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【特集】村瀬智一が斬る!巳年「有望株!」 <新春お年玉企画>

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「2025年は変革の年、年中盤以降は波乱も」

●2025年は“政治”が攪乱要因となる公算も

 2024年は元旦に石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生、2日には羽田空港で日本航空機と海上保安庁機が衝突し炎上する事故が発生するなど、不安が漂うなかでのスタートとなった。

 だが、株式市場では新NISA(少額投資非課税制度)開始に伴う好需給が相場を牽引。日経平均株価は1月に前月比2822円高と好スタートを切り、2月には34年2カ月ぶりに史上最高値の更新を果たした。

 3月に史上初の4万円の大台に乗せ、7月には4万2426円まで上昇。8月にはブラックマンデーを上回る下げ幅の暴落も記録したが、年後半に向けたリバウンドで再び4万円台を回復するなど、十二支のなかで最も平均上昇率が高い辰年相場そのものの展開だった。

 外部要因では、日銀が3月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除し、異次元緩和が終了した。10月の衆議院選挙は与党の自民・公明両党が大敗し、過半数を割った。一方、接戦が予想された11月の米大統領選ではトランプ氏が圧倒的な勝利を収めた。

 2025年相場は、前年ほどのパフォーマンスは期待しづらいだろう。1月のトランプ米大統領就任から100日間はハネムーン期間といわれ、報道機関は批判的な評価を抑制する傾向があり、年度末辺りまでは堅調な展開が期待される。ただし、トランプ政権が計画する対中関税強化の影響により、米中間の緊張は一段と高まるとみられる。

 トランプ政権が推し進める政策としては、暗号資産の活用拡大など金融規制の緩和が予想されるほか、米国第一主義を掲げて各国に防衛費の増額を迫る可能性がある。大統領職と連邦議会の上下両院の過半数を共和党が握る「トリプルレッド」を実現したことで、トランプ氏の政策が通りやすい状況であり、過激な政策が打ち出される公算が大きい。

 ドイツではショルツ首相の信任投票が議会で否決され、2月に20年ぶりとなる連邦議会の解散・総選挙が行われる。

 国内では7月に参議院選挙が実施される。与党の過半数割れがコンセンサスになりそうで、政治不安が高まる可能性がある。そのため、年中盤からは調整色が強まる展開を想定しておきたい。

●2025年相場の注目ポイントは?

 石破首相は24年12月に重点政策の一つである「 地方創生2.0」の指針となる「基本的な考え方」を決定。25年夏には今後10年間の基本構想をとりまとめる計画である。デジタル技術を活用し「情報格差ゼロ」を目指す方針であり、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が加速しよう。

 生成AI(人工知能)の成長も続こう。ソフトバンクグループ <9984> [東証P]の孫正義会長兼社長は24年10月に開催した法人向けイベントで、人間相当の思考回路を持ち、知的作業の理解や学習、実行ができるAGI(汎用人工知能)が今後2~3年以内に実現すると予測していた。だが、それを上回る速さで進化する可能性もあり、生成AIを事業に取り込む動きが一段と本格化してきそうだ。

 また、AIの普及に伴って データセンターの電力消費が急激に増加しており、未曽有の電力需要に対して、環境にも配慮しながら如何に対応するかが重要な課題となる。米国ではアルファベット<GOOG>やアマゾン・ドット・コム<AMZN>がSMR(小型モジュール原子炉)からの電力購入を進めており、国内でもSMRなど原子力発電に対する関心が高まろう。

 次世代半導体の国産化を目指す民間の半導体製造会社ラピダスは、米IBM<IBM>と共同開発した技術を取り入れた2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体の試作品を25年4月から製造を始め、27年から量産を開始する計画である。

 ラピダスの2ナノ半導体の開発については、政府も「日本が次世代半導体に参入するラストチャンス」とし、日本の半導体産業の再興に向けた重要なプロジェクトと位置づけている。2ナノ半導体は量子コンピューターや生成AI、データセンター、自動運転、医療・創薬など、高い成長が見込める幅広い分野での活用が期待されている。

 また、24年12月にはホンダ <7267> [東証P]と日産自動車 <7201> [東証P]の経営統合協議や、ニデック <6594> [東証P]による牧野フライス製作所 <6135> [東証P]への同意なきTOB(株式公開買い付け)提案が発表されたが、今後もM&Aを通じた企業改革の動きが活発化していきそうである。

◆村瀬氏のお薦め「2025年ポートフォリオ10銘柄」とポイント

○大日本印刷 <7912> [東証P]
2ナノ世代以降のロジック半導体向けのフォトマスクに要求される微細なパターンの解像に成功。

○コムシスホールディングス <1721> [東証P]
地方創生推進に伴う通信インフラや社会インフラ需要拡大の恩恵を享受。

○テイ・エス テック <7313> [東証P]
ホンダと日産自動車の経営統合協議により、部品メーカーにも再編の動き。ホンダ系の優位性が高まる。

○JR西日本 <9021> [東証P]
大阪・関西万博開催で旅客需要が増加へ。

○JSH <150A> [東証G]
在宅医療事業と地方創生事業を展開。訪問診療を実施する医療機関と連携し、看護師や作業療法士による精神科訪問看護を提供。

○三菱重工業 <7011> [東証P]
軽水小型炉や高温ガス炉、マイクロ炉を「将来炉」として位置づける。

○テクマトリックス <3762> [東証P]
子会社のPSPがキヤノン <7751> [東証P]やエムスリー <2413> [東証P]の子会社と医療AIを活用したヘルスケアIT事業を展開。

○MCJ <6670> [東証S]
グループ会社が高性能高密度サーバーの設計・設置から運用、保守まで対応する水冷ソリューションを提供。

○大阪有機化学工業 <4187> [東証P]
高性能の半導体向け材料「モノマー」で世界シェア首位。

○イビデン <4062> [東証P]
半導体パッケージ基板大手。台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>との連携を強化。

2024年12月27日 記


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