【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):サンバイオ、GENDA、ラクスル
サンバイオ <日足> 「株探」多機能チャートより
サンバイオ<4592>が後場急伸。厚生労働省はこの日、19日に薬事審議会の再生医療等製品・生物由来技術部会を開催すると発表。同部会で審議する事項の一つとして「再生医療等製品『アクーゴ脳内移植用注』の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否」を挙げた。アクーゴ脳内移植用注はサンバイオの開発品SB623であり、承認を期待した思惑的な買いが集まったようだ。
■GENDA <9166> 1,792円 +164 円 (+10.1%) 本日終値
GENDA<9166>が続伸、5月30日の株式分割後の高値を連日で更新した。アミューズメント事業を国内外で展開しM&A戦略にも長じ業容拡大路線を走っている。11日取引終了後に発表した25年1月期第1四半期(2~4月)決算は営業利益が前年同期比23%増の20億5900万円と大幅な伸びとなり、対通期進捗率も29%強に達した。また、同日に米国でミニロケ事業を運営するNational Entertainmentを傘下に持つClaw Holdingsの全持ち分を取得し子会社化することを発表。更に、毎年1月末と7月末時点で100株以上を6カ月以上継続保有する株主を対象に、同社が展開するGiGOグループの店舗やカラオケBanBanで利用可能なクーポンを贈呈する株主優待制度の新設(25年1月から適用)も決めており、これらが株価を強く刺激する材料となった。
■ラクスル <4384> 1,002円 +88 円 (+9.6%) 本日終値 東証プライム 上昇率2位
ラクスル<4384>が急反発。11日の取引終了後に発表した第3四半期累計(23年8月~24年4月)連結決算が、売上高375億5700万円(前年同期比24.7%増)、営業利益21億8900万円(同50.2%増)、純利益21億400万円(同47.7%増)と大幅増益となったことが好感された。主力のラクスル事業で法人向け印刷販促管理サービス「ラクスルエンタープライズ」が導入企業2000社を突破するなど既存事業が堅調に推移した一方、AmidAホールディングスの株式取得などM&Aによる事業拡張を積極的に進めたことが業績を牽引した。また、ノバセル事業で高速調査サービス「ノビシロ」をはじめとするSaaS事業が順調に拡大したことも寄与した。なお、24年7月期通期業績予想は売上高507億円(前期比23.6%増)、営業利益23億円(同30.3%増)、純利益21億円(同58.0%増)の従来見通しを据え置いたが、従来無配としていた配当予想については、期末一括で1円70銭の初配当を実施するとしており、これも好材料視されている。同時に、オリジナルトートバッグの製造・販売などを行うエーリンクサービス(福井県鯖江市)の全株式を6月28日付で取得し子会社化するとした。ラクスル事業ノベルティ領域の主要カテゴリであるトートバッグにおけるシェア拡大を目的としており、取得価額は13億7000万円。なお、24年7月期業績への影響は軽微としている。
■ワコールHD <3591> 4,250円 +290 円 (+7.3%) 本日終値 東証プライム 上昇率4位
ワコールホールディングス<3591>が急伸。11日の取引終了後、投資会社の3Dインベストメント・パートナーズがワコールHDの株式について新たに5%を超えて保有していることが明らかになり、これを思惑視した買いが入ったようだ。同日に関東財務局に提出された大量保有報告書によると、3Dインベストメントの保有割合は5.13%。報告義務発生日は4日。保有目的は「純投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為を行うこと」としている。
■ダイダン <1980> 3,285円 +175 円 (+5.6%) 本日終値 東証プライム 上昇率9位
