【特集】橋本総業HD Research Memo(6):拠点の増強や新領域の拡張を目指す
橋本総業HD <日足> 「株探」多機能チャートより
■中期計画
2. 「3つのフル」
成長戦略の「3つのフル」は「フルカバー」「フルライン」「フル機能」のことで、「どこでも、何でも、どんなことでも対応する」という橋本総業ホールディングス<7570>の意思表示である。「3つのフル」を追求することで、ステークホルダーとともに栄えようという考えに基づいている。「フルカバー」は、得意先や仕入先とともに地域にネットワークを作り、県別体制で全国需要に対応することを指す。「フルライン」は、設備関連資材であれば何でもワンストップで対応することを指す。管材のみならず土木、建材、電材などの新規分野にも積極的に対応するほか、PCやタブレットでの商品閲覧が可能となっている。「フル機能」は、どんなことでも対応するということで、「対応、価格、在庫、配送、販促、研修、情報」の基本7機能、「事前の引合・受注・照会、当日の納入・施工・加工、事後のアフターメンテナンス・現調・取替」の工程9機能、「物流、施工、情報、システム、業務、サポート、教育、人材、金融」のソリューション9機能を継続的に強化している。
このうち中期計画では、特に「フルカバー」と「フルライン」を強化する。「フルカバー」では、月商5,000万円を見込める収益性の高い拠点を増強する予定で、新設拠点の展開スピードを加速するとともに、近隣に適地が見つかれば移転も検討する。「フルライン」では、アイテム数のさらなる充実に加え、電材、建材、住設、産機など新領域の売上高を月商2億円程度へと拡張する予定で、主力の管材とともに建築資材を構成する電材と建材については、特に積極的に取り組む。
「みらい会」会員や「みらい市」を強化する
3. 「みらい会活動」
同社はバリューチェーンづくりを「みらい会活動」と呼び、業界最大かつ最良のネットワークの構築を進めている。「売り手」と「買い手」という関係ではなく、人と人がつながることで互いにビジネスが向上する「ベストパートナー」の関係づくりを目指し、業界全体の発展に貢献している。「みらい会活動」の核となる「みらい会」は、販売店、仕入先メーカー、工事店、そして同社の各支店が「四位一体」となって構成されており(ほかに金融会員)、正会員500社、拠点数1,000という規模を誇っている。研修やイベントを通じて会員の要望に応じており、毎年4回以上開催される研修会では、参加者は互いに情報を持ち寄り、商材や経営などのノウハウの取得に取り組んでいる。また、メーカーから販売先への情報伝達だけでなく、会員同士の情報交換や販売先からメーカーへのフィードバックも多く、参加者にとって非常に有益な会となっている。
「みらい会」では、会員相互の販促の場となるイベント「みらい市」を開催している。「みらい市」は年間30,000人以上を動員する業界最大級のハイブリッド展示会イベントで、メーカーの展示だけでなく、「みらい会」会員相互の販促の場にもなっている。今後は、メーカーのショールームを使った「ショールームみらい市」や「WEBみらい市」など「みらい市」の拡充を通じ、「毎月がみらい市」を目指している。また「みらい会」会員に対して、販促、健康、研修、IT、分科会、イベント、物流、情報の8つのサービスからなる「みらいサービス」を提供しており、特に、経営幹部セミナー「橋本学校」など業界のプロ人材の育成に向けて毎月開催する研修や、会員専用Webサイト「OPS」の運営や会議・商談のオンライン化など業務効率化に役立つツールを提供するITなど一定の成果をあげている。こうした活動を行っている企業は同業1次卸にもほとんどなく、同社の大きな差別化ポイントとなっている。このため「みらい会活動」を一層強化し、2028年3月期に「みらい会」で正会員1,000社、拠点数2,000の達成、みらい市では50,000人の動員を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SO》
提供:フィスコ