【市況】変動激しい8月、最高値に僅かに届かず (1) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
●THE S&P 500 MARKET:2024年8月
個人的見解:ボラティリティ、不確実性、動揺はあったが、最終的に上昇
◇インデックスの動き
8月の株式市場は7月のボラティリティ、不確実性、動揺が続きましたが、最終的にS&P500指数 は2.28%上昇して5648.40で月を終えました。配当込みのトータルリターンはプラス2.43%でした(7月は1.13%上昇とプラス1.22%)。8月に最高値更新はなく(7月は7回)、2024年7月16日に付けた終値での過去最高値(5667.20)からわずか0.33%安の水準で月末を迎えました。年初来では18.42%上昇(トータルリターンはプラス19.53%)となりました。マグニフィセント・セブン銘柄は、8月もグループとして大きな存在感を示しましたが、指数全体のリターンにおける影響力は低下し(少なくとも8月は)、グループ全体ではS&P500指数の月間トータルリターンを0.75%押し下げました。
セクター別では、消費関連セクターに顕著な動きが見られ、支出とインフレに対する懸念から一般消費財が1.08%下落(年初来では5.79%上昇)した一方で、生活必需品は5.78%上昇(同15.78%上昇)し、セクター別で最高のパフォーマンスとなりました。月間の下落幅が最大だったのはエネルギーで、8月は2.32%下落(同8.72%上昇)しました。ガソリン価格の下落が続いていることが要因ですが、これはドライブが多くなる夏にしては珍しい現象です。
過去3ヵ月間の騰落率は7.03%上昇となりました(トータルリターンはプラス7.39%)。年初来では18.42%上昇となり(同プラス19.53%)、年率換算すると28.66%上昇(同プラス30.46%)に相当します。過去1年間では25.31%上昇となっています(同プラス27.14%)。
8月は値上がり銘柄数が355銘柄、値下がり銘柄数が148銘柄となり、差は縮小したものの、依然として値上がり銘柄が圧倒的に多くなっています(7月は値上がり銘柄数が364銘柄に対し、値下がり銘柄数は139銘柄)。8月は22営業日のうち13営業日で上昇し(7月は22営業日のうち14営業日で上昇。年初来では168営業日のうち95営業日で上昇)、9営業日で1%以上変動しました(上昇が6日、下落が3日)。11セクターのうち9セクターが上昇しました(7月は9セクターが上昇)。出来高は前月比1%増(営業日数調整後)、前年同月比では2%減となりました。
S&P500指数の時価総額は8月に1兆590億ドル増加(7月は5360億ドル増加)して、47兆4480億ドルとなりました。年初来では7兆4000億ドル増加しました。2023年は7兆9060億ドルの増加、2022年は8兆2240億ドルの減少でした。
⇒ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は8月に4回最高値を更新しました(年初来では26回。終値での最高値は4万1563.08ドル、取引時間中の最高値は4万1585.21ドル)。7月の最高値更新は3回でした。同指数は8月に1.76%上昇して(配当込みのトータルリターンはプラス2.03%)、4万1563.08ドルで月を終えました。7月は4.41%上昇して(同プラス4.51%)で4万0842.79ドル、6月は1.12%上昇して(同プラス1.23%)3万9118.86ドルで月を終えました。ダウ平均は過去最高値を更新して8月を終えています。過去3ヵ月間の騰落率は7.44%上昇(同プラス7.95%)、年初来では10.28%上昇(同プラス11.75%)、過去1年間では19.70%上昇(同プラス22.06%)となっています。2023年は13.70%の上昇(同プラス16.18%)、2022年は8.78%の下落(同マイナス6.86%)でした。
○8月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は、1.32%(2023年3月の1.51%以来の水準)と7月の0.95%から上昇し、年初来では0.91%となっています。なお、2023年通年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.42%)。
○8月の出来高は、7月の前月比9%減少の後に、同1%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では2%減少となりました。2024年8月までの12ヵ月間では前年同期比8%減少しています。2023年通年では前年比1%減で、2022年通年では同6%増でした。
○8月は1%以上変動した日数は22営業日中9日(上昇が6日、下落が3日)、2%以上変動した日数は2日(上昇が1日、下落が1日)でした。7月は1%以上変動した日数は22営業日中6日(上昇が4日、下落が2日)、2%以上変動した日数は1日(下落)でした。年初来では、1%以上変動した日数は36日(上昇が24日、下落が12日)で、2%以上変動した日数は4日(上昇が2日、下落が2日)でした。2023年通年は、1%以上変動した日数が250営業日中63日(上昇が37日、下落が26日)、2%以上変動した日数が2日(上昇が1日、下落が1日)でした。8月は22営業日中14日で日中の変動率が1%以上となり、4日で日中の変動率が2%以上となりました。対して7月は1%以上の変動が22営業日中9日で、2%以上変動した日はありませんでした。年初来では、56日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日数は6日ありました。2023年通年では1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日で、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が219日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日でした(4%以上の変動が4日、5%以上の変動が1日)。
過去の実績を見ると、8月は58.3%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.89%、下落した月の平均下落率は3.90%、全体の平均騰落率は0.64%の上昇となっています。2024年8月のS&P500指数は2.28%の上昇でした。
9月は43.8%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.09%、下落した月の平均下落率は4.70%、全体の平均騰落率は1.16%の下落(1年で最もパフォーマンスの悪い月)となっています。
今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)のスケジュールは、2024年は9月17日-18日、11月6日-7日、12月17日-18日、2025年は1月28日-29日、3月18日-19日、5月6日-7日、6月17日-18日、7月29日-30日、9月16日-17日、10月28日-29日、12月9日-10日となっています。
※「変動激しい8月、最高値に僅かに届かず (2)」へ続く
株探ニュース