【市況】後場に注目すべき3つのポイント~自動車株下落や配当落ちが影響し37000円の攻防

28日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は大幅続落、自動車株下落や配当落ちが影響し37000円の攻防
・ドル・円は反落、日本株の大幅安で
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位は東エレク<8035>
■日経平均は大幅続落、自動車株下落や配当落ちが影響し37000円の攻防
日経平均は大幅続落。前日比788.31円安(-2.09%)の37011.66円(出来高概算8億3000万株)で前場の取引を終えている。
27日の米国株式市場は続落。ダウ平均は155.09ドル安の42299.70ドル、ナスダックは94.98ポイント安の17804.04で取引を終了した。トランプ大統領が発表した自動車関税を懸念した売りが続き、寄り付き後、下落。その後、雇用関連や国内総生産(GDP)など指標が堅調な経済を示し一時上昇に転じた。しかし、関税を巡る不透明感がくすぶったほか、インフレ高止まりの思惑で長期金利の上昇が嫌気され、終盤にかけ相場は再び下落し終了。
米国株安やトランプ追加関税に対する影響などが懸念されて、東京市場は売り優勢で取引を開始。日経平均は37300円台でスタートした後は、幅広い銘柄が売られたことや配当落ち分(約307円)なども影響し、一時37000円台を割り込む場面も見られた。前場の日経平均採用銘柄で上昇したのは僅か12銘柄に留まった。
日経平均採用銘柄では、米追加関税発動に伴い国内車産業が最大13兆円ほどの打撃をこうむると報じられたことも影響し、ホンダ<7267>、トヨタ自<7203>、マツダ<7261>、SUBARU<7270>など自動車株が総じて下落したほか、日本郵船<9101>、川崎汽船<9107>、商船三井<9104>など海運株も弱い。このほか、野村<8604>、日本取引所グループ<8697>、大和証G<8601>、JFEホールディングス<5411>、日本製鉄<5401>などが下落した。
一方、大塚ホールディングス<4578>、良品計画<7453>、イオン<8267>、JT<2914>など権利取りが影響しないディフェンシブ銘柄の一角がしっかり。また、ネクソン<3659>、東宝<9602>、ディー・エヌ・エー<2432>などエンタメ系銘柄も買われた。
全業種が下落したなか、証券・商品先物取引、海運、輸送用機器、鉄鋼、非鉄金属の下落が目立った。
配当落ちに絡んだ225先物とTOPIX先物買いは合計で1兆8000億円ほど入るとの観測があるため、大引けにかけて日経平均やTOPIXは下げ幅を縮小する可能性はある。一方、総務省が28日朝方に発表した3月の東京都区部の消費者物価指数では、生鮮食品を除く総合指数の前年同月比の伸び率が2.4%と市場予想(2.2%)を上回った。この結果を受けて、市場では日銀が利上げ姿勢を強める可能性があるとの声も浮上。国内金利の先高観が株の売り圧力を強める可能性もある。需給では下げ幅を縮小しそうな日経平均だが、押し目を狙うような積極的な買いは入りにくいと考える。
■ドル・円は反落、日本株の大幅安で
28日午前の東京市場でドル・円は一時151円21銭まで値を上げた後、150円70銭まで失速した。米10年債利回りの低下でドル売りに振れ、ユーロや豪ドルなど主要通貨は対ドルで底堅く推移。日経平均株価は大幅安となり、リスク回避の円買いを強めた。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は150円70銭から151円21銭、ユーロ・円は162円67銭から163円17銭、ユーロ・ドルは1.0788ドルから1.0801ドル。
■後場のチェック銘柄
・新光電気工業<6967>の、1銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位は東エレク<8035>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・日・3月東京都消費者物価コア指数:前年比+2.4%(予想:+2.2%、2月:+2.2%)
【要人発言】
・3月日銀会合主な意見
「経済・物価の見通し実現していけば、引き続き金融緩和の度合いを調整」
「見通しが実現する確度をアップデートしながら適切に判断必要」
「当面0.5%金利の下での経済・物価反応見極めるのが適当」
「米国発下方リスク足元急速に強まっている」
「関税問題展開次第で日本の実体経済に悪影響の可能性十分ある」
「利上げタイミングのより慎重な見極め必要」
「米関税問題、中国製品との競争激化で日本経済下押しリスク」
「不確実性は高まっているが、今後の状況によっては果断に対応すべき場面も」
<国内>
・特になし
<海外>
・16:00 英・10-12月期国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比+1.4%、速報値+1.4%)
《CS》
提供:フィスコ