エネ・高性能化につながる横断的技術で、温暖化対策に貢献しつつ産業構造や経済社会の変革をもたらすグリーン化によるイノベーションのカギ」と指摘。加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展するなか、情報通信技術(ICT)の高性能化やデータセンターの省エネ化にも貢献するとしていることもあり、今後の成長が期待できるパワー半導体への関心が一段と高まっている。

●自動車関連の引き合い活発

 富士電機 <6504> は1月28日に21年3月期第3四半期累計(20年4-12月)の連結決算を発表し、売上高は前年同期比8.2%減の5613億1000万円、営業利益は同16.4%減の140億7300万円となった。ただ、同期間の電子デバイス事業はパワー半導体の需要増により増収増益を確保。決算説明会では電動車(xEV)向けの需要が非常に強く、国内では産業用絶縁ゲート型バイポーラトランジスター(IGBT)モジュール、中国では工作機械や新エネ向けの需要が増加していると述べた。

 ローム <6963> が2月1日に発表した21年3月期第3四半期累計の連結決算は、LSIやパワーデバイスが苦戦したことで営業利益は前年同期比6.8%減の244億6400万円にとどまったが、自動車関連市場向けなどが回復していることから21年3月期通期の連結営業利益見通しは前期比8.5%増の320億円(従来予想は230億円)に上方修正した。また、SiCパワーデバイスの生産能力強化を目的にローム・アポロの筑後工場(福岡県)に建設していた新棟が昨年12月に完成、22年の稼働を予定しており、業績への寄与が期待される。

 サンケン電気 <6707> は、次世代パワー半導体であるSiCやGaNに注力している。2月3日には21年3月期通期の連結営業損益見通しを29億円の赤字(従来予想は6億円の黒字)に引き下げたが、米子会社のナスダック上場に伴うIPO関連費用を計上したことが主な要因で、通期の連結売上高は前期比3.3%減の1550億円(従来予想は1440億円)に上方修正。会社側ではパワー半導体の中長期的な需要拡大を見込んでいる。

●材料出現でMipox人気化

 また、直近ではMipox <5381> [JQ]が1月14日に、名古屋大学との共同研究「半導体製造の生産性を向上させるキラー欠陥自動検査システムの開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業」に採択されたと発表。このシステムは将来的に日本のパワー半導体製造の標準装備となることが期待されており、株価は18日に昨年来高値を更新した。

 デンソー <6902> はSiCパワー半導体を搭載した次期型昇圧用パワーモジュールの量産を開始し、昨年12月に発売されたトヨタ自動車 <7203> の新型燃料電池車「MIRAI」に採用された。このパワーモジュールには昭和電工 <4004> のSiCエピタキシャルウェハーが使用されており、同社は「25年以降はEVのパワーコントロールユニットへの本格搭載が見込まれ、市場拡大が加速する」とみている。

 豊田合成 <7282> はGaNパワー半導体の開発で、このほど環境省の「革新的な省CO2実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速化事業」に、名古屋大学などと共同で選出。東京エレクトロン デバイス <2760> は、インフィニオン テクノロジーズ ジャパン(東京都品川区)と販売代理店契約を結び、高品質なパワー半導体や車載用ICなど製品ラインアップを拡充した。

●タカトリ、サムコなどにも注目

 このほか、SiCコート被覆材を生産する東洋炭素 <5310> 、SiCに代表される硬脆性材料などの精密切断加工機メーカーのタカトリ <6338> [東証2]、SiCパワーデバイスの製造工程で使用される装置を手掛けるサムコ <6387> 、グループ会社がパワー半導体製造用高温イオン注入装置を提供している日新電機 <6641> 、パワー半導体などの製造装置を展開するアルバック <6728> 、パワー半導体の開発・生産・販売を手掛ける三社電機製作所 <6882> [東証2]、パワー半導体用基板を扱うフェローテックホールディングス <6890> [JQ]、SiCウェハー検査装置を展開するレーザーテック <6920> にも注目。

 Ga2O3ウェハーの開発・製造・販売に成功しているノベルクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市)に出資しているAGC <5201> とタムラ製作所 <6768> 、第5世代移動通信システム(5G)基地局用GaN増幅器モジュールなど各種製品を展開する三菱電機 <6503> 、GaNを搭載したパワーモジュールの開発を行っている新電元工業 <6844> 、GaN基板を取り扱う住友化学 <4005> や三菱ケミカルホールディングス <4188> 、住友電気工業 <5802> 、高純度ガリウムなどを提供するラサ工業 <4022> も見逃せない。

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