【特集】アルファパーチェス Research Memo(1):大企業向け「購買・役務代行」のトップランナー

■要約
アルファパーチェス<7115>の主力事業は、大企業向け「購買・役務代行」である。事業セグメントとしては、設備・機械の修理用備品、オフィス用品などの間接材購買を行う「MRO※1事業」と商業施設のメンテナンスなどを行う「FM※2事業」を2本柱としている。どちらも「アウトソーシング事業」であり、今後の成長余力は大きい。「MRO事業」では自社開発したプラットフォーム「APMRO」及び「無限カタログ」を提供しているが、その開発力が成長の源泉となっている。
※1 MRO=Maintenance Repair&Operation
※2 FM=Facility Management
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高55,952百万円(前期比7.7%増)、営業利益1,242百万円(同4.6%増)、経常利益1,227百万円(同3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益865百万円(同1.8%増)となった。大型工事の2025年12月期へのずれ込み等で売上高は見通しを下回ったが、減価償却費が微減となったことなどから利益予想は達成した。セグメント別では、MRO事業では大企業向けが好調に推移したことで売上高は前期比11.0%増となり、販管比率が低下したことなどから営業利益は同20.9%増となった。FM事業では、大型改装案件が後ずれしたこと等から売上高は同0.4%減となり、売上構成の変化で営業利益は同19.0%減となった。重要な指標である大手企業(企業グループ単位での月平均購入金額が1,000万円以上)の契約数は期末で42社(前期末比2社増)となった。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高61,975百万円(前期比10.8%増)、営業利益1,410百万円(同13.5%増)、経常利益1,400百万円(同14.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益979百万円(同13.1%増)を見込んでいる。MRO事業では、大手企業向けの売上は既存顧客の継続的な購入増に加え、新規顧客も増加したことから2ケタ成長が続く見込みで、売上高は前期比9.0%増を予想している。FM事業においても、前期からずれ込んだ大型案件が立ち上がることから売上高は同15.8%増の17,000百万円の見込み。経費面では、IT経費(償却含む)や人員関連費用(派遣社員、教育費等含む)が増加する見込みだが、これらを吸収して営業増益を達成する計画だ。
3. 中長期の展望:潜在市場は膨大
同社の主要事業は購買・役務代行であるが、対象とするのは売上高1,000億円以上の大企業に絞っており、潜在的な企業数は約1,000社あると推定されている。MRO事業において現時点で同社が契約を締結している大口顧客は42社のみであり、ポテンシャルは大きいと言えるだろう。同社の推定では、大企業が年間に購入する資材は大部分が原材料や部品などの「直接材」だが、同社事業の対象となる間接材(消耗品、工具備品等)市場は約5兆円あり、その内の多品種・少量アイテムのロングテールMRO市場は約1兆円とみている。このうち約60%は仕様確定や価格交渉等が必要であり、残り約40%が交渉を必要としない「カタログ品市場」であり、ここが同社の現時点の事業領域で、約4,000億円と推定される。現在の同社のMRO事業の顧客数は、取引高が小さい顧客を含めても87社に過ぎず、1,000社の8.7%に留まる。同社の最大の強みは、顧客側のシステム(ERP※等)とサプライヤー側のシステムを連携する仕組み、いわゆるAPI(Application Programming Interface)を自社開発できることにある。カタログ購入の市場には様々な企業が存在するが、現時点において同社と同規模で同様の購買代行サービスを大手企業向けに行う企業は見当たらず、厳密に言えば正面から競合する企業は皆無と言える。部分的には競合する企業があるが、むしろこの市場における最大のライバルは「内製=自社内購買部門」と言える。大企業においては、今後さらに間接費用の削減(アウトソーシングの増加)が進むことが予想されるため、同社の事業が拡大する余地は大きいと言えるだろう。
※ ERP:Enterprise Resources Planning
■Key Points
・大企業向け「購買・役務代行」が主要事業、開発力で差別化
・顧客数増で2025年12月期は13.5%の営業増益予想
・大企業の外注化率は低く、潜在市場が拡大する余地は大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
《HN》
提供:フィスコ