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【特集】酒井重 Research Memo(1):2025年3月期第2四半期は前年同期比37.4%の営業減益、通期予想も下方修正


■要約

酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーである。国内シェアは70%を超えており、近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。

1. 2025年3月期第2四半期の業績概要
2025年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が14,385百万円(前年同期比14.3%減)、営業利益が1,231百万円(同37.4%減)、経常利益が1,178百万円(同44.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,302百万円(同15.1%減)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益の減益幅が小さいのは、特別利益として投資有価証券売却益288百万円を計上したことによる。地域区分別売上高では、国内は国土強靭化加速化対策を背景に市場環境は堅調であったが、度重なる価格改定や建設業界における残業規制などから主要顧客である建機レンタル会社の投資抑制が続き前年同期比11.0%減となった。海外も同16.9%減であり、北米ではインフラ投資法を背景とした道路建設投資の拡大により最終需要は堅調であったが、金利の高止まりが続く中でディーラーの在庫調整が加速し同16.2%減となった。アジア向けも、インドネシアで大統領選挙等の影響もあり需要が低迷、さらにASEAN市場(主にタイ、ベトナム)でも需要が減速したことから同13.1%減となった。価格改定効果や輸送費の落ち着き、円安などにより売上総利益率は30.1%(前年同期は29.9%)と若干改善したものの、減収や販管費の増加(前年同期比1.7%増)により、営業利益は同37.4%減となった。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で27,200百万円(前期比17.6%減)、営業利益で1,740百万円(同47.6%減)、経常利益で1,700百万円(同48.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,700百万円(同30.3%減)と見込んでおり、期初予想(売上高33,000百万円、営業利益2,730百万円)から下方修正した。この下方修正の理由は、上期の業績が予想以上に低調であったことに加え、下期についても引き続き世界の建設機械市場で調整局面が続く見通しとなったことから、前回発表の通期業績予想値を下方修正した(前提となる下期の為替レートは、米ドル140円で換算)。

3. 中期の成長戦略
同社は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進している。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8.0%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指す。売上高、営業利益ともに2024年3月期に目標を上回ったが、進行中の2025年3月期が減収減益予想であることから、現時点でこれらの数値目標は据え置いた。また年間配当については、2025年3月期は業績の下方修正により予想ROEが5.8%に低下する見込みであることから、基本方針(ROE6.0%以下の場合はDOE(株主資本配当率)3.0%)に沿って、通期配当予想を103.0円(期初見込み107.5円)に下方修正した。足元の業績は足踏みしているが、このようにROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。

■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2025年3月期第2四半期は前年同期比37.4%の営業減益。通期では前期比47.6%減を予想
・中期的な数値目標(2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円)は据え置いた

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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