ダイダン<1980>が地合い悪の間隙を縫って値を飛ばした。4連騰と気を吐くなか、上げ足も加速している。大型建築物の電気・通信、空調、水道などの工事を行う総合設備大手だが、空調工事が売り上げの6割を占める。そのなか、国策的な半導体インフラ拡充で国内でもデータセンター増設の動きが加速、データセンター向け案件で同社の商機が高まっている。大規模なデータセンターは単価が高く、同社にとっても業績貢献度の高い案件となっている。25年3月期はトップラインの大幅増収効果を映し、営業利益が前期比38%増の150億円と急拡大を見込む。高い収益成長力にもかかわらずPER12倍台と一段の水準訂正期待が膨らんでいる。
■富士石油 <5017> 557円 +26 円 (+4.9%) 本日終値
富士石油<5017>が5日続伸、4月5日につけた年初来高値570円を視界に入れてきた。石油元売り中堅で、上流開発から撤退し現在は海外から輸入した原油を精製しガソリンなどを生産する石油精製専業となっている。原油市況の上昇は製品価格引き上げを促す株価の刺激材料となるが、直近はWTI原油先物価格が上昇基調にあり追い風となっている。最終利益がゲタを履いているとはいえPERは6倍台、更にPBRは解散価値の半値水準である0.5倍近辺と株価指標面からの割安さが際立っていることで、個人投資家などの追随買いを誘導しているもよう。
■住友電設 <1949> 3,785円 +170 円 (+4.7%) 本日終値
住友電設<1949>が軟調地合いのなか異彩高、3連騰で一時5%超高に買われ3800円台を回復、上場来高値奪回を視野に入れてきた。ビルや工場の内線を主体とした電気工事を手掛け、空調やプラントなどでも実績が高い。また、デジタル関連の成長分野をターゲットとする構えをみせており、生成AI市場の急成長に伴うデータセンター増設需要をビジネスチャンスとして捉えている。データセンターでは、自家用発電での対応を可能とし、監視カメラはもちろん高感度センサーによる防災システムなど顧客ニーズに合わせた設備を取り揃え需要獲得を進めている。25年3月期営業利益は前期比16%増の145億円と2ケタ成長を見込んでおり、13倍前後のPERに割高感はない。
■正栄食品工業 <8079> 4,605円 +140 円 (+3.1%) 本日終値
正栄食品工業<8079>が堅調推移。11日の取引終了後、24年10月期の連結業績予想の上方修正を発表しており、好感されたようだ。売上高予想を50億円増額し1150億円(前期比4.9%増)、最終利益予想を3億5000万円増額し32億5000万円(同15.6%増)に見直した。第2四半期累計(23年11月~24年4月)期間において、中国国内の売り上げや米国からのクルミの輸出が上振れしたほか、日本国内では価格改定の進展もあって、業績が計画を上回って着地した。業績の進捗状況と足もとの動向を通期の業績予想に反映した。4月中間期の売上高は前年同期比7.0%増の596億9200万円、最終利益は同44.4%増の19億4900万円だった。
■村田製作所 <6981> 3,117円 +80 円 (+2.6%) 本日終値
村田製作所<6981>とTDK<6762>が逆行高を演じた。11日の米株式市場ではアップル<AAPL>が急騰した。次期OSに生成AI機能を搭載すると発表したアップルの株価は10日には調整を余儀なくされたが、その後アナリスト側からの評価が広がって翌日に切り返し、200ドルの大台に乗せて最高値を更新した。同社株の頑強な動きが、アップル関連と位置付けられる電子部品株への買い戻しを誘う形となったようだ。アルプスアルパイン<6770>と太陽誘電<6976>、日東電工<6988>も堅調に推移している。
■富山第一銀行 <7184> 1,194円 +17 円 (+1.4%) 本日終値
富山第一銀行<7184>や百十四銀行<8386>、秋田銀行<8343>など地銀株の一角が堅調に推移。前日の米国市場では、10年物国債入札が堅調な結果となったことで米長期金利が低下した。11日の日本の長期金利も1%を下回る水準まで低下している。金利上昇に伴う利ザヤ拡大期待が後退する形となり、メガバンクはマイナス圏で推移している。一方、米ブルームバーグ通信は日本時間11日夜、「欧州連合(EU)は銀行資本規制『バーゼル3』の最終化を1年遅らせる見通しだ」と報じた。米国でもバーゼル3の最終化ではまだ合意がまとまっていない。日本の地銀の一部では早期に適用したところもあるが、2025年3月末に全ての国内基準行が導入する予定となっている。欧州でのバーゼル3に関連する報道を受け、日本国内での銀行規制のスケジュールが後ろ倒しになるとの思惑が一部で広がり、金利低下のなかでも地銀株に資金が流入したようだ。
株探ニュース